みそ汁中心の食育推進 島根県松江市立玉湯中学校

栄養や体づくりの関心育てる

写真1-1
■はじめに

島根県では、朝食摂取率は全国平均を上回っているものの朝食内容に課題が多いことと、体力の低下が児童生徒の課題でもあるとし、「食に関する健康課題」の改善を図ることを狙いとしている。

2014年度から3年間、島根県松江市(玉湯町)を推進地域、松江市立玉湯小学校を「スーパー食育スクール(SSS)事業」実践校(対象学年5年生)として指定し、「体力向上と連動した効果的な『食育プログラム』の開発とその効果検証」をテーマとして掲げ、取り組んだ。

本校は、その連携校として継続実践に取り組んだ。研究実践当初は、持久力(特に女子)の低下や運動習慣のない生徒が目立ち、さまざまな取り組みが改善につながっていない現状があった。また、2015年度に実施した「すくすく週間」(学期毎に実施)結果からは、朝食が「ごはんだけ」や「パンだけ」の生徒も多く、朝食内容における課題もみられた。

これより、「食と体と心のかかわりを知らせ、食から体力・運動能力向上を目指す」「健やかな成長と健康課題の解決のため、みそ汁を中心とした食育プログラムを開発する」を事業目標とし、小学校で取り組んできた研究実践を生かしながら、中学校でもさらなる食育の充実を目指した。

実践の主な取り組みを以下に示す。

写真1-2
■「みそ汁摂取率向上」を中心とした朝食内容の改善

▽目覚まし朝ごはんを考えよう!

バランスの良い朝食について、担任・栄養教諭・養護教諭で学級活動の時間に指導し、夏休みの課題として朝食作りに挑戦した。

▽「目覚まし朝ごはん」の掲示

夏休みの課題として提出された「具(実)だくさんみそ汁」のリポートを、校内・町内の文化祭において掲示した。(写真1-1、-2)

▽「みそ汁週間」の設定

夏休みの課題として提出された「目覚まし朝ごはん」の中から、栄養教諭・養護教諭・保体委員会の代表者で、食べてみたいみそ汁を選考し、「みそ汁週間」として給食の時間に5点を日替わりで提供した。(写真2)

写真2

▽出前授業の実施

大学の教授を招聘(しょうへい)しての出前授業の実施。

▽地域との連携

玉湯中学校区内にみそを手づくりし、販売している有名な産地があり、地域の特産物を有効に活用した健康づくりを、地域と連携しながら取り組んでいくことを目指した。

■給食摂取率の向上

▽技術・家庭科と栄養教諭の連携した食の学習

写真3

1年生を対象として、「何をどのくらい食べれば良いか考えよう」の題材で授業を企画した。(写真3)

▽「すくすく週間」の実施

学期に1回、生徒会の保体委員会を中心に、「すくすく週間」を実施し、生活習慣を振り返らせた。「すくすく週間」は、「睡眠・朝食摂取・朝食内容・給食摂取・運動・体調」など健康的な生活習慣の確立を目指し、チェックシートを活用して実施。

▽栄養教諭による指導

連携校の栄養教諭が定期的に各学級を訪問し、栄養バランスなどについて、給食指導を行った。

▽「まがたま食育便」の発行

写真4

学校行事に合わせて、食事の取り方や選び方などの情報提供を行った。(写真4)

■体力・運動能力の向上

▽体育科との連携

持久力向上や自分自身の体力把握のため、毎学期に1回、学校全体で20メートルのシャトルランに取り組んだ。また、校内ロードレースを継続実施した。

▽SSSダンスの普及

島根大学の教授と学生による出前講座で運動習慣づくりを目的とした「SSSダンス」の普及

■成果について

1.食生活調査「すくすく週間」を通して

朝食摂取率が、SSSの取り組み初年度に比べ、向上した。すくすく週間の3年生の集計より、6月は3品以上朝食を摂取している割合が少なかった(37.7%)が、11月では3品以上朝食を摂取する生徒の割合が増えた(55.4%)。これらから、生徒がすくすく週間で生活習慣を振り返ることで、朝食をバランスよく摂取するように意識して実践するようになったと考えられる。

さらに、生活習慣を記録用紙で振り返ることで、自身の朝食内容の問題点について、客観的に気づくことができるようになったと考える。

2.食に対するさまざまな取り組み「栄養教諭との連携」を通して

・朝食の大切さや栄養バランスの良い食事についての指導が朝食内容の改善に生かされた。

・夏休みの課題「目覚まし朝ごはん」を考える事前指導により、栄養バランスが考えられた彩りのよいものが多く、食育に関する意識の高まりを感じた。

・夏休みの課題から優秀な作品(汁物)を選んで給食の献立に提供することで、成果を具現化・実感することができた。

・栄養バランスや食べやすく工夫された副菜メニューを、便りなどで普及啓発することで、家庭、保護者の食に関する関心が高まった。

このように、給食指導で朝食と学力の話や、中学生の時期に必要なエネルギーやカルシウムの取り方について指導を受けたり、さらに教科と連携して授業をしたりすることで、栄養や健康な体づくりに対する意欲・関心が高まったと思われる。

3.体力的指標について

・新体力テスト(20メートルシャトルラン)の結果は、男子が全国平均値を上回っていた。女子は依然下回っていたが、平均との差が縮まってきた。

・学期に1回実施する全校シャトルランでは、回数を重ねるごとに最高記録が更新され、平均値も上がっていることから、体力向上に向けて意欲的になったと思われる。

・個人の記録が蓄積されるとともに、個人順位やクラス(団体)順位も活用できることから、生徒同士の励まし合いや認め合い等につながり、集団づくりに生かされた。

・体力向上については、個々に立てた数値目標の変化が目に見えるため、楽しみや達成感にもつながり、次のシャトルランへの意欲にもつながっていると思われた。


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