スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールの取り組み 岐阜県立岐阜工業高等学校

テクノロジスト育成のために

研究推進部 教諭 山口 剛正

ロボットプログラムを開発

3年後に実施となる高等学校の新教育課程は、どのような産業人の育成が命題であるかを、高等学校教育に携わる者全員に投げかけている。全高校生の8%にも満たない工業教育を受ける生徒のために、途方もない努力が払われていることを実感させる新教育課程は、深読みするごとに、これからの産業を担う人材への期待であふれていることを感じさせる。

いまや工業高校生は、日本国内どの地域においても産業界からの需要はうなぎ上りとなっている。その主たる要因としては、担い手、働き手不足にあることは想像に難くない。新卒工業高校生の獲得ができなかった企業のため息は、年を経るたびに大きくなっていく。それほどまでに期待の大きい工業高校生を教育する高等学校では、どのような人材を輩出すべきか、具現化しようとする試みが、本校で行われてきたSPHに関する研究である。

「テクノロジスト(Technologist)」は、工業教育の目指す人材を具現化したものである。

10年以上も前に経済学者P・F・ドラッガーによって世に広められたこの言葉は、ドラッガーをして、このような人材の育成そのものが、経済活動の浮沈に多大な影響を及ぼすと言わしめた、実体経済の根幹たる「製品生産の要」であることに他ならない。テクノロジストとは「自ら考え、考えられたイメージを具現化できるよう実行動ができる人材」を言い、企画から設計・生産、改良などあらゆる「ものづくり」に参画できる高度な能力を有する。

果たして3年の研究結果でテクノロジストの育成の可否は「可」の結論である。

具体的な試みとして、岐阜県が策定した「成長・雇用戦略」にのっとり、以下の三分野をターゲットにテクノロジスト育成プログラムの開発を行ってきた。

(1)航空宇宙分野のテクノロジスト育成

中部圏は、日本国内でも名だたる航空機産業の中心地である。航空機製造や整備に関する高度な能力が必要とされるこの業界への輩出人材は、このカリキュラムで優秀な成績を収められたなら、通用しない業界が無いほど、高度な能力を持つ。全国の高等学校で例の少ない航空機分野において、岐阜県をはじめ、文部科学省などの後ろ盾があったことは、より人財育成プログラムの開発が加速したといってよい。特に実習用施設設備は、航空宇宙人材を育成するために特化した内容となり、多大な出資が岐阜県の大きな期待となって、より多くの学生がそこで学ぶことを前提とした設計となっている。今夏までに、県内他校の生徒も、そこで航空宇宙講座を受講した。

(2)IoT分野のテクノロジスト育成

本校で取り組んでいる感情認識ロボットの制御プログラム開発は、医療・ヘルスケアの分野において、まさに時代のニーズにマッチしたものといえる。要介助者との会話から判定し、居住空間のIoT家電などを制御するもので、スマートスピーカーとは一線を画す。意識混濁や酩酊(めいてい)などの場合も要介助者の状態を判定し、必要箇所にデータ送信できる。

リッベットを打っている様子
(3)イノベーション人材育成

専門分野外の解決すべき問題(未踏分野)をどのようにしたら解決できるのか、という命題に応える人材を育成することは、工業高校において大変な意義があると考える。具体的な手法としては家庭科(大垣桜高等学校)との協働である。ファッションショー開催にあたって、衣服CADやプロジェクションマッピングを用い、新たなファッションショーを作り上げることができた。これにより、工業科、家庭科の生徒がそれぞれの未踏分野での問題解決の手法を学ぶことができた。

◇ ◇ ◇

SPHの研究成果については、次の機会に発表予定である。ぜひ、足をお運びいただき、次世代テクノロジストの卵と触れ合っていただきたい。

・期日/平成30年12月24日 ・場所/かかみがはら航空宇宙科学博物館(岐阜県各務原市下切町5-1)

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