学校と民間が協働で授業づくり 茨城県がプログラミング教育事業

教員の研さんに生かす教材開発

茨城県教委は今年度から、「小学校プログラミング教育推進事業」を開始した。県内公立小学校の各教科でプログラミング的思考を育成するための、授業づくりや教材開発を進める。民間企業や大学教授らと協働し、民間の力を生かしたより良い授業づくりと、多忙な教員の研さんに役立つ映像教材の作成や蓄積などに力を注いでいる。

■学び合う機会を創出し、論理的思考を育む

同事業は▽授業づくり▽映像教材の制作・配信▽教員研修――の3点で進めている。今年度は重点校や協力校を中心に、プログラミング教育の授業づくりのサポートを行っている。重点校と協力校は今後、県内全公立小学校で実践を普及する際の見本役を果たす。重点校では、算数と理科を中心にしたプログラミング教育の授業づくりを実施。民間企業が学校を年間10回ほど訪問し、授業研修で教員と対話を交わしながら、教科の目標を踏まえたプログラミング教育のアイデアなどを伝えている。

古河市立大和田小学校は、理科に位置付けたプログラミング教育を推進。児童がプログラミングでロボットを動かす学習を通じて、論理的思考力の育成に取り組んでいる。

水戸市立下大野小学校は、算数を通したプログラミング教育に力を注ぐ。学習にはタブレット端末を有効活用。児童はペアになって、端末の中のプログラミング教材を操作する。児童は操作について話し合いながら、公倍数への理解を深めているという。

より良いプログラミング教育を模索する

協力校3校では、幅広い教科と領域で進めるプログラミング教育を模索する。こちらには、大学教授が参画。研究者は各校に年間3回ほど来校しながら、教員と授業づくりを協議する。

神栖市立深芝小は、家庭科に位置付けたプログラミング教育を実施。おいしいみそ汁作りに必要な調理手順を吟味する中で、プログラミング教育が目指す論理的思考の育成に迫る授業を進めている。

■いつでも授業に生かせる教材提供の機会を

教材開発では、県内全小学校の教員が、校内でいつでも、どこでも授業づくりの手だてやヒントが得られるよう映像教材の作成に力を入れている。教材コンテンツは、県内全公立小学校を結んだ教育情報ネットワークから配信。教員がネットワークにアクセスし、授業に必要な教材が使える環境を築いている。

合わせて、各学校の校内研修で生かせる動画も開発している。動画では、▽プログラミング教育のねらい▽プログラミングが社会で生かされている事例▽ビジュアル型プログラミング言語「スクラッチ」を使った授業例――などを収録。教員がプログラミング教育の目標をしっかり理解し、実践できるような支援につなげる。

民間企業と協働した授業づくりと教材開発では、教委と教員、民間企業が一堂に会して話し合う「プロジェクト会議」も設置した。会議は定期的に行い、それぞれの立場を生かしたアイデアを出し合って、よりよいプログラミング教育の実現に役立てている。

■児童の自学自習を励ます教材開発も検討

茨城県教育庁義務教育課の多賀谷重豊指導主事は、この取り組みを通して「2020年のプログラミング教育必修化までに、教員の不安を少しでも減らしたい。そのために民間のアイデアと力を借りながら、協働してより良いプログラミング教育の授業や教材を見いだしたい」と話す。

同課の庄司真樹子指導主事は「20年度の学習指導要領全面実施に向け、今後も映像教材の整備や実践事例などの環境づくりを検討したい。市町村にICT環境整備の重要性と予算確保を一層働き掛けていきたい」と述べ、「児童がそれぞれの学びの目的や進度に応じて、映像教材などを自由に利用できる仕組みもつくりたい」と展望を語った。


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