学習者用デジタル教材を活用 千葉県柏市立手賀東小学校

学校のおよその面積を考察する 身近な事例から課題を克服

タブレット端末の画像を電子黒板に映し発表

千葉県柏市立手賀東小学校(佐和伸明校長、児童51人)は、この2学期から算数の学習者用デジタル教材を活用した授業を始めた。背景には、算数科において児童が「推察すること(量感)」「仮説をたてること」が苦手であるという課題がある。次期学習指導要領でも、小学校算数では、「日常生活等から問題を見いだす活動などの充実による学習の質の向上」が求められている。同校の事例を取材した。

■学校の上空写真を教材として活用

授業は6年生の単元「およその面積を考えよう」。東京書籍(株)の学習者用デジタル教材を活用し、佐和校長が自ら行った。単元のねらいは「身の回りにあるものの形について、その概形をとらえ、基本図形とみなして、およその面積を求める方法を考えさせること」。

教材としたのは同校の上空写真。その写真を拡大し印刷したものを黒板に掲示し、それを見た児童に学校のおよその面積を求める授業であることを理解させた。そして、2人一組になってiPadでグーグルアースを使い、学校の上空写真を検索させ、上空から見た学校の形を確認させた。

まずは、学校の上空画像が印字されているワークシートを配布し、自由な考えで学校のおよその面積を推察させた。試行錯誤して、児童は長方形や台形などに見立てて求積する術を見いだした。ところが、まだ考え込んでいる。実寸の算出方法が分からない。

佐和校長は、1人1台配布されているタブレットPCに、同じ上空写真の画像を取り込んでおいた学習者用デジタル教材を開かせ、求積するには、上空写真のどこかの長さを足がかりにしなければならないこと、そしてよく知っている長さの分かるものが25メートルプールであることに気付かせた。

プールの長さを入力し、見立てた図形を選択する

25メートルの数値を入力し、学習者用デジタル教材の下方に表示される正方形、長方形、台形、ひし形、平行四辺形、三角形などから見立てた図形を選択する。選んだ形が台形であれば、25メートルプールを基準に上底と下底の長さ、高さを自動的に算出してくれる。後は、公式に数字を当て込み計算する。

児童はさまざまな図形に当て込み、答えを算出。電子黒板に投影し、お互いの考えを発表し合い、基本図形が異なっていても、求積した値が近いことを確認しあった。

■課題を洗い出しICT活用の目的を明確化

佐和校長は「『児童は算数科のどこで、つまずくのか』を学力テストの結果から分析したところ、『推察すること(量感)、仮説を立てること』が苦手であると分かった。そこで身近なテーマで、量感をイメージ化しやすく、繰り返し実施できるという点でICT活用が有効だと考えた。試行錯誤でき、多様な考えが出やすいメリットもある。学習者用デジタル教材に関しては、教科書に準拠し、日々の授業で使えるコンテンツを重視した」と話す。

教員のICT活用については、「完全に使いこなせるようになってからと待っていては駄目で、子供と一緒に使ってみる気持ちが大切。本時で何を児童に身に付けさせたいか、体験させたいことは何かを、明確にして使うことが重要だ。児童のつまずきを意識した授業改善を目指してほしい」と語った。

■授業での積極的なICT活用を目指して

同校は2018年度、柏市教育委員会の支援を受け「算数科授業力向上事業」に参加することになり、算数支援教員も1人配属されることになった。

電子黒板は全ての普通教室に設置、無線LAN環境は今年の夏休みに整えた。現在、タブレットPCは20台、iPadは8台。コンピューター室をやめて、図書室のメディアルームに保管するようにした。教員にも児童にも使いやすいようにとのねらいで、学校図書館での調べ学習などにも積極的な活用が期待できる。教科学習での利用機会増大を目指し、学びを広げ、深めるツールとして役立てていく方向だ。

佐和校長は「タブレット端末による学習者用デジタル教材の活用は始まったばかり。自校の中でアイデアを停滞させず、他校と交流しながら新しいアイデアも吸収し、一つ一つエビデンスを積み重ねていきたい」と思いを語った。


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