無理なくできる学校のICT活用―タブレット・電子黒板・デジタル教科書などを使ったアクティブ・ラーニング

全教員で学習目標を共通理解

「公立中学校の0からの挑戦」とうたって取り組んだ、ICTを活用した「主体的・対話的で深い学び」への授業改革の軌跡をまとめた。

実践校の三重県松阪市立三雲中学校は、2011年度に総務省と文科省の研究指定を受けた。研究では、校内全教室への電子黒板や、生徒1人1台のタブレット端末の整備を推進。ICTを生かした協働学習の在り方を追究してきた。

同校の全教員がICTの実践経験が乏しかったという。手探りで見いだされた5年間の研究成果はどれも貴重だ。

長谷川 元洋 監修・著
松阪市立三雲中学校 編著
学事出版 1800円+税

研究スタート時の教員の、10の不安も挙げている。▽よく分からないICTを活用した授業づくり▽毎日の多忙▽ICTで学習効果を上げる方法が分からない▽ICT機器の故障や破損時の対応――などだ。ICT活用の経験が少ない学校や教員にとっては、どれも思い当たる切実な課題だろう。

同校では現在、これらの不安の多くは解消されていると述べる。解消できたポイントは、「ICT活用の目的を全教員で共通理解する」ことだと強調している。

この言葉は、ICTを生かした授業研究に本格的に取り組もうとする学校への、大きな励ましと参考になるだろう。

教員間の不安があれば、まずそれらを出し合うことを助言する。その上で、皆で解消策を考え、計画的に実践しようと呼び掛けている。教員同士が力を合わせ、チーム学校で問題を解決する中で、組織力の強化が進んだ経験も振り返る。

ICTを活用した実践例も豊富だ。一斉、個人、協働の学習場面ごとに28の授業が載っている。どの授業例にも、「一斉、個人、協働学習との関連性」「他教科にも生かせる活用点」を掲載。「主体的・対話的で深い学び」の実現のため、全校的な授業デザインを押さえた実践作りも磨ける。


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