現地に寄り添い深く交流 理科実験でエチオピアと心つなぐ

実験授業の様子
大里修史茨城県常総市立水海道中学校教諭

大里教諭は、青年海外協力隊現職教員特別参加制度で2016年6月から1年9カ月間、エチオピア連邦民主共和国で理科教育に携わった。協力隊経験のある先輩教員の話や小学校教諭時代に「世界の国々」という途上国について調べる社会科の授業をきっかけに強い関心を抱くようになり、「自分でも何か手助けできることがあれば」と参加を決めた。

配属先は首都にあるマスカラム小学校で、主な活動内容は理科実験のサポート(実験道具の作り方、使い方、実験のやり方を紹介)。7~8年生の物理、化学、生物の授業を実施した。赴任時、実験道具はある程度そろっており、実験室には担当者がいたが、積極的に実験を行っている様子はなかった。改善していきたい点はたくさんあったが、自分の考えの押しつけにならないよう、「まずは関係性を築くことが大切」と考え、歩み寄りながら一緒に活動した。

1年近く人間関係の構築に費やしたが、最後には現地の実験室担当者が「多くの実験授業ができたので、学校の理科教員に紹介しよう」と発案し、教員研修を実施するまでに至った。自ら必要性を感じ理科実験の環境・運営改善に取り組んでくれたのが何よりうれしかった。教え子の中には、大里教諭が行った光合成の実験で理科の面白さを知り、「生物の教師になりたい」と思いを伝えるまで関心を示すようになった子もいた。「最初は思い通りにならなくても信じ、待ち、歩み寄る」。――「教育は心」をモットーにする大里教諭の深い交流を積み重ねた成果であった。

大里教諭には一つやり遂げたい目標があった。それはエチオピアと日本の学校をつなぐこと。ICTを活用したエチオピアの子供たちとの交流を、日本を出立する前に担任していた子供たちと約束した。活動が深まるにつれエチオピアの理科教員からも「日本の学校と交流したい」との要望があがり、ついに実現。現地で継続的に実験ができるよう、エチオピアでも入手できる道具を使った「電磁石の実験」で交流を行った。理科実験への好奇心が日本の教え子とエチオピアの教え子のお互いを知ろうとする心を育み、子供たちの心をつないだ。

現在の勤務校には外国の文化を持つ生徒や日本語指導が必要な生徒も在学しており、大里教諭は多様性を受け入れながら生徒・保護者と良い関係性を構築している。今後、「グローカル教員」としての役割が大いに期待されている。


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