全児童・教職員が経営に参加 山形県鶴岡市立豊浦小学校

自発的に図書整理を推進

小規模校の特性を生かして
「図書館は教室」という考え方で整理されている

山形県鶴岡市立豊浦小学校は近隣3校が統合して2016年に開校した、創立5年目の学校である。児童数112人の小規模校で、司書教諭の配置はなく、図書職員は、給食業務と兼務の6時間パートタイマーである。3階に図書コーナー、2階に絵本コーナーと二つの図書館を持つ。コンパクトさを生かした図書館経営の工夫について報告したい。

■コンパクトさを生かした図書館活用学習

本校では、国語科を中心に、教科書で図書活用が提示されている単元をまとめた「読書指導計画(図書館活用学習計画)」を作成しており、これに沿って、図書館で、あるいはその単元で使う図書を学級に持ち込んで学習を進めている。単学級のため、1日1時間は図書館の使用も可能である。

また、統合時に図書館が学習で使われることを見越して各校から図書を移管したため冊数も一万冊超と学校規模の割に多い上に、毎年学習で使われる本は児童数に応じた冊数が確保されている。

図書館活用学習は、選書、調べ、表現作品へのまとめと、複数の指導者が必要とされる学習場面が多い。選書については図書職員の支援を得ているが、司書教諭がいないため、低学年を中心に国語や算数などにおいてティームティーチングを行っている学習支援員が低学年の図書館活用学習で指導支援をしている。

児童の実態を把握し、担任と学習について十分な話し合いをした上で指導するため、学習効果を上げている。また、図書主任は、実践資料の提供や、校内授業研での図書活用授業公開を行ってきた。

■異学年交流を生かした読書活動

児童数が少ない本校では、全職員が児童を、また児童が互いによく知っている。TATE班という縦割り班で清掃などの活動をしていることもあって、異学年でも仲が良い。読書イベントでもペア学年で「読書郵便」を出し合ったり、「読書祭り」でTATE班対抗の「読書ウォークラリー」を行ったりしている。

入学時からの貸し出しカードを図書館に保管し、卒業時に記念品として贈っている。6年生は3学期、それまでのカードを参考にしながら「卒業生からすすめる本」を一人一冊選んでカードに書く。丁寧に書かれたそれらのカードは卒業式近くに図書館前に掲示し、その後、ファイルして学校に永年保存される。大好きだった6年生が選んだ本が、後輩たちに読み継がれている。

■「わたしたちの図書館」としての経営参加

「図書館は教室」という考え方から、館内は装飾せず、分類の分かりやすさを重視している。児童会図書委員が分類表示板に関連のイラストをつけたり、差し込み分類表示板を制作したりしている。

全学年でのオリエンテーションや国語科学習での指導で、1年生から分類を理解しているので、日常の図書整理は図書委員が行い、「奉仕活動の日」には2階、3階それぞれで児童が自発的に図書整理をしている。

また、パート図書職員は長期休業中に勤務がないため、集中的に蔵書点検を行うことが困難であることから、前年度、職員作業として半日の蔵書点検を実施した。教職員に、自校の図書館機能を知ってもらうよい機会となった。なお、蔵書点検は、普段読み聞かせをしてくださる、地域ボランティアの方にも協力をいただいた。

エントランスは、図書職員がタイムリーな図書紹介展示を行い、新聞の切り抜きもテーマを設けて館内にコーナー掲示している。また、絵本コーナーの壁面掲示は、1・2年生が作った折り紙などを、季節ごとに掲示している。さらに、図書を活用した学習で作った「○○クイズの本」やパンフレット、本の帯などは、図書館内やワークスペースに展示し、他学年にも見てもらうようにしている。

技能士には、書架の高さを変えてもらったり、検索カード棚を個人カード保存棚にリメイクしてもらったりした。日常の児童の動きを見ているからこそ、使いやすいハードウエアのイメージが把握できるのである。

小規模校の図書館は不便さもあるが、個々に手厚い指導・支援ができる。また、児童、職員全員が「私たちの図書館」として経営に参加する意識が高まる。それを生かす図書館経営を今後も大切にしていきたい。

(現/山形県鶴岡市立大山小学校図書主任・三浦弘美)


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