図書館から学校を変える 三重県立津高等学校

おせっかいな学校図書館

積極的な訴求策打ち出す
■はじめに

一昨年の「総合的な学習の時間」での出来事。図書館からの帰り際にある生徒が一言。「ここの図書館はあかんわ。欲しい本、一つもあらへん」。

「10年後の津市を考える」などのテーマで蔵書展示を工夫

聞き捨てならない言葉だったので、「どんな本を探していたの」と聞くと、「ジェットコースターはどこに座ったら一番怖いかが書いてある本」という。

気になったので他の生徒にも、どんな本を探しているのか聞いてみた。「なぜ短調はさみしく聞こえるのか」との回答。やっぱり、欲しい本は見つからないという。

そうか、そこから始めないといけないのか、と感じた。

生徒は、自分が考えているテーマにぴったり当てはまる本があると考え、それを探していた。今までに何度も調べ学習をしているので、生徒はそんなことはわかっているはずだ、と高をくくっていたためにこのような誤解が生じたのだと痛感した。

早速、図書館での調べ物の仕方などを生徒に再確認させた。従来からの「受け身」の図書館から脱皮したいと強く感じた出来事でもあった。

■生徒や教師に図書館に来てもらえるような取り組み

せっかく図書館に行ったのに、欲しい本が見つからないことほどがっかりすることはない。

本校には約3万冊の蔵書があるが、カウンターの上にある検索用コンピューターと県立図書館による本の物流システムを使えば、同じ本の重複はあるものの計算上は、他の高校の170万冊、県立図書館の86万冊、公共図書館の573万冊、合計800万冊を超える本が一週間ほどで取り寄せられることをアピールした。

とはいっても、注文が入ってからでは遅いので、遠足や修学旅行、人権学習、海外研修などのコーナーは先回りして作ったり、調べ学習では各班のテーマを暫定案の段階から入手したり、授業についてはシラバスを見たり、職員室に御用聞きに行ったりして必要となるであろう資料をあらかじめ入手展示して、図書館にはいつも欲しい本があるという状態になるよう努めた。昨年度の他館借受冊数は、883冊であった。

夏期休業前からは「図書館ミュージアム化計画」と称して、近隣の美術館や博物館にポスターやチラシ、割引券を提供してもらい、展示物の内容に関する書籍を集め、休暇中に訪問するように勧めた。
本校の図書カードは、従来は既製品であったが、3年に1回の更新時に当たり、生徒や教師からカード図案を募集した。参考にしてもらうためデザイン集や写真集をはじめ、18歳投票権の本も一緒に展示した。選択のための投票用紙はホームルームで配布したが、この機会に図書館に来てもらえるよう投票箱は図書館に設置した。

返却期限票には、感想を書く欄があり、これをもとにポップを作っている。

■図書館が外へ出て行く取り組み

生徒や教師は毎日忙しく、待っているだけでは図書館に来てもらえないし、本も借りてもらえない。そこで、発想を逆転し、図書館が外へ出て行くことを考えた。

教師用には職員室出張図書館として、本を満載したブックトラックを職員室に配置。一人一人の教師の顔を思い浮かべながら選書したが、「この先生にはこの本を」というのがうまくヒットしたときは思わず「やった」という声がもれてしまった。

生徒に読書の習慣を身に付けさせるには、読書する教師の姿を見せることが大切だと思う。そのためにも図書館が教師に本を「押し売り」して、机上に一冊ずつ置くのも必要かと考えている。

生徒対象では、「青空図書館」を昼休みに中庭で実施。本を介して友人同士で話をしたり、昼食をとりながら本を読むことができる楽しいひと時を提供したり、図書館内とは異なる本の利用を提案した。コミュニケーションツールとしての本の使い方も示すことができれば、と願っている。

■今年度の目標

恥ずかしい話だが、一昨年度、生徒1080人に対する年間貸出冊数は1832冊しかなかった。これを受け、昨年度はできることは何でもやろうと決め、これらの取り組みを進めた結果、貸出冊数3196冊になった。だが、貸出率は26%にとどまった。

今年度はそれぞれ4500冊、35%を目標に、「図書館から学校を変える」ことができるような「おせっかいな図書館」を目指していきたいと考えている。

(図書部主任・平賀美津雄)

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