図書館改造で読書環境を整備 奈良県大和郡山市立昭和小学校

市立図書館などの協力で

学習センターとして機能
■はじめに

大和郡山市は、奈良県北西部に位置し、江戸時代からの歴史を持つ全国有数の金魚生産地である。市内でも昭和小学校は南部に校区があり、大小100以上の工場が集まった昭和工業団地に囲まれている。児童数394人19学級の中規模校である。

図書ボランティアを募集して環境整備の手伝ってもらう

本校に赴任したときの図書館は、「古い蔵書や修繕・補修が必要な本が多く魅力的な本が少ない」「無秩序に本が配列されているために児童が目的の資料を探せない」「図書館全体が薄暗く殺風景な環境である」など多く課題を抱えていた。

そのため、学習時の利用は少なく、開館時に本を借りに来る児童は数人程度という状況であった。学習センター、情報センター、読書センターとしては全く機能していなかった。

学習に活用できる学校図書館となるように環境整備することを主な目的に改造し、改造後は利活用を図ることにした。

■協力要請、準備、改造実施まで

改造にあたっては、全国SLA学校図書館スーパーバイザーの藤井フミ子氏、向井純子氏や大和郡山市立図書館館長や司書に指導してもらった。また、図書ボランティアを募集し、環境整備の手伝いをしてもらった。

改造方針は、①NDC(日本十進分類法)の小学校適用例を参考にして、不統一なラベル記号を書き直す②絵本はE表記として、著者記号の五十音順に並べる③00分類から順番に配列する④代本板を使った貸し出しをやめる⑤図書館でも学習ができるように机の配置を工夫する⑥図書館を利活用する――など。

準備として、職員作業で、日本十進分類法の小学校適用例を参考にしてラベル記号を書き直した。分類表示箱、絵本用分類表示板、書架棚用分類シールも作成した。

改造は、2日間にわたり実施。5・6年生の協力を得て図書の分類、配置、机・椅子の配置換えなどを行った。

■改造後の利活用

①図書館オリエンテーション=各教科等の学習で図書館が利活用できるように、市立図書館司書に依頼し、学級単位で図書館オリエンテーションを実施。図書の並び方や分類についての理解を図った。

②行事ごとの読み聞かせ会の開催=委員会や図書ボランティアによる「七夕お話会」「ハロウィーンお話会」「クリスマスお話会」で紙芝居や絵本の読み聞かせを実施した。

③市立図書館との連携=関連読書や調べ学習、国語科の言語活動などで必要な本がそろわないときは、市立図書館に依頼し学校団体貸し出しを利用。年間を通じて、各学年が学習に活用できるよう計画的に依頼した。借りた本は、学年で共有して読めるように廊下に置いたり、学級ごとに学級文庫とは別コーナーを設けたりして、児童が自由に読めるようにした。

④「読書手帳」の活用と「読書の木」=読書手帳は、「大和郡山市子ども読書活動推進計画」に基づき、児童が読書に親しむ環境づくりの一環として市内の全児童に配布されている。読んだ本の名前と感想を記録し、100冊読破を目指す。児童はこれを利用し、読んだ本を「読書手帳」に記録した。さらに、どれだけ本を読んでいるかを把握する目的と、読書への頑張りを友人にも知ってもらう場となるよう「読書の木」を廊下に掲示。10冊読むごとに、冊数を示す木の葉に自分の名前シールを貼った。読書が苦手な児童のために、読み聞かせやブックトーク等で読書意欲を喚起した。

これらの取り組みにより、読書をする児童が増えていった。

■成果

改造後は、本が内容ごとに配列されているため、ラベルの数字や分類表示の掲示を見ながら、自分で目的の本を探し出すことができるようになった。言語活動などを実施しやすくなり、図書館で学習する機会が増えていった。

各教科で学習した内容に関連した本を自分で借りて読む児童や友人に「こんな本を見つけたよ」と伝え合う児童の姿も見られるようになってきた。図書館が「学習センター」「情報センター」として機能し始めていることを実感することができた。

今後も、主体的・対話的で深い学びの展開に向けて、図書館を利活用していきたいと考える。

■おわりに

市立図書館館長、司書、図書ボランティアの協力により、児童を取り巻く読書環境が充実してきた。児童の想像力を養い、豊かな心を育む「読書センター」としての機能をさらに発揮させるためにも学校図書館の蔵書数が図書標準に達し、質・量ともに魅力ある蔵書に努める必要があると考えている。そのため、さらなる環境整備と図書の充実は、今後も欠かせない。


(教諭・津村ルミ)

【トップに戻る】