生徒の豊かな心を育むために 愛媛県松山市立拓南中学校

ジュニア司書講座で本の魅力を

生徒主体で図書館イベント開催

本校は、愛媛県松山市の中心地域にある生徒380人の中規模校である。「やればできる誇れる拓南」を教育目標に、地域に根ざした教育活動を行っている。

拓南中ジュニア司書講座での「読み聞かせ講座」

全校生徒で朝読書に取り組んでおり、落ち着いた環境で一日のスタートを切っている。その中で読書に喜びを感じ積極的に本に親しむ生徒がいる一方、そうでない生徒もおり、効果的な支援が求められている。

■本に親しむ活動

生徒がさまざまな形で読書の喜びや本への理解を深めるのを目的に「拓南中ジュニア司書講座」を開催している。2018年度は、1学期末から夏休みにかけて開催し、延べ70人が参加した()。

「読み聞かせ講座」では、絵本を読み聞かせる意義やページの繰り方などの具体的な方法を学んだ。

「ビブリオバトル講座」では、ビブリオバトルの歴史や本の紹介の方法を学び、小集団に分かれて実践した。「配架と装備講座」では、本にフィルムを掛けて保護することの意義を知り、その後、本に丁寧にフィルムカバーを掛けた。

「拓南中ジュニア司書講座」を通して、生徒は本の魅力を再確認したり、本を通して人との交流を深めたりして、豊かな心を育むことができた。

学校図書館に対する生徒のボランティア活動の充実も図った。「選書ボランティア」として、長期休業日ごとに生徒が校区内の書店に行き、図書館にふさわしい本を選書し、購入する機会を設けた。毎回10人程度の生徒が参加し、仲間に読んでもらいたい本や調べ学習に必要な本などを真剣に選んだ。より中学生の気持ちに添った選書となり、利用者からの評判もよかった。

この「拓南中ジュニア司書講座」で装備について学んだ生徒は、後に実施した新着図書への装備を行うボランティア活動にも積極的に参加し、習得した技を発揮した。自分たちの選んだ本を仲間が喜んで借りる姿や本を大切に扱う姿を目の当たりにし、自己効力感を味わうことができた。

■人に伝える活動

図書館活動を通して、本の魅力や読書の喜びを伝える力を育むことに重点を置いた活動を行ってきた。

委員会活動が主体的に行われるように支援を工夫。図書館の利用者数を調査し、客観的に利用状況について把握させた。それを基に、生徒たちは委員会において、より多くの生徒に本に親しんでもらうためにはどのような活動をすればよいかを話し合った。

季節に応じた配架の工夫、「図書館だより」での本の紹介などのほか、生徒が運営する図書館イベントも企画した。

イベントでは、校長による絵本の読み聞かせ会や図書館で本を借りた生徒へのオリジナルブックカバーサービスなどを行った。毎回参加者が100人を超える大盛況で、文化委員たちは自分たちの活動によって多くの生徒に本の魅力を伝えられたという充実感を味わうことができた。

生徒集会では、全校生徒に向けてビブリオバトルやブックトークによって、文化委員が読書の楽しさを語る機会を設けた。委員自身が選書や発表練習を行いながら、本の魅力を効果的に伝える方法を工夫することを楽しんでいたようである。発表後、多くの生徒が本への興味が高まったという感想を持ったり、集会で紹介した本を借りるために図書館を訪れたりと、大きな成果があった。

人に伝える活動の中で、誰に何を伝えるかということを明確にさせたことで、生徒が効果的に伝える方法を考え、工夫することができた。

読書感想画への取り組みも「人に伝える活動」の一つである。毎年多くの生徒が意欲を持つが、うまく描くことができず、あきらめてしまうことも少なくない。

そこで、心を揺さぶる本と出会い、読後に明確な感想をもち、湧き上がるイメージを鮮明にすることができるように、希望者を対象に指定図書の紹介や選書に関する助言を行った。

その結果、23人の生徒が松山市の読書感想画審査会に応募することができた。愛媛県の審査会で最優秀賞を受賞した生徒もいる。

今年度、公民館から「乳幼児を対象にした読み聞かせの会を中学生に開催してほしい」という依頼をされている。中学生は家庭や地域に読書の喜びの輪を広げていく存在でもある。

今後も魅力ある学校図書館の運営を目指し、生徒が生きる喜びや知る楽しみを学校図書館で体験し、生涯を通して本に親しむ姿勢を持ち続けていけるよう、効果的な支援の在り方を模索していきたい。

 (司書教諭・川﨑裕美)


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