みんなでつくる学校図書館 北九州市立千代中学校

昼休みや放課後で積極的に活用

子供たちの「居場所」となる
■はじめに

本校は、北九州市八幡西区の南部に位置する学校で創立34年目、旧炭鉱地にある新興住宅街である。生徒数は、13学級(特別支援学級2学級を含む)370人ほどの中規模校である。

学校司書と連携した「ユニバーサルデザイン」の授業

校区には、二つの小学校(千代小・池田小)があり、両小学校ともに、読書活動としての「読み聞かせ」を積極的に行っている。

■3年前の状況

赴任当時の3年前の千代中学校図書館は厳しい状況であった。書棚には、複合本が数十冊ずつ並び、題名が消えかけている本やカビで汚れた本、20年以上前に出版された本……。

また準備室は、学校行事や生徒会行事の道具置き場であり、廃棄予定本のたまり場であり、視聴覚教材の置き場所であった。1階の中庭に面しているにも関わらず、書棚が窓を隠し、薄暗い図書館となっていた。

■現在の状況

毎日たくさんの生徒が利用している。「朝開館」は数人だが、毎日の「昼休み開館」には常時40~50人ほどが読書をしている。

また、「放課後開館」では、常時10~20人が宿題や自学自習に取り組んだり、友達を待つ目的で読書をしたりしている。高校紹介のリーフレットや中高生新聞を読んでいる生徒もいる。

■みんなでつくる学校図書館―具体的な変容

▽教務と相談して、年度当初に、全1年生を対象にした「図書館オリエンテーション」の時間を設定してもらう。司書・ブックヘルパー(BH)の紹介、「図書室と図書館」の違い、図書館の使い方、貸し出し・返却の方法を教える。その日からたくさんの新1年生が、図書館を使うようになる。

▽教師たちも図書館を授業で利用してくれるようになった。特別支援担当も読み聞かせや調べ学習で図書館を利用している。昼休みや放課後に支援学級の生徒たちが、他の生徒と一緒に読書している姿が毎日見られるようになった。

▽昼休み開館の様子を、管理職や事務の教員に見てもらうことで、予算をもらうことができた。自然光を遮る本棚を買い替え、中庭の花が見えるような3人掛けの長机(対人関係が苦手な生徒や2~3人用の場として)を配置し、頭上にLEDライトを設置した。ボランティア部から中庭の生花をもらって飾り、「季節を感じられる図書館」と言われている。

▽図書館に「高校リーフレット(前年度分)」のコーナーを設置したことで、1学期の高校体験入学の申し込みが増加した。特に部活動に熱心な生徒にとって中学校生活最後の大会と重なる関係で、余裕がない。図書館からのアプローチが必要だと考える。

▽部活動の練習に読書を入れるように顧問に働きかけた。トップアスリートが読書をしている記事や文章を拡大し、掲示した。養護教諭からは、「活動中の傷病・疾病数が3年間で激減している」と言われた。読書を3年間継続した部活動は、確実に戦績が向上した。

▽廃棄本や複合本は、二小学校に提供した。また、南大東小中学校(沖縄県、「ぼくたちは、ゲームセンターはいらない、本屋がほしい」の記事が載った学校)に寄贈している。

▽映画のポスターを制作している方や地域の映画館からポスターをいただき掲示すると共に、関係書籍も展示している。最近では、生徒、保護者が映画のリーフレットを持ってきてくれている。

■まとめ

本校生徒・職員は、「図書館三カ条」を守ってくれる。土日祝日まで図書館を利用してくれる。たくさんの本を借りてくれる。昼休み開館時は、4人の図書委員会が運営してくれている。BHの負担も激減した。

「放課後開館」の際に行事の取り組みや会議で図書館に誰も来られない日は、放課後に図書館を利用している3年生の生徒(図書委員ではない)が運営を手伝ってくれる(本校では、図書館ヘルパーと呼んでいる)。多くの方の力で、図書館を毎日開館している。

学校図書館は、子供たちの「居場所(空間)」となっている。自分の「役割」を見つけられる場所でもある。

読書は、「総合メディア」である。本を読むことで、登場する場面や疑似体験を通じて、「知」を蓄え、「情」を豊かにし、自分の「意」を持つことができると信じている。

図書館が今以上に子供たちの「心を耕す」存在になることを祈っている。新時代への学校図書館として…。

 (教諭・坂口祥二/現・北九州市立霧丘中学校)


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