「本+新聞」を基本に活動 大分県中津市立東中津中学校

NIEを根付かせる

教員たちとの連携を軸に

本校は2015年度から3年間NIE実践指定校となって以来新聞活用が盛んである。新聞に触れたこともない生徒が多い中、スタートしたNIEだが、今では学習に生活に欠かせない情報源として日常に溶け込んでいる。これまでの取り組みを学校司書の立場から述べたい。

学校図書館内のNIEコーナー
■新聞はここに在る

まず新聞に関心を持つことを目標に閲覧台や目につきやすい場所への掲示、特設コーナー等いつでもどこでも新聞がある風景を作ることから始めた。東日本大震災や18歳選挙権、オリンピックなど折に触れ廊下に全紙で掲示すれば10メートルも連なる新聞が嫌でも目を引き生徒を立ち止まらせた。

新聞を知るためのツールとして新聞のつくりや見出しなどの解説ボードを作製。「新聞deかるた」など遊び心も加え、日常に新聞がある環境を教員たちと共に整えていった。

また、授業活用の際は教員と授業計画を基に意図や目的について打ち合わせを行い、授業後は資料の感想や生徒の様子も教えてもらった。それを基にジャンルを増やしたり、分け替えたりして作ったスクラップブックは30を超える。

「今を継続して切り取り、過去から未来を俯瞰(ふかん)的にみられるように」

「生徒たちの心に響いて世界を広げ、身を守り生きる力となるように」「ある教員は全紙で、別の教員には小さな記事も拾って、この学年には視覚的なものを……とイメージしながら使い勝手の良い学校オリジナルの参考書になるように」――このような観点から記事を集めている。教員と学校図書館がしっかり連携できたことが新聞を根付かせる土台となった。

■しっかり根付いたNIE

NIEが根付いてきたと私が感じたのは2016年度頃だ。始めは単発の活用で教員から突然「この記事が欲しい」と言われ慌てふためいていた。

それが「このスクラップ面白いですね。借りていきます」「なんか良い記事ないですか」「新聞もっとないですか。生徒が楽しいって」と教員が頻繁に図書館に来て、日常的に新聞が活用されるようになった。本校の資料はいつも「本+新聞」が基本だ。

生徒たちにもNIEは浸透した。1年生は入学後すぐにNIEと出会った。与えられた記事の中から自分の興味ある記事を選びなさいと指示され、知らない漢字ばかりの一般紙に戸惑う生徒たち。

それが半年後には「○○について書かれている記事はどこ」と自分から欲しい記事をイメージし主体的に探すようになった。新聞がさまざまな視点から書かれていることに気付き、欲しい情報を得るための使い方を体得する姿が見られるようになった。

さらに2年次では福島新聞を使い、自分で決めたテーマに沿って切り抜き新聞を制作。併せて感想を新聞に投稿するなど外に向けても発信した。

3年次の総合では班ごとにテーマを掲げ情報収集をしたが多くの班が新聞の記事を活用。スクラップブックを見れば関連する記事がまとまって在ること、複数の立場や視点から比較検討ができること、客観的な情報であること、討論で根拠として使えることなど新聞の価値を知り使いこなすまでになった。

卒業前には3年間の学習の振り返りをはがき新聞にまとめNIEの大きな花を咲かせた。目を見張る成長にやってきたことは間違っていなかったと勇気をもらい、感動した。

■学校司書のNIE

「NIEってどうすればいいの」と経験のない私が4年間続けてこられたのは、一つには学校司書をバックアップする環境が整っていたからだ。

2014~16の3年間、市教育委員会が主催する中津市学校司書研究協議会でNIE研究に取り組み、「NIE事例集1・2」を作成した。それをよりどころに学校内でも教員と情報を共有し発展させて活用できた。

司書同士連携がとれていたため、「できる限りの資料を集めますので学校図書館を使ってください」と胸を張って言うことができた。

何より力強かったのは、本校の教員たちが学校図書館に信頼を寄せてくれたことである。教員たちから連携しやすい関係を築いてくれ常に活用してくれた。おかげで司書も臆することなく、共に同じ目標に向かって進むことができた。

NIEの種をまき、日々心を配って育ててきた教員たち。目をキラキラさせてそれに応え、グングン芽を伸ばした生徒たち。根を広げられるよう環境を整え、「教員―新聞―生徒」をつないだ学校図書館。それらが一体となり、今も本校のNIEは進化している。

新しくまかれる種が大きな花となるよう学校図書館には今日も新聞が在る。

(図書館司書・高橋頼子/現・大分県中津市立城北中学校図書館司書)


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