学校給食における衛生管理上の留意点

大阪府立大学大学院生命環境科学研究科
獣医微生物学教室 准教授 勢戸 祥介

学校給食の衛生管理は、学校給食法第9条第1項の規定に基づき「学校給食衛生管理基準」が定められ2009年4月1日から施行されている。

また、法の第9条2項および第3項において、「学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は、本基準に照らして適切な衛生管理に努めるとともに、義務教育諸学校の校長又は共同調理場の長は、本基準に照らし、衛生管理上適正を欠く事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができないときは、当該義務教育諸学校若しくは共同調理場の設置者に対し、その旨を申し出ること」とされており、「学校給食の衛生管理の充実に努めること」が定められている。これに伴い、「学校給食衛生管理の基準」(97年4月1日付け文部省体育局長通知文体学第266号の別紙)は廃止された。

過去20年間の学校給食食中毒発生状況を表に示した。99~08年度の10年間には計58件であったが、09~18年度の10年間には計30件とほぼ半減した。

特に細菌性食中毒が激減しており、これらの要因としては加熱調理および手洗いの徹底が調理現場に浸透した結果といえ、「学校給食衛生管理の基準」および「学校給食衛生管理基準」の制定によるところが大きいと考えられる。

しかしながら、毎年度食中毒が発生しており、さらなる衛生管理の徹底が必要である。このように「学校給食の衛生管理上の留意点」は学校給食衛生管理基準の順守に外ならない。

文科省「学校給食における衛生管理の改善・充実に関する調査協力者会議」の協力者として食中毒発生調理場への現地調査で多く見受けられる衛生管理上不適格な点を「学校給食衛生管理基準」と照らして留意点としてあげる。

調理場は「ドライシステムの導入」あるいは「ウエットシステムについてはドライ運用」を図り、二次汚染防止の観点から「汚染作業区域」、「非汚染作業区域」および「その他の区域(前室を加える)」に部屋単位で区分する。

特に前室には、調理従事者専用の手洗い設備(肘まで洗える、温水供給)を調理従事者数に応じた数を設置する。調理従事者専用便所を設置し、個室外に調理衣の着脱スペースを確保し、個室内に手洗いを設置する。

検収室(スペース)を確保し、検収室内に食品が直接床面に接触しないよう床面から60センチ以上の高さの置台を設け、以後食品は床面から60センチ以上の高さを確保する。

栄養教諭等(不在校の場合は学校給食調理員等)を検収責任者と定め、納入された食品の搬送容器および包装を取り除き、食品のみを専用の容器に移し替えながら品質等を確認する。保存食は可食部を50グラム程度採取し、速やかにマイナス20℃以下で保管する。

納入された食品は使用時まで適切な温度で保管する。下処理室における加熱調理用食品、非加熱調理用食品および器具の洗浄に用いるシンクは別々に設置するとともに三槽式構造とする。

汚染作業区域と非汚染作業区域の境には、カウンター等を設けるなど、食品のみが移動するようにする。とくに非汚染区域の設備は作業動線を確保できるように配置する。調味料等は計量し専用の容器に移し替え非汚染区域に持ち込む。

検食は、検食者が検食を行った時間の記録に合わせて、学校給食は「学校における食育の生きた教材」である観点を含めた意見等検食の結果を記録する。

以上の点は、「学校給食衛生管理の基準」(97年)に続いて「学校給食衛生管理基準」(09年)にも記載されている。これらの点が改善されていない調理場を持つ学校および設置者においては、必要な改善・改修を20年間放置していたことになり、さらに10年間学校給食法を犯していたと言える。

設置者および校長を含む学校給食関係者には引き続き、「学校給食衛生管理基準」を順守し衛生管理の向上に勤めていただきたい。


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