未来の自分に「トリセツ」作成 肥満対策で成果上げる

福島県三春町立三春中学校

三春中学校は、2015年度から2年間、文科省の「スーパー食育スクール事業」、17年度からは「つながる食育推進事業」の指定を受け、今年度で3年目を迎えた。

福島県の健康課題の一つとして、震災後の肥満傾向児の出現率の高さが挙げられ、本校においても生活習慣の変化に伴い肥満傾向児の出現率が高い状況が続くと共に、痩身傾向児の出現率も全国に比べ高く課題となってきた。

課題解決のためには、「つながる」対象を明確に意識すると共に、教育課程の中に食・健康・相談が関連性、系統性を持って設定されていること、食の大切さや食育の必要性を意識化させ実践につなげるため、可能な限りの機会と場を設定し発信すること、健康管理や栄養管理の正しい知識を身に付け、適切な食事量とエネルギー消費量のバランスを理解し、自己管理できる生徒を育成することなど、望ましい食生活を「現在」さらには「未来」につなげ、生涯にわたって幸せな生活を送れるようにするための実践が必要と考え、取り組みテーマを『「つながる食育」~生徒の「今」、そして「未来」につながる食に関する指導~』とした。

実践内容
■学校での学びを家庭につなげる「トリセツ」
将来・未来の自分に向けた「トリセツ」を作成

17年度から3年生の総合的な学習において、生徒の栄養状態や身体状況、中学校での食育のまとめとそれらを基に生徒が考えた健康な生活を送るためにはどんな食事が必要かについて、家族に、そして、未来の自分に伝える「トリセツ」を作成した。

自分の栄養バランスについてはBDHQ結果を、身体状況については年2回実施の体組成計の結果を用いた。トリセツを作る際のヒントとなるよう1・2年生次に行った食に関する授業や技術家庭科の食生活の学習の振り返りを行うなど、他教科等との連携も図っている。個々に作成したトリセツは生徒同士で見せ合い、賞賛やアドバイスをするなど学びを深める学習も取り入れている。出来上がったトリセツは家庭に持ち帰り、家族に説明し、家庭で親と子が食を考える重要なツールとして活用している。

昨年度は、トリセツ作成後、家庭で協力できる取り組みを親子で一緒に考え、トリセツ実行週間を設け、家庭で取り組んでもらった。期間中に郡山女子大学の学生に栄養指導やレシピ作成など、アドバイザーとして関わってもらった。

研究公開授業は、中学校での食に関する授業の学習内容から、食に関するスローガンを考え、将来・未来の自分に向けた「トリセツ」として作成した。授業のまとめでは、生徒が大人になったとき、食べることの大切さを自覚し、正しい食に関する知識を持って心身共に健康で生きていけるよう、将来の自分へアドバイスを送る設定で手紙を送った。

■学校給食を食事摂取の目安量とする取り組み
身体測定の結果なども生かして食事摂取の目安になる学校給食を目指した

身体測定の結果のデータを食事摂取基準に生かし、中央値の給食量が提供できる学校給食を目指した。食事の目安量となるよう4月、9月、1月の身体測定後には、主食の提供量の見直しを行った。

また、どのような組み合わせで食べると栄養バランスが整えやすいかが分かるよう、主菜、副菜、汁物を明確にした献立を提供した。さらに家庭の食事の見本となるよう、旬の食材を使用した献立作成に努めた。給食の時間には、計量器を用いごはんの量を確認する機会を設けた。

■自分手帳の活用
自分手帳

福島県では、自己の体力や健康に関心を持ち、学校での保健指導や体育の指導内容を生かしながら、運動習慣や食習慣、生活習慣の改善に進んで取り組む機会とするため「自分手帳」がある。

本校では、毎月19日に健康カレンダーや食生活のめあてのチェックを通し、自分の生活習慣の振り返りを行った。また、体力テスト結果や食育・保健指導の記録、体組成計の結果のデータから個々の実態を把握させ、家庭に知らせることで、保護者への啓発を行うなど、自分手帳の活用にも取り組んでいる。

成果と課題

・学校給食を食事摂取の基準目安量として捉えさせ、給食の時間に計量器を用い繰り返し配膳指導を行ったことで、痩身傾向児の出現率が2ポイント減少した。

・肥満傾向児の出現率が、4月より1月の発育測定の結果、増加傾向にある。活動量が減る冬場においては、それまで標準の判定であった生徒が、軽度肥満に移行したり、軽度肥満の生徒が中等度、高度肥満に移行したりする傾向もみられることから、オリジナルのダンスなど、全校生徒が一緒になって活動できる取り組みを取り入れていきたい。

全校生徒が楽しくかつ、運動量も確保できるようなダンスを生徒会が中心となり進められるよう手立てを考えていきたい。


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