安全管理の徹底を 季節感や地場の食材も生かして

新港学校給食センター

ずらりと並んだ蒸気回転釜で一斉に調理が行われる

「安全でおいしい給食を子供たちに届けたい」――。全国各地で学校給食に関わっている人たちの願いは同じだろう。その願いを実現するために、どのような取り組みが行われているのか。千葉市西部の中学校20校に、毎日9000食を供給している新港学校給食センターを訪ねた。

給食センターの朝は早い。午前7時に職員が出勤し、7時半には野菜など生鮮品の納品が始まる。すぐに栄養士たちが手分けして野菜の品質、温度、産地を確認し、調理しやすいように小分けしていく。

野菜と肉や魚は、それぞれ専用の荷受室と検収室が設けられており、相互汚染を防いでいる。食材に包丁を入れてみて、もしも傷みがみつかったら、その場で業者に連絡して交換だ。

午前8時半、調理開始。蒸気回転釜に火が入る。調理員は約60人。肉担当は赤色のエプロン、魚担当は黄色のエプロンを身につけ、担当以外の食材を触らないように徹底している。これも細菌の相互汚染を防ぐ工夫だ。出来上がった給食はクラスの人数に応じて食缶に分けられ、配送用のコンテナに積み込まれていく。

洗浄される蒸気回転釜。焦げ付かないので作業効率が上がるという

午前11時ごろからトラックで配送が始まる。先ほどまで下処理室で作業していた人は、ハンドルを握る運転手に早変わりする。新港学校給食センターはPFI事業による民間企業として運営されており、従業員が洗浄と運転手を兼務するのも経営効率化の一環だ。

給食で求められる「食の安全」について、小川達也所長は「当たり前のことを徹底的にやる。定められた衛生管理基準を順守すること。それだけです」と語る。釜で煮るときは80度以上の温度になっているか3カ所で検査する。

とんかつのような揚げ物は味見で火の通りを調べるだけではなく、出来上がった料理の温度を計測する。何重にもチェックを繰り返す安全確保の手順は、いずれもHACCP(ハサップ)で定められた衛生管理基準に準拠している。

小川所長は小学校の校長を4校で歴任し、2005年の栄養教諭制度設立のプロジェクトチームのメンバーとして文科省で調査官を務めるなど学校給食の在り方に詳しい元教員だ。

子供の貧困問題などで学校給食の役割が改めて注目される中、「学校給食が持つ意味は深い。やるべきことは、まだまだあります」と話す。

「おいしい給食」を目指す献立作りには、4人の栄養士が知恵を絞っている。そのひとり、米倉琴音さんは「子供たちに人気の献立は、やっぱりカレーと揚げパンです。栄養価はもちろん、季節感や地場の食材を生かすことにも配慮して献立を作るので、カレーは一カ月に1回ぐらいになります」と説明する。

新港学校給食センターの小川達也所長と栄養士の米倉琴音さん

給食センターに赴任する以前は、生徒数120人足らずの千葉市としては小さな小学校に3年間勤務していた。「児童の反応をみながら献立を考えました。『おいしかった』『ごちそうさま』と、子供たちの声を聞くのがなによりうれしいですね」と笑顔を見せる。

そんな毎日を支える調理器具が、一度に1000人分を調理できる蒸気回転釜だ。ひとつの釜で、煮込み、炒め物、炊飯、スープといったあらゆる料理を調理できる。都市ガスを熱源とする強力な蒸気ボイラーで一気に加熱するので、火加減にムラがなく、食材の焦げ付きやくっつきもほとんど起きない。

新港給食センターの調理室には、この強力な蒸気回転釜16基がずらりと並ぶ。米倉さんは「蒸気式なので、均質に早く火が通る。焦げ付かないから、食材に無駄が出ないし、洗浄も楽です」と話してくれた。

午後1時半には各学校から食缶・食器・残菜が回収され、調理場とともに洗浄が始まる。全ての作業が終わるのは午後4時半。食缶・食器等を保管する消毒室は部屋全体が乾燥・消毒され、翌朝を待つことになる。


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