(公財)海技教育財団
海洋国ニッポンが誇る帆船「日本丸」と「海王丸」は、(独)海技教育機構が運航する全長110メートル、マストの高さ海面上50メートルの大型練習船である。船長、機関長、航海士などになるのに必要なライセンスを取得するため、海技教育機関の実習生が航海訓練を行っている。
「海王丸」を所有する(公財)海技教育財団(朝倉次郎会長)は、海技教育機関が優秀な船員を育成するために必要な支援や、青少年に海洋や船舶、船員という仕事に関心を持ってもらうのを狙いに、同船を活用した「海洋教室」や「体験航海」などさまざまな活動を行っている。
奨学金制度
優秀な船員を確保・育成するための支援の一つとして、海技教育機関向けの奨学金制度を1951年から運営してきた。これまで無利子貸与型のみだったが、今年度から新たに返還を要しない給付型をスタートさせた。

無利子貸与型は、船員を志望する東京海洋大、神戸大の商船系学部及び商船系高等専門学校の学生と、(独)海技教育機構の学校(海技大学校、海上技術短期大学校、海上技術学校)の学生・生徒が対象。船員を志望する多くの学生・生徒が、奨学金を利用し自らの志を実現する上で重要な支援となっている。資金は、卒業後の返還金を新たな奨学金として運用することで事業の継続が図られている。
新たに始まった給付型は、海上技術短期大学校の船員への志望が強い学生が、経済的理由で修業を断念することなく志望を貫徹できるよう、海運業界の支援により創設された。
海技教育機関への支援のためDVDを作製
海技教育を実施する学校への支援として学校紹介や学生募集のためのDVDを作製し、関係する学校、海事関係者などに配布している。
具体的には、海上技術短期大学校・海上技術学校向けとして、座学・実技の教育内容や施設、各学校に所属する小型練習船での実習シーン、内航用練習船「大成丸」(4世)での教育訓練の映像を盛り込んだDVD「青春 Full Ahead 船の学校で夢をつかもう!」を作製し、これらの学校への進学に対する関心喚起、募集活動の向上を図っている。
また、商船系高等専門学校向けに「商船高専に突撃!体験入学!~15歳の針路設計~」を作製。外航海運の船員を目指す優秀な若者の増加を目指している。
青少年に帆船の体験を
小学校4年生以上を対象にした「海洋教室」では、停泊中の帆船「海王丸」において、船内の見学、舵輪回し、セール(帆)の展帆・ヤード回し、椰子による木甲板磨き、ロープワーク、機関室見学などが体験できる。昼食は練習船カレーが堪能できる。
高校生以上を対象とした国内体験航海(4~6日程度)や、国内体験航海経験者を対象に遠洋体験航海(30日程度、外国下船)を実施し、練習船の実習生とともに航海当直などの日課を行い、リアルな船内生活を体験することができる。
詳細は同財団サイト。