北海道公立学校における 校務支援システムの活用に向けた取り組み

北海道教育庁学校教育局教育環境支援課

〔取り組みの背景〕

北海道教育委員会(以下「道教委」という)では、2010年度から、公立学校向けの「共同利用型校務支援システム」の開発・普及に取り組んできました。

北海道は、国土の22%を占める全国一の広大な土地に179の市町村を有しているため、全道を14の区域に分け、それぞれの区域に「教育局」と呼ばれる教育事務所を置いています。

県費負担教職員の人事異動は、この教育局単位で行うことを基本としていますが、1つの教育局が担当するエリアが広範囲に及ぶため、異動の際には引っ越しを伴う場合もあります。

さて、教員が校務を行う上で、日常的に使用される児童生徒名簿や出席簿、通知表、指導要録等については、多くの学校において、表計算ソフトなど用いて独自のシステムを構築・活用していた実態があり、このため、教員が異動した場合には、不慣れなシステムを一から使わなければならず、教員の大きな負担となっていました。こうした状況を踏まえ、「教員の日常的な業務はもとより、異動に伴う負担を減らすことができないか」ということが、本道の「共同利用型校務支援システム」の開発に取り組むきっかけとなったのです。

〔システムの導入〕

本道の「共同利用型校務支援システム」(以下「道のシステム」)は、09年に基本設計に着手し、10~11年にシステム開発を行い、その後の試験運用を経て、12年4月から本格稼働しました。

道のシステムの開発時には、道立高等学校の教職員を中心にヒアリングや検証を行ってきたため、教科・科目が多く開設されている高等学校での利用に適していました。その一方、小・中学校における利便性に課題があったので、より使いやすいものとなるよう、あらためて各市町村を訪問の上、学校現場の教職員から聴き取りを行い、最終的には、小・中学校については民間の校務支援システム(以下「新システム」)を活用することとしました。

新システムの導入に当たっては、14年に民間ソフトウェアを選定し、15年には4つの自治体の28の小・中学校をモデル実践校に指定して実験・検証を行い、16年度から本格的に運用を開始しました。その際には、メーカーの協力の下、長期休業期間中に操作方法に関するセミナーを実施し、受講した教員から他の教員に指導してもらうことを通して活用方法の普及を図るとともに、使い方が分からない場合への対応としてヘルプデスクの設置や現地訪問によるサポートを行うなど、その利便性の向上に努めてきたところです。こうした体制づくりを行った結果、新システム導入の効果を高めることにつながりました。

〔効果や課題〕

モデル実践校における取組の成果として、「学級担任1人当たり年間平均換算116.9時間(1日当たり29分)の負担が軽減」され、その大きな要因として「通知表と指導要録の作成にかかる時間が大幅に削減された」ことが挙げられました。

システムの特徴として、帳票に入力された情報は他の帳票への2次利用が容易であり、1度入力された児童生徒名簿などは、簡単な操作で出席簿や通知表、指導要録へ転記できるため、転記ミスを防ぐのが可能となります。このため、以前は多くの教員が負担に感じていた通知表や指導要録の作成にかかる時間が大幅に削減され、負担の軽減へとつながったものと考えています。

その他には、システムを活用した出席簿の管理や、グループウェアの活用による打合せ時間の削減、システム導入時における校務分担の見直しなども成果として挙げられていました。

一方で、学校のシステムの活用状況により負担軽減された時間に差が見られる課題が明らかとなりました。この結果から、単にシステムを導入するだけで効果が出るものではなく、効率的な校務遂行の観点から、システムの導入と合わせて校務の見直しを図る必要があると考えています。

〔現在の活用状況〕

19年8月1日現在、札幌市を除く北海道での共同利用型校務支援システムの導入は、56市町村334校、導入率は約21%となっています。道教委としては、今後も校務に係る教員の負担軽減と教育の質の向上を目指し、各市町村の導入促進に取り組んでまいります。


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