大会のみどころとICT教育の現状とこれから

日本教育工学協会会長 横浜国立大学教職大学院教授 野中 陽一

第45回全日本教育工学研究協議会全国大会は、授業公開を雲南市で、全体会を松江市で開催されます。開催に当たって島根県教育委員会、松江市教育委員会、雲南市教育委員会をはじめとする関係者の方々に感謝申し上げますとともに、全国からご参加いただく皆様に心から歓迎の意を表したいと思います。

本大会のテーマは、「日常的なICT活用が拓くクリエイティブな学びを目指して」です。

文部科学大臣の「学校のICT環境整備は『危機的状況』」という発言、中央教育審議会初等中等教育分科会特別部会での堀田前会長の「学校現場の情報化『致命的な遅れ』」といった発言にみられるように、日本の教育の情報化は世界と比べて遅れており、地域格差も広がっているという現実があります。

「ICTを活用した教育を充実するためには、ICTを日常的に活用できる環境とすることが重要」(学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議)であると指摘されているように、来年度から実施となる学習指導要領の理念を実現するためには、教室のICT環境整備が不可欠であり、日常的なICT活用の定着が大前提です。

教師も児童生徒も日常的にICTを活用することを通して、学習の基盤となる資質・能力としての情報活用能力を育成し、その力を発揮することでクリエイティブな学びが拓けるのです。授業公開、パネルディスカッション等を通して、そのプロセスを学べると思います。

日本教育工学協会、通称JAETの全国大会は、全国各地の教育研究団体の主体的な取り組みを核に、地元の教育委員会のご協力、賛助会員の皆様のご支援で開催が可能となります。2年前の大会からは、開催の前年度からパナソニック教育財団のご支援をいただき、JAET役員が授業公開校の研究支援を行う取り組みも進めております。

今回も全国大会開催に向けて、島根県メディア教育研究会を中心とした実行委員会が早くから組織され、公開授業校6校では、情報活用能力の育成、ICT活用に関する実践研究を積み重ねてこられました。

島根県教育委員会の指導主事の方々や企業の皆様からも多大なご支援をいただき、研究に協力していただきました。

研究発表は110件を超えました。できるだけ多くの方に発表していただけるよう、教育工学に関わる研究や実践の発表であれば、どなたでも申し込むことができるのもJAETの全国大会の特徴です。まだ発表されていない方も今年の発表を参考にして、次年度の鹿児島大会に向けて準備を進めていただければと思います。

ワークショップは昨年度と同様、研究発表と並行しての実施となります。企業が開発した教育システムや財団、NPO等の研究成果等8つのプログラムが企画されています。日本教育工学協会の活動は、主に賛助会員の皆様からのご支援、ご協力に支えられて行われております。企業展示の見学、企業の方々との交流もぜひお願いします。

これらの多様で充実したプログラムを通して実践と理論の交流を行い、連携協力関係をさらに拡大していただければ幸いです。


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