「1人1台」や働き方改革の実現 新教材整備計画のポイント

坂本淳一 教育財政室長に聞く

全国の小中学校に1人1台環境を実現させるGIGAスクール構想、新学習指導要領の全面実施や学校における働き方改革など、学校現場は今、変革の過渡期にある。これらの改革を実現するために欠かせないのが教材整備の視点だ。変革への流れの中で、新たな教材整備計画ではどのようなことが求められるのか。文科省初等中等教育局財務課の坂本淳一教育財政室長に聞いた。

1人1台の実現に向けて
――政府の2019年度補正予算では、GIGAスクール構想に2318億円が計上されている。18年度から始まった「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」(ICT5か年計画)との関連は。

「ICT5か年計画」では、2018~22年度までの5年間に、3クラスに1クラス分程度の学習者用コンピューターの整備を含む学校ICT環境の整備を進めるため、単年度1805億円の地方財政措置が講じられている。

新教材整備計画について説明する坂本淳一教育財政室長

各自治体では、こうした措置を活用しながら、それぞれの実情、考え方により学校ICT環境の整備を進めているところだが、その状況には自治体によってばらつきがあり、十分な整備が進んでいないところもある。

こうした中、国は「多様な子供たちを誰一人取り残すことない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現」させることを目的に、「1人1台」環境を実現させるために「GIGAスクール構想」を打ち出した。

具体的には、各自治体が「ICT5か年計画」の活用により作成する、2022年度までの「3人に1台」に向けた整備計画を基本とし、そこへ「1人1台」の端末整備について、定額の国庫補助が行われる。また、校内通信ネットワークについては、校内LANの整備にかかる2分の1の国庫補助および地方負担分にかかる補正予算債等所要の地方財政措置が講じられることとなる。

今後、「1人1台」環境を実現していくためには、教育委員会と首長部局で「1人1台」のその目的や成果、イメージを共有するとともに、保護者や地域住民をはじめ、学校での「1人1台」が当たり前の光景になることへの理解を広く求めていく必要があるだろう。そのための学校における取り組みなどの情報をしっかりと発信していくことが重要だと考えている。

働き方改革の視点も盛り込まれた新教材整備計画
――新学習指導要領の全面実施を前に教材整備指針が改訂された。改訂のポイントは。

文科省ではこれまでも、学習指導要領の改訂に合わせて、学校に標準的に備える教材の整備指針を策定してきた。

昨年8月に改訂した「教材整備指針」では、小学校の新学習指導要領全面実施を控え、小学校で必修化されるプログラミング教育に関するソフトウエアやハードウエアなどを加えたほか、近年の技術革新を受けて、特別支援学校における視線・音声入力装置、中学校での3Dプリンターなども新たに盛り込んでいる。

新教材整備指針の改訂ポイント

そして、この指針の改訂を踏まえ、新たに2020~29年度までの「義務教育諸学校における教材整備計画」(教材整備計画)を策定しており、単年度措置額は約800億円、10年間で約8000億円を普通交付税として措置する見込みでいる。

――学校における働き方改革に関連したものではどのようなものがあるか。

今回の指針の改訂では、学校における働き方改革に資するため、拡大プリンターや丁合・スキャナーなどの機能を備えた複合機等を追加した。

これら教師の負担軽減にも資する品目は、「教材整備計画」の中に含まれる形であるが、2024年度までの「学校における働き方改革のための事務機器整備5カ年計画」として位置付けており、単年度措置額で48億円、5年間で240億円の措置を見込んでいる。

――今後の教材整備を巡る課題は。

学校のICT環境の整備が進み、「1人1台」が当たり前という状況が進んでいくと、デジタル教材を含め、教材整備の在り方も改めて議論していく必要がある。「教材整備計画」を進めていく中で、指針を踏まえた教材の整備状況や学校のICT化の進捗などを勘案しながら、検証をすることも重要と考えている。

「1人1台」環境の実現に向けた動きの中、あるいは、教師の働き方をどう考えていくかという中で、ICT環境や教材の整備を含む教育環境整備については、国・地方を問わず取り組んでいくべき課題である。

厳しい財政状況の下、「1人1台」のICT環境がいわば当たり前の状況になるということも見据えながら、学校現場における教材整備の在り方、その必要性を改めて整理し、総合教育会議を含め、さまざまな場での成果の検証、評価を進めていくことが大切であると思う。


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