研修の充実で学校図書館の有効活用へ 担当教諭、学校司書らの連携図る

神奈川県大和市教育委員会

指導方法の工夫、探究学習など考察

はじめに

神奈川県大和市は「図書館城下町大和」を旗印に、「文化創造拠点シリウス」内の市立図書館を中心として読書活動を支える環境を整備している。「大和市教育基本計画」の重点施策の中に、読書活動を掲げており、学校図書館においても環境整備に努めている。具体的には、学校図書館のリニューアル、電算化、市内公立全小中学校の学校司書の配置などである。

中でも市内28校全校に配置されている学校司書と学校図書館教育担当教諭への研修の充実は、教委の重要な責務として捉えている。昨年度実施した研修の取り組み内容と研修後の振り返りを紹介する。

学校図書館教育担当者会の開催

年に2回、学校図書館教育担当教諭の研修を行っている。昨年度の1回目は担当教諭と学校司書の合同研修。学校図書館運営について互いの役割を確認した上で連携を図って効果的な学校図書館利活用をするための講義を行った。2回目は担当教諭のみで実施。各学校に配架されている児童生徒向けの新聞を使ったワークショップを行った。

内容は気になった新聞記事を選び、ペア、グループで意見交流を行い、自分の考えをまとめるというもの。研修の振り返りには「子供の思考の流れを体感できる貴重な時間となった」「授業に取り入れていきたい」など前向きな受け止めが寄せられた。

今年度は合同研修において、各教科の年間指導計画と学校行事予定を基に各学校の学校図書館活用計画を協議する場を予定している。アイスブレーキングを交え、担当教諭と学校司書のコミュニケーションの充実も狙いの一つとしている。コミュニケーションを図りながら連携を強め、学校図書館をより効果的に活用してもらえる研修としたい。

学校司書連絡会の開催

年に3回、学校司書を対象に連絡会兼研修会を開催している。昨年度の1回目には、本市教委所属の守屋明美スーパーバイザーによる「情報ファイルについて」の講義、演習を行った。演習で、実際に情報ファイルを作成し、互いの気付きや作業方法を比べ、技術をより向上させる研修となった。

ワークショップで学校行事を意識したディスプレーを作成

2回目は、本市教委主催イベント「読書フェスティバル」の打ち合わせを行った。図書館クイズや読み聞かせ、大和市図書館を使った調べる学習コンクール入賞作品のディスプレーについて、学校司書たちが熱心に相談を行った。

3回目には、市立図書館の司書による「季節のディスプレー~冬~」のワークショップを実施。新聞広告のカラーページを使って節分の飾りを作成し、完成した飾りは持ち帰って各学校のディスプレーを賑わせた。

地域別学校司書連絡会の開催

本市を4つの地域に分け、近隣の小中学校の学校司書が集まり、年3回連絡会兼研修会を行っている。年度ごとにテーマを設け、それに沿った実践報告を30分程度行った後、実践報告の内容について協議している。

地域別学校司書連絡会による研修

昨年度のテーマは「不読者を図書館へ誘う試み」。手作り館内図での図書館オリエンテーションをはじめ、季節や学校行事を意識したディスプレー、読書ビンゴや本の福袋などの館内イベントの取り組みといった学校司書の工夫に満ちた実践が報告された。

報告後の協議では、選書の情報交換やディスプレーに使える小物作りの情報提供が学校司書同士で行われた。学校司書自らが知識の伝達を行い、互いに刺激を受け、充実した時間を共有する場となっている。

学校図書館の活用―「調べる学習」を考える

2017年から3年間、市内小中学校の全教職員を対象とし、学校を訪問して講義、演習する研修を行っている。

全国SLA学校図書館スーパーバイザーの藤田利江氏を講師に招き、新学習指導要領に記された学校図書館の活用の在り方や図書館を使った指導方法の工夫、探究的学習の推進について指導してもらった。

研修会の中で新たな発見、次へ疑問があると自然と対話が生まれ、感嘆の声や拍手などが起こっていた。3年間、市内全教職員に研修を行った意義は大きく、今後の授業展開が楽しみである。

おわりに

昨年度、行われた忘れられない研修がある。公共図書館を写真で紹介したり、読書フェスティバルの映像を流したり、一見、知識や技術の向上には結び付きにくい研修だ。

しかし、会場には、受講者の「楽しかった」の声やうれしそうな表情があふれていた。研修を考えるときには、この雰囲気を大切にしたいと考えている。

今後、実践につながる知識や技術を習得させる内容も大事にしながら、心に響く研修を行い、学校図書館教育の充実に努めたい。

(教育部指導室指導主事・高橋歩)


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