「校長=学校図書館長」の認識で リーダーシップで活性化を実現

福島県いわき市立菊田小学校

子供たちの読書習慣を育てる

文科省ガイドラインを下に

「学校長が学校図書館長」という認識を持って学校運営を行っている校長は多くはないのが現状ではないだろうか。

文科省が提示した「学校図書館ガイドライン」では、学校図書館の目的を明示するとともに、その運営について「校長は、学校図書館の館長としての役割も担っており、校長のリーダーシップのもと、学校図書館全体計画に基づき、教職員と連携し、計画的・組織的に学校図書館の運営がなされるように努めることが望ましい」と示し、「校長は、学校教育における学校図書館の積極的な利活用に関して学校経営方針・計画に盛り込み、その方針を教職員に対し明示するなど、学校図書館の運営・活用・評価に関してリーダーシップを強く発揮するように」と明記している。

学校課題の解決を目指した図書館環境整備

本校は、福島県の浜通りのいわき市南部に位置し、各学年3学級、支援学級2学級、全校生約500人の学校である。学校図書館は校舎4階の端に設置され、子供たちからは遠い存在であった。

学校図書館を活用した授業が活性化した

本校の教育課題の一つの柱が「確かな学力、豊かな人間性」の育成である。読解力、表現力、感性、想像力を育てる基礎となるのが読書であると考え、学校運営ビジョンに「学校図書館の充実を図り、読書の好きな子供に育てる」「学校図書館ボランティアを活用し、読書環境を整備する」を挙げ、学校運営に取り組んだ。

学校図書館の環境整備として、次のことに取り組んだ。

①学校図書館ボランティアの組織化

日課表の朝の時間に週に一度、読書タイムを設け、保護者を中心としたボランティアによる読み聞かせを行っていたが、図書館環境を整備するボランティアは組織されていなかった。PTA総会や学校だよりで、ボランティアを募集し、組織ができた。学校司書の勤務日を活動日に設定し、本の修理や書架の整理、季節に応じた装飾などもできるようになり、図書館の雰囲気も変化のある明るいものになった。

②学校図書館のリニューアル

図書館に子供たちの姿が多くなったものの、教職員が「学習センター」「情報センター」として活用するには使いづらい図書館であった。これまでは著者別配置をしていたため、図書分類表によって本を配置することを軸に、書架の配置替えや学習スペースの確保などの図書館のリニューアルを行った。

京都から全国SLA学校図書館スーパーバイザーの向井純子氏、元小学校長の青野京子氏を招き、指導を受けながら、司書教諭や学校司書の現状把握と試案を基に2日間で大規模なリニューアルを行った。

子供たちの手によって本の引っ越しが行われた

初日は、司書教諭が指導し、5年生が全ての本を書架から移動させ、分類番号順に廊下や家庭科室の床に並べた。当日は多くの地域ボランティアにも一緒に作業してもらい、効率よく移動ができた。

放課後は教職員で書架の移動、そして学習スペースを作成した。蔵書数から書架の配置を決め、分類の見出しを置き、本がスムーズに移動できるようにした。書架を子供たちの見やすい高さに調整するなどそれぞれの特技を生かした作業に取り組んだ。

2日目は、6年生が運び出された本を新しく配置された書架に移動した。子供たちはリニューアルされた図書館に驚くとともに「自分たちが図書館を創るんだ」という思いで本を移動していた。最後の仕上げは図書館ボランティアに手伝ってもらい、2日間でリニューアルが完成した。

取り組みの主な成果
①学校図書館オリエンテーション
学校司書が全学級で実施した。図書の並び方やラベル記号について理解を図った。
②ボランティア活動の充実
読み聞かせや環境整備をしてもらう保護者ボランティアの方々がより意欲的に活動してくれた。
③委員会活動の活性化
図書委員会は多くの子供たちに図書館に来てもらえるようにと活動を工夫した。
④司書教諭・学校司書の資質の向上
図書の利用、そして学習センターとしての図書室利用が多くなった。司書教諭と学校司書の連携による読書指導が充実し、学校司書は、ブックトークなど各学級での活躍も多くなり、学力向上にも寄与した。

学校課題という校長と教職員をつなぐテーマに、学校図書館長という視点から光を当てると、学力の基礎としての読書習慣が見え、その土壌としての学校図書館の環境整備という道筋が明らかになった。

多くの方々に関わってもらうことにより、学校図書館に寄せる思いや期待を教職員、子供たちに感じ取らせることができた。それが読書習慣につながった。校長だからできること、校長にしかできないことをぜひ実践してほしい。

(前福島県いわき市立菊田小学校長・松本光司)


【トップに戻る】