人と情報がつながる場所に 主体的な学びや創造的な活動を展開

茨城県立水戸工業高等学校

自己承認も積極性も高まる

はじめに

本校は、工業化学、機械、電気、情報技術、土木、建築の6学科を有し、2019年度に110周年を迎えた工業高校である。

教室棟にあり、職員室にも近い図書館は、立地条件の良さから来館者は多い。「人と人、人と情報がつながる場所」としての実践をまとめてみた。

生徒の作品を図書館に

図書館では「工業高校らしい、居心地の良い図書館」をコンセプトに、3年生が課題研究で製作した作品を寄贈してもらい活用している。建築科が製作した展示架や書架、教卓、返却箱は、存在感があり、オリジナルならではの作品となっている。

情報技術科が製作した電光掲示板は、遠くからでも図書館のお知らせが分かるデザインで、「生徒の手作りとは思えない出来栄えで、工業高校ならでは」と外部の評判も良い。

製作に関わった生徒は「図書館に来るのが楽しみになった」「自分の作品が活用されてうれしい」と、誇らしげな表情で話してくれた。

図書委員会の主体的活動
▽店頭選書で図書館参画
生徒が書店で本を選び蔵書構築に参画する

店頭選書は生徒が実際に書店で本を選び、蔵書構築に参画する活動である。「本と人をつなぐ活動」として、やりがいを持って参加する生徒が多く、毎年大変人気の行事である。

事前に収集方針や選書基準を学び書店で選書した後、校内プレゼンを行う。本を選んだ理由やお薦めポイントなどを発表するのだが、図書委員同士の興味関心を共有する時間で、好きな本を紹介する生徒たちの表情は大変うれしそうだ。

購入した本のコーナー展示をして、POP作成も行う。通常は校内展示だが、昨年度は、選書会場の書店に「高校生がおすすめする本コーナー」を設置するなど校外にも活動の場が広がっている。

図書委員作成のPOPが並ぶ新しい本のコーナー
▽本との出合いを演出
①七夕

恒例行事となっているのが「応援したい願いごとベスト5」を選び景品を渡すというもの。「他の人の願いがかないますように」など、思いやりある願いごともあり、生徒たちの優しさを感じる行事でもある。

19年度は、初めて「七夕コンサート」を実施した。図書館担当教諭の長である図書部長とジャズバンド部顧問の演奏に酔いしれ、優雅な昼休みの時間を過ごすことができた。

②ハロウィーン読書週間

10月はハロウィーン読書週間キャンペーンを実施している。ポイントカードを発行し、貸出冊数に応じて文房具などの景品を渡したり、昇降口にクイズを掲示し正解数に応じて雑誌の付録を渡したり、行事担当の図書委員が試行錯誤しながら企画運営している。景品を目的に図書館に来た生徒が、その後常連になることもあるため、年間で一番力を入れる期間となっている。

③クリスマス

1年で一番盛り上がる行事がクリスマスである。「世界の文化を知ろう」というテーマで実施したクイズ大会や、翌月のお正月イベントの準備を兼ねた「本の福袋」作成など、内容は多彩である。

19年度は、海外で人気のピニャータ、ミニビブリオバトル、ジャズバンド部兼図書委員の演奏を楽しんだ。

各行事運営の際に有効に使われているのが、PDCAサイクル表である。グループでリーダーを決め、PDCA表に活動の目的や計画、行動、振り返りなどを記入する。自主性、計画性、コミュニケーション能力の向上が見られ、大変有効である。

見聞を深める校外研修

長期休業中には、希望者を募って校外研修を実施している。司書教諭の考案で、NIE活動に役立つ日本新聞博物館見学、日本最大の図書館である国立国会図書館見学、出版に興味関心を持つ生徒の発案で実現した出版社の講談社見学などいずれも生徒たちの知的好奇心を満たす有意義な研修が実施できている。

少人数制英会話レッスン

19年度からALT英会話レッスンが英語科教員の協力で実現した。英語が苦手だが英語が好きでALTとたくさん話したいという生徒が参加し、季節の話題や英語すごろくなどを行いながら英会話を楽しんだ。フリートークならではの企画も満載で好評のため、次年度以降も継続したい。

終わりに

図書委員に限らず図書館行事に積極的に参加した生徒は、他者との関わりを深め自己承認も高まり積極性も増している。控えめだった図書委員も、友人が増えたり、役員を希望したり、成長を感じる。

これからも生徒たちが自発的で主体的な学びや創造的な活動を図書館でできるように、教員たちとビジョンを共有しながらサポートしていきたいと思う。

(学校司書・水野谷由紀子)


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