「なぜ」に答える学校図書館 主体的な学びを支える

横浜市立軽井沢中学校

疑問を見つけ解決できる力を

小規模校の利点を生かして

本校は横浜市の中心部にあり、生徒数255人、各学年3クラスの小規模校である。司書教諭が担当する国語科についても、一人の教員が同じ学年を入学から卒業までの3年間を担当できることが多いため、長いスパンの中で生徒たちにどのような能力を身に付けさせたいのかをじっくりと考えながら、繰り返し取り組ませられるという利点がある。

「図書館を使った主体的・探究的な学習」「情報活用能力の育成」についても、国語科の時間と総合的な学習の時間を連携させつつ、同じ生徒たちと3年間の学びを積み重ねられるという利点を生かしながら、学校司書とともに試行錯誤しながら授業を作ってきた。

3年間を見通した取り組み

入学したての1年生が4月に取り組むのが、「学校図書館を使って中学でがんばりたいことを調べよう」というもの。

NDCを見ながら本を探す

ここでは、NDC分類(日本十進分類法)やレファレンスの利用など本を探すために必要な知識について説明し、今後の調べ学習につなげるための布石とした。

5月には、学年遠足で出掛ける鎌倉について、主に百科事典と鎌倉市の公式ホームページを活用し、鎌倉大仏についての項目を視写させた。各媒体の特徴や信頼性、記述の違いなどを生徒各自が気付くのを目標とした。複数資料に当たることの大切さや著作権、出典を明示することの重要性についても学んだ。

ここまでは、調べ学習の基礎的な知識・技能を伝える準備期間ともいえる。

より本格的なスタートは定期試験後、試験範囲の国語科の教科書の中から各生徒が自分で疑問を持ったこと、興味を持ったことを見つけて調べ学習を行うというものだ。

例えば、「大人になれなかった弟たちに」が試験範囲だった際には、戦時中の子供たちの暮らしを調べる生徒がいる一方で、防空壕(ごう)などについて調べる生徒もいた。同じ試験範囲であっても、全く違う教材からテーマを見つけた生徒もいた。この後、自然教室で訪問する山梨県北杜市や職業に関する調べ学習など、2年次に向けた事前学習も1年次に行った。

2年生に進級してからは自然教室、職業調べなどの事後学習も行い、定期試験後の調べ学習も繰り返し続けた。

調べ学習の集大成として2年生の3学期から取り組んでいるのが、沖縄修学旅行に向けての探究学習である。沖縄に関するテーマを各生徒が設定し、各自の視点から調べ学習を進め、発表することを目標としている。

「調べ学習」を「主体的な学び」にするために

調べ学習を繰り返すうちに教員としての気付いた最も重要な点は、一人一人の生徒について調べ学習のテーマになぜそれを選んだのかを明確にすることこそが、主体的な学びのスタート地点になるという点だ。

沖縄修学旅行に向けて探究学習に取り組む

与えられたテーマを受け身で調べるのではなく、自らの体験や興味関心から欲した「なぜ」を生徒自身が見つけることこそ、主体的な学びの姿勢につながるということを実感した。

これを踏まえて、テーマを選んだ理由を生徒自身が常に振り返られるように、調べ学習で使用する『情報カード』『まとめのカード』も授業を重ねるたびに改定した。

学校司書の立場からは、生徒の「なぜ」に寄り添った資料を常に提示できるように、日々準備することを心掛けるようになった。

具体的には、司書教諭とのコミュニケーションをより密にし、授業の進捗(しんちょく)や生徒のテーマ設定の変化などに関する情報を入手できるよう心掛けた。

常に変化する生徒の「なぜ」に対応できるように学校図書館内の蔵書をこまめにチェックし、不足する場合は、インターネットを活用して信頼できるサイトから資料をダウンロードするなどして準備を行った。新しい図書資料の購入も随時検討するようになった。

司書教諭は主体的学びを生み、学校司書は生徒の意欲を支える

こう考えると司書教諭は生徒自身の「なぜ」を引き出し、主体的な学びを生み出す授業づくりを行うのが責務だともいえる。

一方、学校司書は司書教諭が生み出した主体的な学びに向かおうとする生徒の意欲が持続するように、より的確な資料を常に提示し続ける任務があるように思う。

学校図書館を用いた授業を行うとき、情報活用能力育成の視点から生徒たちに指導しなければならない点は多岐にわたるが、調べた内容を基にそれをさまざまな形に変化させながら学びが深まっていくことも魅力だと感じている。

中学校を卒業した先も生徒自身が自分で疑問を見つけ自分で解決できるような力を育むためにも、これからも図書館を使った主体的・探究的な学習に取り組み、よりよい授業を模索していきたい。

(司書教諭・江平陽子、前学校司書・山口佳子(現横浜市立東鴨居中学校教諭))

 


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