教職員がチームとなって 読書習慣を付けさせる工夫を

大阪府熊取町立熊取北中学校

学びの根幹を支える「朝の読書」

好きな本の世界を知る

全校一斉に年間を通し朝の読書を行っている。1日の始まりの朝、静かな音楽が流れている間、自分が選んだ「本の世界」に浸る。

担任と共に読書に集中する教室では、静寂な落ち着いた空気に包まれ、そこから1日の学校生活がスタートする。寒い冬も暑い夏も廊下で本を読みながら見守る担任外の姿がある。そんな全教員の取り組みが朝の読書を支え、基礎的な言葉の力の向上を支えている。

図書委員作成のアンケートで「朝の読書で本に少しでも興味がわきましたか」「読むことが楽しいと思えていますか」の各項目で「イエス」が多くなった。

活字離れや読書離れを聞くが、朝の読書によって1日1回、必ず本を読む機会ができる。好きな本の世界を知り、また、教科書を読む力や問題を正しく理解する力が身に付くのではと期待できる。

町立熊取図書館のスクールサービスデーにおいて図書委員が選書した学級文庫を各教室に設置、これを毎月の専門委員会で入れ替え、多くの本と出会えるようにしている。全教員の協力で作成したお薦めの本を紹介する冊子『熊北teachers』と本を展示したコーナーは人気があり、読書習慣を身に付ける工夫の一つとなっている。

全校生徒・教職員がチームとなった取り組みにより、2019年子供の読書活動優秀実践校として「文部科学大臣表彰」を受けた。

「ビブリオバトル大会」で本に親しむ

伝え合う力を高める目標の授業では、全学年でバトラーを体験し、読書の秋に「熊北ビブリオバトル大会」を実施している。司会進行は生徒会と図書委員会が協働で担当。全クラスから選出された代表が一押しの本を紹介する。

全学年でビブリオバトル大会を開催

チャンプ本の集計時には図書委員による「書評漫才」を組み入れる。全校生徒は言葉豊かな本紹介に聴き入り、発表者の人となり・本・言葉の魅力に改めて気付いていく。

多くの生徒の「言葉についてよく考えさせられた」「言葉の力をよく知り、とても成長できた」という感想から、一連の取り組みを通して、論理的に自分の考えを書く、主体的に話す・聞くなどの言語力を身に付けられていることが分かる。各クラスのチャンプ本を図書館に展示すると、次々に貸し出され予約待ちとなる。

つながりを育む「読み聞かせ交流」

図書委員会では学校司書から本の持ち方などのアドバイスを受け、読み聞かせを行っている。自分たちで輪になって読み聞かせの練習をしている姿がほほえましい。

「すごく引き込まれ世界観がよく伝わってきた」「学年が違うと普段は触れ合えない方と触れ合える機会となり良かった」などの感想があり、本を楽しむだけでなく異学年のつながりを深める機会ともなっている。図書委員としてのやりがいを得たという感想も多かった。

学校長の取り計らいで隣接の小学校への読み聞かせ交流が実現した。昼休みを利用して支援学級を含む全クラスに読み聞かせを行っている。やがて中学校に進学してくる小学生の聞き手と中学生の読み手が本の世界を共有し、共に本を味わい楽しむ中でつながりを育む交流である。

読み終えた後も廊下や玄関まで見送ってくれ、後に全児童から感謝の手紙が届いた。図書委員としての達成感や感動を得るすてきな交流となっている。

新聞で情報の扱いの基本を学ぶ
全国の新聞134紙を比較読みできる

全国の新聞134紙の見本紙を図書館で閲覧できる。授業では、その中から読みたい新聞を選び、気になる記事を見つけ比較読みする。

「複数の新聞を読み比べ、ものの見方や考え方を広げる」が目標である。感想を見ると、事例の取り上げ方の違いに驚きながら、共通点も見つけ熱心に読んでいることが分かる。

「地方紙は全国紙に比べ地方に密着していて、問題やうれしいことを皆で分かち合っていて温かみがある。伝統を伝えようとしている」などの振り返りからも、新聞それぞれの特徴や役割に気付き、新聞によってニュースの価値判断の基準が異なり、物事の見方や考え方も発信しているという点にも気付いていった。

図書館資料を使った授業の充実を目指す

今年度はさらに発展させ、学校全体で図書館を活用した学力向上に取り組んでいる。

美術の読書感想画では、府コンクールで受賞した。調べ学習では熊取町教委のシステムにより、要請の翌日には町立図書館から本が届き、スピーディーに多くの資料を授業で活用できる。

図書館活用の授業を通し、自分で課題を見つけ深め学ぶ力、主体的に聴く力、多くの資料や仲間の発表から広い視野に立って物事を考える力を身に付けていったようである。今後も、言葉の感性・想像力を育て、人生をより豊かに生きていく一助となる図書館教育の展開を目指していきたい。

(司書教諭・紀之定美知代)


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