環境整備で学校図書館が活発化 生徒の読書と学びを支える

神戸市立本多聞中学校

教職員全体のサポートで

14年から学校司書を配置

神戸市垂水区にある本校は生徒数529人、16学級(うち特別支援学級2クラス)の中規模校である。校区内に新興住宅が次々と建設されているため、現在、急激に生徒数が増加しており、校舎を増築中である。

神戸市では、2014年10月から学校司書の配置事業が開始し、今年度7年目を迎えた。本校に学校司書が配置されたのは16年度で、私は18年度に前任から引き継ぎ3年目となる。

引き継いだ当時、既に情報の古い図書や劣化が激しい本など3000冊余りは除籍され、配架や展示などで館内が整えられたので、生徒たちの利用頻度はかなり増加していた。

学校図書館の環境整備がある程度施されると、学校図書館を活用した授業が行えるようになった。

欠かせない教員との事前打ち合わせ

昨年度の3年生の社会科単元「私たちと国際社会」では「紛争はどこで、どのように、なぜおこるのか」「国連はどのような平和をめざしているのか」など、各グループで次のような取り組みを実施した。

①課題を設定し、自校蔵書と神戸市立図書館から借り受けた②図書資料を使って調べ、③情報カードを使って情報を整理する。次にマンダラートやピラミッドチャートなどの思考ツールを活用して、④情報を分析⑤情報や意見をまとめて発表した後⑥意見交換や振り返りを行い⑦新たな問いを見つける――などである。

授業のまとめでポスターセッションを行った

この授業では、まとめと発表の部分をポスターセッションにした。授業者である教員は、図書資料を使って調べる段階で、発表時には聞き手から質問が出るのを予測して情報を集めておくように指導、また発表が円滑になるように時間設定や発表スタイルなども工夫をした。

学校司書は、あらかじめ教員から、単元の狙いや、この授業で生徒たちにどのような力を付けたいか、についてインタビューし、図書資料を収集、資料リストを作成し、教員と生徒へ提供した。いつも資料収集の際、留意する点は、生徒の情報収集能力の違いに考慮し、絵本から一般書まで幅広く集めるということである。

学校図書館では、生徒一人一人が自らに合う図書を選び、それを使って調べる事ができる場所でなければならないと考えている。そのためにも教員との事前打ち合わせは欠かせない。

授業終了後には、生徒たちにとって資料が適切であったか、今後学校図書館にも蔵書として必要な図書はどのようなものかなどを、学校司書は教員と短い時間でも情報交換して反省するように心掛けている。

学びの場としての学校図書館を運営するためには、教員と学校司書のコミュニケーションは必要だ。本校の教員は、学校図書館運営に理解があり、多忙にも関わらず学校司書とのコミュニケーションを取ろうとしてくれる。学校司書としては本当にありがたい。以上が本校の学校図書館を活用した授業の流れの基本形である。

「あおぞら図書館」で本を届ける

新型コロナウイルス問題で、本校も通常授業ができない状態である。こんな時、学校図書館は生徒たちの学びや読書をどう支えればよいか、昨年度末より司書教諭、養護教諭、館長である校長と検討してきた。当然、学校図書館は閉館せざるを得ないが、生徒たちに何とか本を届けられないかと考えた末、「あおぞら図書館」を開催することにした。

ジャンルが同じ本を5冊入れた紙袋を準備、年度末各学年1回ずつの分散登校日に、校門すぐの広場で紙袋ごと本を貸し出すことにした。3つのブックトラックに紙袋を並べ、「あおぞら図書館開催中、通常の貸し出し手続きは不要、1人2セットまで」と書いたホワイトボードと共に広場に設置した。

分散登校日に「あおぞら図書館」を実施

幸いお天気に恵まれ、元気な生徒たちの姿を見ることができ「やってよかった」と思った。生徒たちは、紙袋をのぞいて気になる本はないか探したり、友達に選んでもらったりしていた。2日間で20セット以上が貸し出され、「あおぞら図書館」は閉館した。

全ての教職員が登下校を見守る中、生徒と談笑し、お薦めの本について語る教員の姿が多く見られた。準備や片付けも積極的に手伝ってくれた教員もいた。

学校図書館は、図書館担当者だけでは運営できない。教職員全体のサポートがあるからこそ生徒の読書と学びを支えることができる。本校の学校図書館の特長は「チーム力」と言える。学校司書として全ての教職員と生徒に改めて感謝を伝えたい。

(学校司書・道浦百合)


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