連携で広がる学校図書館活用 読書に親しめる工夫を

鳥取県立白兎養護学校

県立図書館とも連携図る

はじめに

本校は、「因幡の白うさぎ」の神話で有名な白兎海岸のすぐ近くにある知的障害特別支援学校である。児童生徒数146人、教職員数142人で、小学部、中学部、高等部、訪問学級があり、学級数45学級の鳥取県内では大規模な特別支援学校である。

学校図書館は小学部棟の1階にあり、狭いながらも毎日多くの児童生徒が来館し、本を借りたり、読書を楽しんだりしている姿が見られ、ほっとできる空間となっている。

蔵書冊数は1万1684冊。大型絵本やパネルシアター、マルチメディアデイジー図書(以下、デイジー図書)、LLブック(分かりやすく書かれている本)など、障害に応じた資料も少しずつ増えている。司書教諭が1人発令されており、学校司書も1人配置されている。各学部の図書館担当や情報教育担当とも連携しながら学校図書館活用の推進に努めている。

知的障害がある子供たちにも読書の楽しさを

知的障害があると「文字が読めない」「漢字が苦手」「文章の意味が分からない」「集中して活字を目で追うことができない」など、一人一人の読書における困難さはさまざまである。

個々の読書の実態を把握し、さらには生活年齢も考慮しながら、ニーズに応じた資料を活用したり、提示の仕方を工夫したりして、読書に親しめるように取り組んでいる。

司書教諭によるパネルシアターの実施(小学部「国語」)

例えば、小学部の国語の時間には司書教諭と学校司書が協働で、季節や行事にちなんだパネルシアターや大型絵本の読み聞かせを行っている。実態に応じて手遊びや歌を交えると子供たちが集中してお話を楽しむ姿が見られる。

中学部の国語「お話に親しもう」の単元では、司書教諭と学校司書が担任と連携して、デイジー図書を電子黒板に大きく投影したり、生徒の好きなデイジー図書をタブレット端末に入れたりして視聴することで、音声を聞きながらハイライト表示される活字を目で追い、絵本に親しむ様子が見られた。

高等部の重複クラスの生活単元学習では、司書教諭が担当教諭と相談し、テーマに沿った内容の絵本を写真に撮ってパワーポイント資料を作成し、教室を暗くして大型スクリーンに大きく映し出しながら読み聞かせを行ったり、DVD絵本を活用したりしている。提示の仕方の工夫で通常の本の読み聞かせでは集中できない生徒が、大きく映し出される絵を見ながら読み聞かせに集中する姿が見られるようになった。

学校図書館は教材の宝庫

知的障害特別支援学校では、児童生徒の実態に応じて教育課程を編成し、学習内容を設定している。小中学校のように、一律の教科書を使わないため、授業づくりや授業の中で、何らかの資料を活用することが多い。

デイジー図書を大型スクリーンに投影して視聴(高等部「生活単元学習」)

学校図書館には、年間を通して、単元の導入で使う絵本や調理、制作、校外学習の事前学習で使う資料など、教師から多くのレファレンス(資料相談)がある。

2019年度のレファレンス数は142件で、学校図書館は授業に役立つ教材センターとして大いに役立っている。学校司書がこれらのレファレンスに対応して資料提供を行っているが、自館の資料だけでは難しいため、鳥取県立図書館と連携して蔵書の不足を補っている。

県立図書館の検索システムで借りたい資料を予約すると、搬送便で資料が学校に届くシステムが整備されている。県立図書館との連携は、学校図書館を運営する上で不可欠である。

おわりに

このように多くの連携や協働があることで、学校図書館を活用した授業が少しずつ広がっている。今後も学校図書館活用のさらなる活性化に向けて、校内への発信と障害に応じた施設・設備の整備や資料の充実を行っていきたいと考えている。

(2019年度司書教諭・児島陽子)


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