学校給食の現状と課題

「生きた教材」として大きな意義 感染リスクに配慮した対応望む

文科省初中局健康教育・食育課 学校給食調査官 齊藤 るみ

学校給食は、学校給食法に基づき実施され、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達に資するものであり、かつ児童生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものである。しかし、今般の新型コロナウイルス感染症対策に伴う学校の臨時休業や学校再開等において、学校給食についても対応が求められているところである。

文科省では、これまで、学校における新型コロナウイルス感染症対策等について、「学校再開ガイドライン」や「教育活動の再開等に関するQ&A」などにおいて、留意事項を示してきた。

新型コロナウイルス感染症については長期的な対応が求められることが見込まれる状況であり、こうした中でも持続的に児童生徒等の教育を受ける権利を保障していくために、学校における感染およびその拡大のリスクを可能な限り低減した上で、学校運営を継続していく必要がある。

学校給食の実施についても、食事前後の手洗いを徹底することや、会食に当たっては飛沫を飛ばさないよう机を向かい合わせにしない、または会話を控えるなどの対応を行うことが求められる。

学校給食は、児童生徒の健やかな育ちを支える重要な機能である一方、感染のリスクが高い活動でもある。文科省が作成した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」(2020.6.16 Ver.2)の中で、「新しい生活様式」を踏まえた学校の行動基準を示しているが、具体的な活動場面ごとの感染症予防対策について、給食についてもレベル3地域からレベル1地域に分けて示している。

学校給食は、食中毒予防などの観点から、学校給食法第9条により、学校給食の適切な衛生管理を図る上で必要な事項について維持されることが望ましい基準として、「学校給食衛生管理基準」が定められている。

学校給食を実施するに当たっては、「学校給食衛生管理基準」に基づいた調理作業や配食等を行うなど改めて衛生管理を徹底することが必要である。

レベル3(生活圏内の状況が、「特定(警戒)都道府県」に相当する感染状況である地域)の地域であっても、学校給食施設や栄養教諭、調理員などの人的資源を最大限活用することなどにより、いかに児童生徒の適切な栄養摂取や食生活を支援できるかということについて、感染リスクにも配慮しつつ積極的に検討することが望まれる。

通常の提供方法による学校給食の実施は原則として困難であっても、適切な栄養摂取ができるよう、配膳の過程を省略できる品数の少ない献立(例えば、主菜と具沢山の汁物等)を提供することや、給食調理場において弁当容器等に盛り付けて提供することなどの工夫も考えられる。

レベル2地域では、通常の学校給食の提供方法に徐々に戻していくとともに、地域で感染者が確認された場合には、警戒度合を上げ、レベル3の対応に戻すなど柔軟な対応が必要であり、レベル1地域においては、衛生管理を徹底した上で、通常の学校給食の提供方法を開始する必要がある。

また、地域の感染状況によっては臨時休業が一定期間続く可能性があること、学校再開後においても一部の児童生徒がやむを得ず学校に登校できない場合もあることを踏まえて、文科省では新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒に係る食に関する指導等についてとりまとめ、事務連絡により通知している。

食に関する指導については、児童生徒が食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることにより生涯にわたって健やかな心身と豊かな人間性を育んでいくための基礎が培われるよう、栄養教諭を核とした栄養バランスや規則正しい食生活などの指導が重要である。適宜ICTを活用するなどの工夫により、児童生徒に指導を行うことが考えられる。

一方、学校給食は学校教育活動の一環として行われ、食に関する指導を効果的に進めるための「生きた教材」として大きな教育的意義を持っている。他方で、栄養バランスの取れた食事を提供することによって、児童生徒の健康の保持増進を直接支える意義も持ち続けている。

臨時休業期間などにおいて、この機会に家庭などで児童生徒とともに食を考え実践することも重要と考えられる一方で、必ずしもそのような状況に家庭や児童生徒が置かれていない場合もあることから、関係部局などと連携を図り、児童生徒に対する食事の支援を行うことが考えられる。

いずれの場合においても、衛生管理には十分留意するとともに、栄養をはじめ食に関する指導と合わせて行うことで、その実施効果を高めることが重要である。


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