家庭・地域との連携で食育推進 栄養教諭を中核とした取り組み

北海道帯広市立栄小学校


本校は、児童数420人、学級数19学級(通常学級12、特別支援学級7)の帯広市内の中では、中規模の学校である。昨年度、文科省の事業である「つながる食育推進事業」のモデル校の指定を受け、①児童の食に対する興味関心を高め、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けさせる②家庭や地域と連携し、児童の食に関する自己管理能力の育成をめざす――ことを狙いとして、栄養教諭を推進役に食育の取り組みを進めた。

■具体的な実践
(1)地場産物をキーワードとした各学年の実践

日高や大雪の山々に囲まれた広大な十勝平野は、「日本の食料基地」と言われており、北海道はもとより、日本の食卓を支えているといってもよい。帯広・十勝は、食料自給率も高く多くの地場産物が作られている。しかし、子供たちは、この恵まれた土地で生活していることを理解し、実感しているとは言い難い。

このことから、食に関する指導を「地場産物」をキーワードとして、食に対する興味関心を高め、望ましい食習慣を身に付けさせることを狙いに各学年の学習を進めていくこととした。

教材園で育てた大豆を収穫

第1学年では、教材園で大豆やじゃがいもを育て、収穫から調理、試食を通じて地場産物のおいしさについて考えさせた。第2学年では、実際に地場産物の野菜に触れることにより学習への興味・関心を高め、地場産物の種類について考えさせた。

第3学年および第4学年では、大豆を題材とし、地場産物のよさについて考えさせた。

第5学年では、地場産物の一つである牛乳の喫食率が低いことから、牛乳の栄養について考えさせ、少しでも飲んでみようという意欲を高めた。第6学年では、家庭科で地場産物である大豆を使用した給食の献立を考えさせ、食に関する自己管理能力の育成を図った。

考えた献立を実際に3月の給食で提供する予定であったが、新型コロナウイルス感染症による臨時休業のため、残念ながら献立として提供することはできなかった。

(2)学校・家庭・地域と連携を図った実践

第4学年では総合的な学習の時間において研究授業を行った。題材名は「つながる大豆」とし、大豆を通じて地場産物に対する理解を深めるだけでなく、地域の人や家庭ともつながることも目的とした。

1時間目は、帯広市の大豆農家の方に来てもらい、苦労や願いなどを話していただくことで、感謝の気持ちをもって食べる大切さについて理解を深めさせた。

大豆を通じて地場産物への理解を深める

2時間目は、大豆や大豆製品について学び、さらに地場産物とそうでない枝豆を食べ比べ、実際に味に違いはあるのか体験し、地場産物のよさだけでなく、おいしさについても考えさせた。

最後の3時間目では研究授業を行った。3時間目はこれまでの2時間で学んだことの中でも特に家庭へ伝えたい内容をまとめ、その後、発信することとした。

子供がまとめたワークシートに家庭からのコメントを書く欄を設け、そこに自由記載してもらうようにした。家庭からの「一緒に買い物に行くときに興味を持ってくれるきっかけになったと思った」「地場産物をこれからもできるだけ使っていきたいと思った」などというコメントを受け、子供たちだけでなく保護者の変化も見られた。今後も子供たちと家庭へ向けての食育の推進を図っていきたい。

■地域人材を活用した実践

第6学年の児童および保護者を対象に「親子料理教室」を開催した。講師に、北海道ホテルの元総料理長であり、現在、十勝フードデザイン研究所の工藤一幸シェフを招いて、オムピザと鶏肉と野菜のクリームシチュー作りに挑戦した。

地場産物を使って調理した料理

地場産物の理解と地元への愛着を深めるとともに、手軽においしい朝食を作ったり、摂ったりすることへの関心を深めることを目的とし、十勝帯広産の地場産物を使った「朝食メニュー」を保護者と児童が一緒に作った。

保護者からは「食習慣を作っていくのは親であることを認識した」「とりあえず何か口に入れる朝食から、栄養を考えた朝食に転換しようと思った」などといった感想が上がり、今回の料理教室が家庭での課題意識や実践意欲につながったと考えられる。

今後、各家庭において、これからの課題意識や実践意欲を、日常生活の中で行動につなげるアプローチを、学校から積極的に発信していく必要がある。

今回モデル校の指定を受け、栄養教諭を推進役にさまざまな取り組みを進めてきたが、学校全体で組織的に食に関する指導を進められたこと、家庭・地域と連携した取り組みを進められたことは、食育の充実につながったといえる。子供たちが食に対して興味関心を持ち、保護者にも課題意識を持ってもらえた点も成果といえる。

今後も、栄養教諭を推進役に、子供たちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けられるよう、食育の取り組みを継続して進めていきたいと考えている。


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