静岡茶をツールに家庭・地域とつながる 保護者向けにも講座を開催

静岡県裾野市立東小学校


茶処(どころ)として全国的にも有名な静岡県では、小中学校の児童生徒の静岡茶の愛飲の促進に関する条例(2016年静岡県条例第53号)を定め、静岡茶をツールとした食育を推進することにより、児童生徒の健全な心と体を培い、豊かな人間性を育むことを目指している。この条例では、学校において、静岡茶を飲むこと、静岡茶を学ぶことを柱に掲げ、それを受け、県内の小中学校でさまざまな取り組みが行われている。

本校のある裾野市は、静岡県の東部に位置し、霊峰富士の裾野に広がり、東に箱根の山々、西に愛鷹連山と自然豊かな工業のまちであるが、大きな茶畑が少なく、児童にとって静岡茶は身近な存在とは言えない現状であった。さらに、家庭でお茶を入れて飲む機会も少なく、急須が家庭にないといった状況も見られた。

食育を推進するためには、学校だけの取り組みだけでなく、家庭や地域がともに取り組むことが必要である。本校では、2019年度に文科省「つながる食育推進事業」の指定を受け、静岡茶をツールに、学校・家庭・地域が連携した、食育の一層の推進を図ることとした。

■静岡茶を学ぶ主な実践内容

4・5・6年生やPTA家庭教育学級を中心に静岡茶の学習をした。

秋冬番茶のお茶摘み体験

4年生は総合的な学習の時間を活用し、静岡茶に関する体験を多く実施した。7月に、栄養教諭や家庭教育学級の保護者とおいしいお茶の入れ方を学んだ。10月には秋冬番茶のお茶摘み体験をした。さらに裾野市茶手揉保存会を学校に招いて、手もみ茶体験を実施したり、茶道講師を招いて、茶道体験を実施したりした。

5年生は、家庭科で調理の基本のお湯を沸かす学習の中で、栄養教諭とお茶の入れ方を学習し、ご飯とみそ汁の調理実習では、家庭教育学級の保護者にお茶のふりかけや茶飯の作り方を教えてもらった。

6年生は、日本茶インストラクターに、湯温や待つ時間などの詳しいお茶の入れ方を教えてもらったり、キャリア教育としてお茶に関わる仕事のやりがいについて話してもらったりした。

家庭科での調理実習

PTA家庭教育学級では、お茶講座を3回開催。保護者もお茶の入れ方をはじめ、静岡茶を使った料理作りなどを体験して、静岡茶について学び、児童へのお茶の入れ方体験、調理実習の授業の支援に入り、保護者がお茶講座で身に付けたスキルを生かすことができた。

年間を通して、給食では、お茶グラタン、茶―ハン、お茶蒸しパンなど、静岡茶を使った献立を提供し、児童へお茶についての紹介をした。3学期には、静岡茶を入れた水筒の持参を推奨する期間を設け、栄養教諭や養護教諭が静岡茶の健康効果について話をするなどして、全校でお茶について学んだ。

■実践の成果と課題

児童は、静岡茶に関するさまざまな体験を通して、静岡茶への理解が深まった。授業で学んだお茶の入れ方を家でも実践してみようという感想が多く、実際に裾野市でお茶を生産していることを知っている割合、家で緑茶を毎日飲む児童の割合が増加した。

家庭とのつながりにも成果があった。PTAの家庭教育学級において、お茶に関する講座を開催することで、保護者の意識を高めることができた。家庭教育学級で学んだ内容を家庭において実践するだけでなく、授業で学級担任および栄養教諭を支援する形で参画できた。

児童にお茶の効能を説明

4年生の総合的な学習の時間では、保護者が家庭教育学級で学んだお茶の入れ方を生かして、児童の実習の支援を行った。

5年生家庭科の米飯の調理実習では、実習の合間に保護者がお茶のふりかけ、茶飯の作り方を教え、児童が炊飯した米飯に合わせて試食し、茶処・静岡ならではの食事の工夫を学ぶことができた。さらに、そのレシピを家庭向けに配布し、学校での学びが家庭へつながるように啓発できた。

家庭教育学級に参加する保護者はもとより学校への関心が高く、協力的な保護者が多いため、学びのつながりを広げることができた。しかし、課題としては、さらに多くの家庭とのつながりを強くしていくことが継続および発展の鍵となる。

今後も、静岡茶の良さを生かし、家庭・地域とともに茶処ならではの食育を推進していきたい。


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