オンライン授業を実践しよう 活用シーンを考える

大阪教育大学大学院連合教職実践研究科准教授 寺嶋 浩介

対面授業の代替だけではなく

「オンライン授業」は、このコロナ禍の中での一つのキーワードとなった。注目される一方、初等中等教育においては、対面授業が復活しており、日常に戻りつつある。このまま何もしなければ、学校の形はあまり変わらないだろう。オンライン授業は、対面授業の代替手段として機能するだけではなく、より充実した授業にすることができる可能性がある。

そのために、オンライン授業の今後考えられうる場面を明確にし、チャレンジすることを考えたい。日本において、3月から5月にかけての休校時期に、家庭と学校をつなぐオンライン授業が始まった。

しかしそれ以降、第二波、第三波の到来が危惧はされているものの、幸いなことにまだそれに類する機会は訪れていない。春先と同じような状況を想定しているだけでは、オンライン授業をしなくても良いことになる。その結果、再び同じ状況に突入しても、手も足も出ない可能性が大きい。

今考えなければいけないのは、深刻な事態が起きる前に少しでも実践や経験を蓄積し、それに加えて工夫をすれば、なんとか対応できるのではないかというような自信とスキルを身に付けることである。

具体的に4つのシーンを整理

そのために、このwithコロナの中で、考えられる四つのシーンを整理すると以下のようになると考えている。

(1)全校休校といかないまでも、例えば教師および、複数の児童・生徒が罹患(りかん)することで、ある学級が2週間程度閉ざされるケースというのは、実際に起きている。この事態に仮に対応できるとすると、それが長期化した際にも対応できる可能性が高くなる。ここでは、テレビ会議システムなどを活用した同時双方向型の学習と、クラウドを利用して資料を閲覧させる、掲示板に何かを書き込みするなど、時間を拘束しない非同期型やオンデマンドと言われる学習を組み合わせた学習が必要になる。相当難関だが、その前に以下に取り組みたい。

(2)クラスの誰か一人が感染し、3日程度休みになるケースが想定される。こうした学級閉鎖は、これまでインフルエンザの感染などでもあった。学校側としては「平日3日は休みにならないように土日が入っていてほしい」「数日なので、これまでの経験で何とかなる」と考えがちでうやむやになってしまうケースである。ここで、何か工夫の手立てを考えたい。同時双方向型の学習は準備が必要なので難しいとしても、学校ウェブページを使った課題の公開や「NHK for School」(学校での学びをサポート。7000本の動画クリップが視聴できる)を活用した学習などは、休校時期に事例として紹介された。数日経てば授業は再開されるので、そのための準備期となる学習をデザインしたい。まず一方向の学習からでも始めておきたい。

(3)ここから、より現実的なケースとなる。多くの児童・生徒は出席しているが、家族の状況で出席できない、学校に行くのが怖くて出席できないなど、少数の子供が出席できない授業において、同時双方向型のシステムを用いて、授業に参加することができるような仕組みを作るというものである。基本的に普通の授業を行えばよいが、画面の向こうの子供を気にしながら声掛けすることを意識したり、子供同士のつながりを考えたりするきっかけになる。今回の状況において、こうした形の可能性をあげる現職教員が私の周りでは多かった。システム面から見れば、同時双方向型でつなぐことは今日簡単になったが、音声をどうクリアにしていくかは今でも難しいし、画面を通すと教室では伝わることが伝わりにくくなる。こうしたことも経験しておきたい。

(4)もっとも現実的なケースとして、ICTによる家庭学習の改善がある。対面の授業には児童・生徒は出席しているが、ICTを活用した家庭学習を対面授業の前後に導入することで、学習の充実を図るという取り組みである。事前学習という意味では、特に中学校以上では反転授業の取り組みなどがなされてきている。事後学習の可能性も考えて良いと思う。例えば、授業で学習したことをより深めるために、ICTを活用した探究的な学習を取り入れてみる可能性もあるだろう。

GIGAスクール構想で1人1台端末が付与されると、持ち帰り学習の可能性が検討されそうだ。その準備期でもあると捉えてもよいだろう。家庭で行うのは決してドリルソフトの活用だけではない。授業デザインの可能性をこれをきっかけに広げてみたい。

(3)(4)の取り組みを導入してみて、(2)や(1)のより長期的な取り組みへと発展させたい。


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