着実にICT環境整備進める 神奈川県藤沢市教育委員会が語る課題と展望

1人1台端末実現へ動きが加速

全国各地でICT環境整備が急務とされる中、神奈川県藤沢市教育委員会では、2015年度から5カ年計画で段階的にICT環境整備を推進してきた。その後、GIGAスクール構想による1人1台端末環境整備への動きが加速したのに伴い、同市のICT環境整備も一気にスピードアップ。新たな課題にも向き合いながら、着実に歩みを進めている。

ここでは、同市教育委員会教育総務課の小林隆指導主事、大高正広主査、田島正教主任に、ICT環境整備の取り組み、その進捗状況や課題、学校現場でのICT活用のビジョンについて聞いた。

【協賛企画/株式会社内田洋行】


ICT環境整備の歩み

ICT環境整備に立ち遅れている感があった藤沢市教委は、2015年度に5カ年間の「藤沢市教育情報化推進計画」を立て、パイロット校に指定した小学校2校における校内無線LAN整備に着手した。「無線LAN整備が実現した後の先生方からの評価は、予想以上に大きなものだった。パイロット校でその必要性が実証できたことから、ようやく市内全小中学校に整備していく方針を固めることができた」と大高主査は当時を語る。

昨年9月には、市内全小中学校での校内無線LANの整備が終わった。併せて学習者用の端末整備も3クラスに1クラス分の目途が立った19年度からは、新たに中学校2校をパイロット校として定め、そうした中、GIGAスクール構想が打ち出され、今年に入って一気に1人1台端末体制へ舵を切ることとなった。

ICT環境整備の現状と課題

中学校においては今年の8月末に市内全校で1人1台端末環境が整った。「早速、市内の中学校に対し、9月14日から、1人1台環境下における端末活用を促し、ログイン指導をスタートさせた。今後は、教職員のICT活用やスキルアップとそのための研修のサポートも同時に行っていくことが必要となる。パイロット校では、協働学習支援ツール(ロイロノート・スクール)を活用した授業も行われ始めている。その活用事例の蓄積にも取り組んでいきたい。小学校への1人1台端末は、来年3月末までに順次配布を進めていく計画だ」と語る小林指導主事。

パイロット校での授業の様子

小学校では、校内無線LANの整備を機にプロジェクターと実物投影機の要望が多数あったので、市内小学校各学年全クラスに1台設置済みである。

一方、新たに見えてきた課題もある。小林指導主事は「アクセスが集中すると端末の接続スピードが遅くなるなどネットワーク環境における課題が見えてきた」とした上で、「各校の授業で、具体的にどう活用していくかが当面の課題」と指摘した。既に実績のあるパイロット校での実践事例を共有するなど、より効果的な活用が求められる段階にきている。

学校現場での活用に向けて描くビジョン

「今後、考えられることは、ネットワーク環境における課題解決に加えて、『学びの保障』という観点も踏まえると、家庭学習などへの対応も含めたオンライン活用やコンテンツの提供などの必要性が生じる。さらに、そのような状況が進めばPCの持ち帰りが日常化するだろう。それに対応できるよう備えが必要だ」と小林指導主事は語る。

そこで、端末や校内無線LANの環境整備と同時に重点としたのが、情報基盤(クラウド)の整備である。具体的には、センターサーバー、拠点間ネットワーク、校務系PC、学習系PC、無線アクセスポイント、外部公開系サーバーを一括で更改することであった。現在、(株)内田洋行の総合的な提案を受けながら整備を進めている。

環境整備が着々と進む中、藤沢市教委として今後、最重要と考えているのが「ICTを活用するための先生方のスキルアップ」だという。ICTサポート支援員も人的に限りがある中で、できる限り支援していく考えだ。

今後の展望について、それぞれ語ってもらった。「まずは、授業で使って慣れてもらい、活用のルーティンを確立してほしい。中長期的には、学校、地域、家庭と連携し、情報発信的にICTを活用していけたらと思う」(小林指導主事)、「教師たちへの支援はもちろん大切で、積極的に行っていく。併せて、学校、地域、家庭にはICTは『教育に使うツールである』とマインドを変えていく必要があると思う」(大高主査)、「必要に応じて効果的に活用する文房具のように、ICT活用を身近にとらえてほしい」(田島主任)などと、新たなICT環境を備える学校現場に期待を寄せている。


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