国語科におけるオンライン授業 東京学芸大附属小金井小学校 鈴木秀樹教諭に聞く

発言、傾聴などに効果示す 学習者用デジタル教科書・教材の活用

GIGAスクール構想の進展で2020年度内には、全国の小中学校における児童生徒1人1台端末環境実現のめどが立ってきた。この状況と合わせ、学習者用デジタル教科書・教材の普及・活用が検討され、文科省は2021年度概算要求で実証研究の構想を示し、そのための経費50億円を計上した。

研究は小学校5、6年生および中学生が対象。端末やネットワーク環境が整い、参加を希望する学校は7割程度と想定し、小学生は1教科分、中学生は2教科分の学習者用デジタル教科書・教材の経費全額を予算化したもの。今後は、オンラインにおける家庭学習や協働学習での活用も見込まれる。

このような状況を踏まえ、東京学芸大学附属小金井小学校の鈴木秀樹教諭に、「国語科におけるオンラインでの学習者用デジタル教科書・教材の活用」について取材した。

【協賛企画/光村図書出版株式会社】


オンラインの授業で起こり得ること

同校では、5年生の学習活動に学習者用デジタル教科書・教材(以下デジタル教科書・教材)を導入し、試験的にオンライン授業の実践を積み重ねている。

学習者用デジタル教科書を活用したオンライン授業

鈴木教諭はこの取り組みから、「デジタル教科書・教材を使って同期型授業を行ってみると、児童は発言する相手の話をよく聞くようになった。オンライン授業中は児童一人一人が映し出される。そのこともあってか、発言者の話に実によく耳を傾けるようになった。また、発言したい児童は、Microsoft Teams(マイクロソフトが提供するコラボレーションプラットフォーム)の挙手機能を使い、教師の指名を待つようになった」などの効果が見えてきたことを指摘する。

ただ、「デジタル教科書・教材(光村図書出版株式会社)の教科書の本文箇所を抜き出せる『マイ黒板機能』を活用し読解したことをまとめ、Microsoft Teamsにアップさせる課題に取り組んでいる時に、教室と同じように集中して取り組んでいる様子が見られたが、後々、児童に話を聞いてみると教室で『みんなを身近に感じながら授業を楽しく受けたい』という意見があがった」と気付きもあったそうだ。

課題の出し方については、「まずは、課題を小分けにして出すようにした」と留意点を話す。「オンライン授業では、各家庭の通信環境も異なり、常時接続している場合もあるし、そうではない場合もある。課題を盛りだくさんにしてしまうと時間がかかるので、児童は考えの焦点をどこに絞ったらよいか分からなくなってしまうことがあるので注意したい。教師にとっては『課題が少ない、短い』と感じられるかもしれないが、小分けによって焦点が絞れ、児童は議論に参加しやすくなり、一体感が生まれるようになる」と具体的な対応とその効果を示した。

オンラインの授業で共有してできる活動

鈴木教諭は「日頃の授業では、教室で電子黒板に課題を提示し共有したりするが、実はよく見ていない児童もいる。オンラインでデジタル教科書・教材を使って一人一人にマイ黒板のまとめ方などを例示すると、児童は一様に画面を見て確認するようになる。課題を正確に共有する学習活動には有効だ」と学習態度の変容に効果があることを強調する。

マイ黒板でまとめ方を例示し課題を共有

さらに、オンラインには一対一の空間がつくりやすい可能性があるとし、「『教師とつながっている』という意識が生じてくると思う。また、児童の取り組んでいる様子が視覚化され教師に伝わることもある。児童が真剣に授業に取り組めるような環境が作りやすい。オンラインはコミュニケーションをとるには不自由ではあるが、不自由だからこそ、それを補おうとする児童の行動につながっている」と活動の共有化とその背景について述べた。

家庭学習で対応できる活動

「家庭学習は、学習の足並みをそろえるのが難しい。そこで、スピード差が生じる活動を課すことで、授業時間内での個々の差を吸収させる工夫をしている。例えば、デジタル教科書・教材の『マイ黒板機能』を使って読解したことをまとめる課題にしても、まとめ方に工夫を凝らす児童もいれば、もう一度文章を読み返したい児童もいる。家庭学習と授業の連携を考えるのであれば、授業の組み立てを変えて、授業の後半に課題に取り組むことを設定し、課題が終わらなかった場合は家庭学習で対応するなどの工夫が求められる。このようにカリキュラムマネジメントを考えながら、家庭学習へと結び付けることが大切だ。筋道や根拠、児童の考えや意見をしっかりとまとめさせる課題設定をすることが重要である」と家庭学習におけるデジタル教科書・教材活用のメリットを指摘した。

デジタル教科書・教材の導入後の教育現場
鈴木教諭

今後、デジタル教科書・教材が導入される際、児童生徒、教師に与える影響について「児童生徒には、『国語は考えることが面白い教科』と認識するようになってほしいし、そうなると思う。教師については、児童生徒の課題と向き合う時間が増えるので授業内で見守る時間が増えるだろう。授業スタイルの変化に戸惑うことなく対応できるかどうかが鍵となる。ICTを学習ツールとして浸透させるには、1人1台の端末は学校のものではなく、『子供たちのもの』というマインドに変えていく必要がある」と将来を見据え、鈴木教諭は期待を込めて語った。

※同校では11月7日に「ICTに学びを救われる子はあなたのそばにいる 東京学芸大学附属小金井小学校ICT×インクルーシブ教育セミナーVOL.3」の開催を予定している。

詳細はURL=http://www.u-gakugei.ac.jp/~kanesyo/02nadeshiko/info/eid633.html


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