生徒の主体的・創造的な学校図書局活動 コロナ禍で「伝え合う」「つながり合う」を重視 北海道高文連道南支部図書専門部

はじめに

北海道の高校の多くには、部活動のように、生徒の自主的な活動主体としての「図書局(部)」が設置され、学校図書館に関わる業務や活動を担っている。

新入生歓迎の装飾準備作業を進める函館工業高校の図書局員

図書局の活動は、図書委員会と同様の貸出しや返却、配架、整理整頓といった「蔵書に関わる活動」に加え、館内装飾、テーマ展示、図書館報の発行、利用の啓発や行事の実施といった「読書を推進する活動」、さらには独自の表現・創作活動、校内の文化的行事の創出、地域社会と連携したイベント開催へと発展を続けてきた。

北海道高文連図書専門部について

生徒の活動の幅を広げ、創造性に富むものにするきっかけとなっているのが、学校間のつながりによる学習と交流の場である。北海道高等学校文化連盟(高文連)の図書専門部は、道内11の支部(石狩、道南、後志、空知、上川、道北、オホーツク、釧根、十勝、室蘭、苫小牧)が各地で図書局顧問を中心とした専門委員会を構成して、講演会や研修会の実施、読書感想文作品の交流を主催している。図書局員が自分たちの学校での活動や取り組みについて発表、交流したり、図書館の運営や読書活動について学んだり、地域の文化活動について知見を得たりするなどの事業を行ってきた。

応募したPOP作品とポスターを手にする函館中部高校の図書局員

高文連図書専門部の最大の行事が「全道高等学校図書研究大会」である。2019年度大会は室蘭支部の伊達市で開催され、93校503名(生徒383名、教職員120名)が参加、14の分科会での交流・研修活動、図書館報コンクール、ステージ上で日常の活動をプレゼンテーションする「図書館活動(T―1)グランプリ」、作家の中上紀氏の講演など、生徒にとって貴重な学びの場となったのみならず、引率の教職員にとっても、学校図書館の役割や機能について認識を深める場となった。

コロナ禍による学校図書館活動

20年度は年度当初から新型コロナ感染拡大防止の見地から学校図書館活動も大幅な制限を余儀なくされた。「中学生を中心に来館者、貸出冊数とも増加した(遺愛女子高校)」「家で本を読む時間が増え、貸出冊数が前年度比2・5倍になった(函館中部高校)」学校もあった一方で、「来館者が密になることはほとんどなかった(函館工業高校)」学校も多くあった。全道各支部での研修会も中止が相次ぎ、道南支部(17校)が函館市で開催準備を進めていた全道研究大会も中止された。

道南支部では、少しでも生徒の活動や発表の場を提供できないかと検討を重ね、

①お薦め本紹介のPOP
②図書館報
③図書館活動紹介のA3判大のポスター

の三部門の作品を募集し、「道南T―1グランプリ」と題して開催することにした。

12月上旬から1月下旬の募集期間に、①POP38作品、②館報4作品、③ポスター3作品が寄せられた。部門ごとに審査、表彰するとともに、全ての作品をカラーの作品集として一冊にまとめ、2月末に加盟校全てに送付した。各校で、お互いの作品を見合い、比較し合うことに加え、この1年の活動を振り返る機会にもなった。

生徒作品から見る学校図書館活動

POP部門審査をお願いした函館栄好堂書店の佐藤さんからは、多くの作品が「見る相手へのアピールがよい」「読んでもらいたい気持ちが伝わる」と高い評価を得た。

ここ数年、支部の研修会ではブックトークやテーマ展示などとともに、POP作成の研修も行われ、各校でも日常的な取り組みになっており、局員のレベル向上につながっている。国語の授業に取り入れられるなど、活動の場面も広がりを見せている。

図書館報は新着本紹介などが中心であったが、函館工業高校の「本との出会い、人との出会い」の記事が目を引いた。感染予防に留意した上で、ビブリオバトル大会を実施することができた。対人コミュニケーションに制約がある中でも、本を介した相互理解の取り組みに手応えを感じていることがうかがえる記事であった。

終わりに

取材した局員の語ってくれた共通する思いは、図書館や読書の魅力を多くの生徒に「伝えたい」ことと、伝えたことに反応があったり対話ができたりするときの喜びである。図書館のよりよい在り方を考え、工夫し、表現し、行動する。その営みを上級生から下級生に伝えていく。さらには他校の同じ図書館に関わる生徒同士の交流から発見したことを自校で生かしたいとの発言もあった。「つながり合う」「伝え合う」ことをコロナ禍の中で工夫、模索し続けていくことが今後の課題であると考えている。

(北海道七飯高等学校司書教諭・加藤孝志)


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