コロナ禍からGIGAスクール構想後へ 電子図書館を積極的に利用 筑波大学附属駒場中・高等学校

はじめに

2020年2月27日の休校宣言を受けて、本校では2月28日から臨時休校となった。それから1年、電子図書館や郵送貸出、データベースの学外利用などオンラインで行う図書館サービスがおのずと増えてきた。それらは結果的に21年度より始まるGIGAスクール構想の試金石になった。

電子図書館をスタート
充実した図書館ホームページ

本校では臨時休校から10日後の20年3月初めに電子図書館の活用を開始した。貸出回数は20年3月から21年3月で1057件となった。そのうち臨時休校期間(3~5月)だけで646件と年間の6割を越えた。

3月から5月初めは公立図書館も閉まっていた地域も多く、新年度の教科書なども生徒の手元に届いておらずオンラインでの授業も行われていない時期でもあった。それらの時間が読書に利用されたのだろう。6月に学校が再開し分散登校がはじまると利用は減っていった。

学校再開後は、各人が各家庭において1人1台でデバイス利用をしていたのが、学校では6学年21クラスに対して、クロームブックとPCと合わせて2クラス分しか用意できず、Wi-Fiのつながる場所も限られていて、もちろん生徒自身のスマホはWi-Fiへの接続はできない。そのような不安定で不足したオンライン環境も大きく影響しているだろう。

電子図書館の特集ページ

電子図書館で活発に利用された本は教員の推薦リストに挙げられた『正しいパンツのたたみ方』や『多数決を疑う』『ヒトラーとナチ・ドイツ』『科学と非科学』などや、授業内容と関連した『竹取物語』『こころ』などだ。それらの本は電子図書館のインターフェース上でも探しやすいように特集分けを行いTOP画面ですぐに探せるように工夫もし、その結果、教員からの紹介や薦め、授業に関連付けられた貸出が利用全体の7割を占めた。電子図書館の利用の成否は、教員の働き掛けにかかっていることが分かる。

電子図書館には幾種類もあるが、本校ではeライブラリーを契約している。利点は運営費がかからないため、すぐに利用し始めなくてもひとまず「電子図書館」の箱だけ用意しておくことができることだ。

箱の用意をして利用者登録をしておけば、本のみ入れれば即利用を始められ、今回のような時に直ちに使うことができる。今後は、授業との関連が強い本はすぐに入れられるので、紙の本の資料と電子図書館のデジタルの資料と両方で提供していくことができる。

図書館のOPAC利用

電子図書館以外にGIGAスクール構想に先立って手応えを得られたのはOPAC利用である。自宅から図書館のOPACにアクセスし、本を検索して予約を行うのは公立図書館を使う際には割と基本的なスキルだが、学校図書館では校内のみ検索可、予約は司書がカウンターで行うとする学校が多いのではないだろうか。今回の臨時休校で、本校では自宅から本校図書館の本を検索し、予約し、予約された本を生徒の自宅に送付した。年間179件の利用があり、最も多く利用したのは中学1年生だった。本を検索し予約して受け取るスキルは公立図書館、大学図書館、生涯にわたってどこにいっても使うことができる。中1には少し難しいかもしれないと案じていたけれど、その機能を十分にマスターし、学校への登校が日常化した後も、自宅で予約して学校図書館のカウンターで受け取る方法を利用し続けている。

今後に向けて

20年度コロナ禍のこれらの取り組みによって、全教員・全生徒は本校には電子図書館があり、どう使うことができるかをマスターした。また学校図書館の本をいつでもどこからでも検索して予約する利用方法を知った。さらに(条件を整えて契約しさえすれば)データベースに学外からアクセスできることも分かった。

今後、1人1デバイスが配られた際には、すぐにこれらの電子図書館や図書館のOPACや、データベースの利用を想起できるはずだ。

学校図書館の多くの機能は、学校の活動に連なって発揮される。とりわけ電子図書館やデータベース類のオンラインのツールを介するものは、より授業・課題に密接に関わり教員からの勧めがあることがアクセスに直結する。そして、利用する上でオンラインに安定してつながる環境の十全な整備が欠かせない。

今後数年すれば、現在の小学生たちがGIGAスクールで1人1台を使い慣れ、自由な読書でもデジタルデバイスを自在に利用してきた上で入学してくるようになる。そのときには、電子図書館を含む学校図書館も今とは異なる在り方に変えていくだろう。

(学校司書・加藤志保)


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