学校司書と教職員が連携した図書館作り 読み聞かせを通して思いやり育てる 横浜市立若葉台特別支援学校(横浜わかば学園)

はじめに

開校9年目の本校は、「一人一人を大切にした教育」を行うという理念のもと、横浜市立では初めて肢体不自由教育部門(A部門 小・中・高)と知的障害教育部門高等部(B部門)の2部門を併置した学校として開設された。加えて、「地域と共に歩み」、「自立と社会参加を目指す教育」が目標の3本柱である。B部門は、軽い知的障害などのある生徒が対象で、卒業後は自立と社会貢献を目指している。卒業生のほとんどは企業就労している。

図書館の環境作り
昼休み全校交流で読み聞かせ

開校2年目に学校司書が配属された。当時の図書館は、廃校となった工業高校から譲り受けた専門的な書籍や本校の前身である肢体不自由の学校から移動した幼児・低学年用書籍が雑然と積まれ、保健室用のベッドなどが置かれていた。利用は少なく、教員がおのおの好きな本を希望購入し、教室や個人で管理している様子が常態化していた。

学校司書と共に本校の理想とする図書館像を掲げた。A部門の児童生徒が車いすで移動しやすい、児童生徒の目線に配慮した配架、読みたい本や探したい本が見つけやすい、B部門高等部の生徒が魅力を感じて足を運ぶ、そんな温かい雰囲気の図書館を作るようにした。学校司書は昼休みを利用してB部門図書委員と共に図書館整備を懸命に行った。現在もボランティアは入れずに、生徒の力を借りて整備を行っている。また、蔵書不足を補うために、地区センターや市民図書館と連携している。

学校図書館の利用状況について

A部門の児童生徒は低い位置の面だしの展示により、自ら手に取ったり、教員に要求したりして、積極的に読書する機会が増えてきた。また、自立活動の移動学習で本の貸借利用することも来館の動機付けとなっている。他にもクラスや学年単位の活動、生活、国語、社会、数学、総合的な学習の時間など、両部門の様々な教科で利用の機会が増えてきている。年度当初に「図書館のしおり」を全校児童生徒と転入の教員に渡して、図書館でのオリエンテーションを行っていることも、利用増加の一因と考えられる。

委員会活動の取り組み

B部門の図書委員を3グループに分け、昼休みの係活動、ブックトーク、昼休み交流での読み聞かせなどをローテーションで行っている。他に学校司書と共に、館内整備や貸出の手伝い、図書館だよりの発行などの準備も行っている。

コロナ禍の現在は「リモートによる読み聞かせ」を各教室にある大型テレビで放送している。A部門の児童生徒たちは本を見るために画面に近づいて話を良く聴こうとし、自主的な行動が見られるようになってきた。

また、学校図書館のキャラクターを広く募集し審査にも携わった。選ばれたキャラクターは地域ケアプラザを利用する方々の手縫いによって立体化され、図書館の入口でマスコットとして活躍している。マスコットの洋服を季節や行事に合わせて着せ替える目的で図書館を訪れる生徒もいる。

読書週間の活動(はまっこ読書週間)
学校司書と司書教諭のコラボ企画「はまっこ読書(クイズ)」

年間の図書委員の活動に加えて、学校司書と司書教諭のコラボ企画「読書クイズ」を全校で実施している。読んでほしい本を取り上げ、必ず最後のページまで目を通して回答する仕掛けのクイズを作っている。また、学校司書と栄養士のコラボ企画「ぐりとぐら」のレシピに合わせた図書委員の読み聞かせとパフォーマンスを行い、A部門の給食で実際に提供している。これらは、児童生徒の興味・関心を広げる企画となっている。

学校司書と教職員の連携(授業支援)

学校司書が教員と相談して生徒に合わせて選書し、A部門の授業でビブリオバトルを行った。当日は授業支援を行い、後日館内に投票結果を貼り出したところ、B部門生徒が児童書に興味を持ち、貸し出し数が増加した。

いろいろな方法での読書活動(マルチメディアDAISY図書)

A部門の児童生徒が教員の読み聞かせによって活動することは日常的だが、自分で「今読みたい」という気持ちを大切にして、マルチメディアDAISY図書を利用する生徒がいる。タブレット端末を使用し、教員自作の装置とつなげて一人で本読みができている。教室や家庭でもリラックスしながら読書活動をしている。

終わりに

知肢併置校である特色を生かし、部門間の日常的な交流を自由に行っている。児童生徒たちは読み聞かせを通して、相手を意識した選書や読み方の工夫をし、思いやりのある優しく温かい関わり方ができるようになってきている。

(司書教諭・後藤典子)


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