学校図書館を活用した授業実践を展開 教科で探究的な学習を推進 愛知県一宮市立朝日東小学校

はじめに

愛知県一宮市では、「読書のまち いちのみや」として、将来を担う子供たちの心豊かな成長を促す読書環境づくりに取り組んでいる。本校は、児童数293人、15学級(うち特別支援学級3クラス)である。一宮市の南西部に位置し、学校周辺は田畑に囲まれていて、のんびりとした落ち着いた地域である。

本市では、学校司書を市内全61小中学校に、小学校は週3日、中学校は週2日派遣している。学校司書の業務は、読み聞かせやブックトーク、読書週間の準備、図書館資料の収集、学校図書館の環境整備などを中心に行っている。また、学校司書の専門的な知識を有効に活用するために、担任は司書教諭と連携しながら、利用指導や図書館資料を活用した授業支援を行っている。

情報活用能力の育成

児童が図書館資料を適切に活用するためには、情報活用能力を習得させなければならない。そこで、学校図書館利用指導計画をもとに実施した。

利用指導の実践例として、今回は3年生を対象に行った「百科事典の使い方」を紹介する。まず、百科事典を使ったことがない児童が多いので、赤木かん子氏の「調べ学習紙芝居シリーズAセット(百科事典の引きかた)」を学校司書が読み聞かせをしてから、実際に百科事典を引いた。さまざまなキーワードが書かれたカードを児童一人一人に渡し、それを百科事典で調べ、定義のみワークシートにまとめるようにした。百科事典には、「ポケットモンスター」や「アンパンマン」など児童にとって興味のある言葉が載っているので、楽しみながら百科事典を引くことができた。

付箋に書いたことをグループで共有

利用指導の授業の中で、それぞれの学年で習得すべき情報スキルを司書教諭や学校司書が教えたり、補完したりしながら進めていくことで、少しずつではあるが、必要な情報や資料の検索・収集などの基礎・基本を理解し、情報活用能力を高めることができるようになった。しかし、利用指導は1回限りで終わってはいけない。習得した情報活用能力を教科や総合的な学習の時間で活用して、伸ばしていけるように、学校図書館活用計画を作成して、それぞれの単元の中で情報活用能力を高められるように進められるとよい。

図書館資料を活用した探究的な学習(社会科)

3年生の社会科「古い道具と昔のくらし」で、「昔の道具はなぜ変わってしまったのだろうか」を目当てとして考え、以下のようにグループで取り組んだ。

  1. あらかじめグループごとで作成した道具年表をもとに課題を設定する。
  2. 道具年表や図書館資料から「昔の道具はなぜ変わってしまったのか」が分かる部分を探し、それを付箋に書く。
  3. 付箋に書いたことをグループで共有し、集まった情報をグルーピングし、2~3つに絞る。
  4. 発表する内容をグループで分担して、準備をする。
  5. 全体の場で発表する。
  6. 振り返りをする。

このような探究的な学習をすることで、資料から分かることを探し、調べたことをグループで話し合い、さまざまな意見をまとめ、全体の場で伝える活動となるので、主体的・対話的な活動となる。また、図書館資料を活用したことで、それぞれのグループで独自に調べたことを発表して、多様な考えを共有することができ、深い学びとなる。そして、児童は、この探究的な学習に取り組むことで、複数の情報を比較したり、関連付けたり、分類したりすることで、情報活用能力を高めることができた。

図書館資料を活用した探究的な学習(総合)
情報カードをもとにシートに書き写す

3年生の総合的な学習の時間では、「食育」を大きなテーマとして取り組んだ。まずは、朝ごはんの必要性、食品ロスなどから詳しく調べてみたいものを選び、問いを考えるようにした。課題の設定ができたら、図書館資料を活用して調べ、問いの答えとなる箇所を見つけたら、情報カードにその箇所を引用し、奥付けも書くようにした。

まとめでは、リーフレットにして書くようにした。調べたことは緑のシート、分かったことは水色のシート、思ったことや不思議に感じたことは黄色のシートと分けて書くようにした。このリーフレットにまとめる活動は、今までの情報カードをそのまま活用するだけなので、つまずく児童も少なく、上手にまとめることができた。まとめたレポートを学級で共有できるようにした。

終わりに

これらの学習は単年だけで終わらせてはいけない。継続して行うことで、進んで調べる力が身に付き、課題解決ができる児童がだんだんと増えてくる。結果として読解力、そして、学力の向上につながる。

学校全体で取り組み、系統的に行うことで、さらなる向上が期待できる。今後は、このような学習と学力との関係性について発信していきながら、さらに研究の質を高めていきたい。

(司書教諭・滝賢一)


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