人と本、人と人が出会う場所づくり SSHのネットワーク生かし 愛媛県立松山南高等学校

はじめに

本校は、文科省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)5期連続指定(全国で2校)を受けた、創立130周年の伝統校である。生徒のほぼ全員が4年生大学に進学(約3分の2は国公立大学)する。

データ・サイエンスコーナーの展示

図書館は「図書教棟」最上階の3階に位置する(1959年落成・座席数95)。PTAの要望で08年一部リニューアル、09年全面リニューアルを行い、「利用しやすく、読書に親しむ、癒しの空間としての図書館」になった。10年に県SLAからの研究委嘱を機に「ライブラリーボンド〈絆〉プログラム」をテーマに、「読書」「学習・情報」「心の居場所」「文化活動の拠点」の機能を高め、「人と本、人と人が出会う場所づくり」を目指している。

司書教諭と学校司書の協働による授業支援(普通科課題研究、HR活動)

リニューアル時にPTAから託された「10年後に到来する、図書館を利用する授業への対応」に向けて、全国学校図書館研究大会静岡大会(10年に開催)の基調提案を「具体的な青写真」とし、探究型学習対応の「学習・情報」機能の整備を進めてきた。

図書館の運営・支援活動は、司書教諭と学校司書が協働し、図書課員が協力する。司書教諭には、授業、個別学習指導、部活動などの制約があり、授業立案の際は授業担当者・司書教諭・学校司書で行うが、詳細な打ち合わせは、学校司書と授業担当者の二者で行うこともある。学校司書の常駐により、時間調整の制約が少ないので、短い準備期間を有効に活用できる。

学習・情報センター機能の向上に向けて(授業支援・普通科課題研究支援)

小論文・面接対策コーナーの展示

10年当初は、保健、美術、国語総合、古典、「総合的な学習の時間」での授業支援を行った。生徒の選んだテーマをHR担任と連携して把握し、対応する蔵書の有無を確認、県立図書館の支援を受けながら補充を行った。流動的な生徒のテーマの把握と蔵書収集のタイミングが課題だが、次年度の生徒が蔵書を手掛かりにテーマ決定を行うことも多く、蔵書充実の一方策にもなった。レファレンスと生徒の研究意図のヒアリングは学校司書中心に、研究手法や方向性のアドバイスは、司書教諭が適宜行い、シンキングツールの紹介にも努めた。

15年の第4期指定からSSH全校体制になり、図書・情報課は普通科課題研究支援担当として、SSH推進課との連携を強めた。図書館オリエンテーションを見直し、情報検索・論文検索・研究の手順を追加した。授業支援で培った経験をベースに、「地域課題の解決」がテーマの課題研究支援に移行し、現在に至る。関連書籍、官公庁HPの内容紹介、地元銀行の経済分析報告集、各種課題研究コンテスト上位入賞論文、ポスター発表や論文執筆などの書籍を集めたコーナーを設置し、誰もが分かるようにしている。

関連書籍には大学の教員の著書も多く、「課題研究→専門分野の『垣間見』→入試対策」の動きが生まれた。図書委員OB・OGからも、プレ教育での課題書籍一覧やゼミ利用の書籍情報が寄せられ書棚からも、高大接続が始まっている。

20年第5期指定からは、データサイエンスによる地域課題解決に移行。研究手法と生徒をつなぐ情報提供に重点を置いている。校内も急速にICT化し、タブレット端末配備、大型テレビ・Wi-Fi設置が進み、「新着図書だより」もタブレット端末で配信している。課題研究はPC主流だが、系統的な情報や必要な情報が即座に得られるコーナーに、生徒は集まっている。

読書活動支援

新しい読書活動に図書委員会で取り組み、指導スキルを高めて、HR活動支援に反映している。資料は電子化し、共有ファイルで提供する。事前打ち合わせ・ワークシート提供・当日の機材準備・運営サポートを行う。「リテラチャー・サークル」(どくしょ甲子園、グループ読書)、「ビブリオバトル」に取り組み、コンクールにも参加している。20年度は、感染予防に配慮して、事前に各自で録音したものを、図書館で再生して実施した。

終わりに

コロナ禍で、本格開館は7月中旬から、閲覧室は対面利用禁止だが、生徒の読書熱は冷めず、貸出総冊数は、4661冊(昨年度は4991冊)だった。POP、ICTなど本の魅力を伝える方法はいくらでもあると気付かされた1年だった。

本校の実践は、県内各高校の学校司書や実習助手の方々、全国学校図書館研究大会静岡・鳥取・山梨各大会で指導してくれた方々、福井県立藤島高校をはじめとするSSH校のネットワークの結集による。この場をお借りして、御礼を申し上げる。

(司書教諭・戸苅眞人、学校司書・栗田直子)


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