GIGAスクール始動の課題は 省内に現場支援の推進チーム 今井裕一文科省初中局情報教育・外国語教育課長に聞く

全国の小中学生に1人1台端末を整備するGIGAスクール構想が4月にスタートした。コロナ禍による大幅な前倒しで学校のICT化は急速に進み、情報教育を取り巻く環境も刻々と変化している。こうした流れを受けて学校現場のICT環境の整備はどう進み、現場では何が求められるのか。文科省初中局情報教育・外国語教育課の今井裕一課長に聞いた。

1人1台端末は3月末で96.5%納品見通し
――GIGAスクール構想の前倒しで1人1台端末の整備が急ピッチで進められました。現在の進捗(しんちょく)状況はいかがですか。

全国の小中学校の端末の整備状況については、全学校設置者の96.5%に当たる1748の自治体で昨年度内に納品を完了する見込みとなりました。校内ネットワークの整備は、公立の小中高を含む全ての学校のうち4月末までに97.9%で供用開始の見通しとなりました。

おおむね端末整備で一定程度のめどが立ったと思いますが、確実に100%整備が進んでいるわけではありませんので、引き続き自治体や学校への支援を続けています。ICTが学校教育の中にしっかり浸透するには、まだまだ現場での実践を積み重ねていただく必要があると思っています。

現場に寄り添う「GIGA StuDX推進チーム」立ち上げ
――学校現場のICT環境整備を進める中、地域間や学校間で取り組みに格差が生じているとも聞きます。こうした課題の克服にはどのように取り組んでいますか。

確かにICTは相当先に進んでいる自治体もあれば、遅れている自治体もあることは厳然たる事実で、オールジャパンで底上げを図ろうとしています。せっかく端末環境を整えたのに使われないということがないよう、利活用に差が生じないよう支援していくことが大事だと考えています。

文科省の推進チームと現場の協働体制

そこで現場に寄り添う形で省内に「GIGA StuDX推進チーム」を立ち上げ、全国の学校現場をよく知る先生方に来ていただき、各地域の自治体を支援する取り組みを始めています。また、現場からいろいろな悩みや課題が聞こえてくると思いますので、しっかりと受け止めて国として解決策を提示していきたいと思っています。

ICT環境整備のこの1年の取り組みはやはり劇的だったので、悩みの多い現場もあると思います。一番まずいのは課題が怖いから使わないということです。課題があればそれは克服するための知恵を出すなど支援はどんどんします。とにかく一歩一歩でいいから歩みを止めず進んでほしいと思います。

――GIGAスクール構想の実現に向けてはこれまでに4800億円もの予算が投じられました。これから教育現場のICT活用はどのように進んでいくのでしょうか。学校におけるICT関連事業や予算措置についてお話いただけますか。
GIGAスクールの予算措置

GIGAスクール構想の環境整備は引き続き進めていますし、2021年度予算では学習者用デジタル教科書の実証事業に20億円もの予算が計上され、小学5年生から中学3年生まで全学年の1教科分のデジタル教科書が使われます。さらに急速な学校のICT化を進める自治体への「GIGAスクールサポーター」の配置促進についても、これまでの補正予算に加えて今年度予算でも10億円を確保しましたので、そうした人的支援も含めて取り組みを進めています。

高校での1人1台端末整備への支援は
――小中学校に続いて高校も1人1台端末整備への期待も高まっていますが、現時点で整備に向けてどのようにお考えですか。

義務教育段階では、ある意味全国で同じものをしっかりやっていきます。高校になると普通科や専門学科があるほか、地域で活躍する人材を育てたいケースや、トップレベルでSSH(スーパーサイエンスハイスクール)やSGH(スーパーグローバルハイスクール)のようにグローバルで活躍できる人材を育てたいなどと、相当多様な教育が行われますので、それにふさわしいICT環境を整えてほしいという思いがあります。
義務教育段階で端末整備が進み、そこで学んだ子供たちが次のステップの高校に進むという状況はもう厳然と目の前にありますので、同じ環境を高校でも整えてもらいたいとお願いをしているのが現状です。
その結果として今、各都道府県の公立高校では42自治体までは1人1台整備を目標に掲げて進んでいますので、それを強力に後押しして、高校の多様性を踏まえながらもICT環境の充実に取り組みたいと考えています。

「働き方改革」好事例の横展開も
――ICT環境整備による教職員の「働き方改革」への影響についてはどうお考えですか。

「GIGA StuDX推進チーム」で示している好事例の中には、教師の働き方改革にも資する、例えば懇談会の日程調整を手集計からネットで集約すれば一気に手間が省けるという例がありますし、職員会議のオンライン化で移動時間を短縮できるといったさまざまな使い方があります。そうした好事例をどんどん横展開して教師の働き方の改善を後押ししたいと思っています。

ただ一方で、ICTだけで子供の悩みや学びの応援ができるかと言えば、やはりその子をしっかり見て対面指導とICTのハイブリッドで教育効果を上げていくことが必要ですので、ICTをツールとしてしっかり使い込みながら、ぜひ子供たちの力を付けていただく取り組みを進めてほしいと考えています。

現場の実践や要望受け止めて次のステップへ
――コロナ禍でオンライン授業を積極的に取り入れようという動きも活発化しています。整備された1人1台端末を改めて現場でどう活用してほしいとお考えですか。

GIGAスクール構想は元々教育の質の向上のためにスタートし、コロナ禍で一気に加速しましたので、整備された端末で対応していただけるのは大変ありがたいと思っています。ICTを利活用しながら子供たちにとって必要な学びの保障に取り組んでいただくのが一番肝要と思っています。

GIGAスクール構想は、当初の4年計画を1年でやりましたので、正直申し上げてあらゆるところに相当負荷がかかっていると思います。ただ、急いで進めた結果、現場で子供たちの学びを止めないためにオンライン教育をうまく活用できたとすれば、政策として狙った効果が一定程度表れたとも思います。あとは子供たちの学びを支えるためのベストミックスとは何か。これは現場で工夫しながら進めていると思います。われわれもそうした実践と現場の声や要望を受け止めてしっかりと次のステップに進めていきたいと思います。

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