「1人1台端末環境下における学校現場と自治体の連携」千葉県柏市教育委員会 柏市立教育研究所 教育研究専門アドバイザー 西田 光昭

1.1人1台端末整備

学校のICT環境整備は、地方交付税によって財政措置がされてきていました。2018年度から2022年度にかけては「教育のICT化に向けた環境整備5カ年計画」に基づき、3人に1台が基準です。しかし、2018年度末の整備状況は平均で5.4人に1台。日常の授業で使う校内LANのWi-Fiは、40.7%でした。

また、OECDのTALIS・PISAの調査では、諸外国に対して日本は学習にICTを活用することが極めて少ないことも明らかになりました。これでは、2020年度の小学校から段階的に実施される新学習指導要領の、主体的・対話的で深い学びの実現は難しく、直接の補助金での環境整備が必要と判断されました。

そこで、2019年12月にGIGAスクール構想が発表され、小中学校では1人1台の端末環境と、高校も含めて校内LANの整備を進めました。さらにGIGAスクール構想への取り組みが始まってすぐ、新型コロナウイルスでの学校が一斉に休校となり、学びを止めないためにはICTの重要性が改めて確認され、当初23年度までに全小中学生分の端末の整備予定が、20年度中それもなるべく早く整備をすることになったのです。

2.1人1台端末の目指す姿と現実

従来のPC室や3クラスに1クラス分のときには、割り当てられたときとか、使えるときに、学級全員で一斉に使う、という利用がほとんどだったと思います。1人1台になると、いつでも鉛筆やノートを使うのと同じように使えるようになります。未来を生きる子供たちに必要な資質・能力を育てるために、社会で大人が使っているのと同じようにICTを使い、調べたり、コミュニケーションを取ったり、知識を得たり、得た知識を使って考え深めたりすることで、生活をより豊かにしていくことにつながる学びを日常的に行っていくことが期待されています。

本来であれば、各自治体は1人1台端末の環境を導入構築するときに、こうした目指す姿を確認し、そのために必要なことや活用に向けての施策を学校の先生方の意見や関係する方々と検討して取り組むということをしていると思います。しかし、前述のように、今回の1人1台環境は、急いで整備されてきているので、十分に検討されていないところが多いのが現実です。3人に1台の先を考えて1人1台に向けて取り組みを始めていた自治体もあり、一歩先に歩み出しています。

3.自治体担当者と学校の関係づくり

自治体担当者にも新たな課題や、議会の決議を経ないと進めないことの連続で、学校への周知がなかなかできない状況がありました。そのため、情報がないから学校の先生は分からない。分からないから不安になる。不安になるから不信感を抱くという残念な状況が各地で発生していたことと思います。

1人1台の学習環境やクラウドの活用を経験している人は少なく、やってみて分かることの連続です。検討の時間が十分なかったために、予期せぬことが生じています。不安・不信の中で起きるトラブルは、信頼の中で起きること以上に労力を要します。

自治体の担当者の方は、ぜひ情報を提供し、不安をなくし、不信感を抱かないようにしていくことが大事だと思います。対応中のことはなるべくこまめに伝えていくのが大事です。GIGAスクール構想を支援しているICT CONNECT 21 「GIGAスクール構想推進委員会」の GIGA HUB WEBの関連リンクには、情報提供を行っている自治体が取り上げられているので参考になると思います。

これからも、インターネットへの接続が十分できなかったり、予定したことができなかったりすることが発生してくると思います。制限がされている場合には、何らかの判断で制限している場合と、設定内容を十分に把握できずに制限してしまっていたり、あるいはその逆の危険な状況が発生したりすることがあるかもしれません。

自治体担当者と学校現場とが情報を共有して、自治体が対応すべきことと、学校で対応すべきことを分担していくことも欠かせません。

学校現場は、答えを教えてもらうのではなく、一緒につくっていくと課題は解決しやすくなります。学校現場の状況の逐一は教育委員会では把握しきれません。何が起きているのか、何が課題なのかを伝えてください。子供の学びに生かせる1人1台端末の環境を、学校現場と自治体担当者が一緒につくっていきましょう。

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