【意見体験】見えないからこそ見える介護

広島県立黒瀬高等学校 福祉科3年 正藤 風花

 私の夢は介護福祉士として働くことである。来年1月の国家試験合格に向けてワクワクしながら勉強をしている。広島県立黒瀬高等学校福祉科は、介護福祉士の受験資格を得ることができる専門学科である。福祉・介護の基礎知識を座学や校内外の実習等を通して学んでいる。

 「見えないからこそ見えるものがある」私にとってひとつの大切な学びができたのは2年生の夏の介護実習のことである。このことは実習で担当した施設利用者Mさんから教わった。

 Mさんはほとんど両目が開かない病気を患っている。お話が大好きな方であるが、目が見えないことで人と話すことを諦め、消極的な生活になっていた。何か支援できることはないかと日々自問自答を繰り返し、まずはたくさん関わろうと決めた。会うたびに「正藤です」と名乗り、少し大げさな表現をしながら言葉を返したり、手に触れるなど、安心してもらえるように工夫した。昔のことを思い出して楽しい気分になってもらいたいと思い、一緒に色とりどりの花火の絵を描くことにも挑戦した。

 実習最終日、ほんの小さな支援しかできなかったと不甲斐なく思いながらMさんのもとにあいさつに行ったとき、私は驚いた。Mさんが一生懸命目を開いて私を待っていてくださっていた。目を合わし言葉を交わしている喜びで涙が止まらなかった。

 「あなたのことずっと忘れないよ」とMさんは涙を流しながら私を抱き寄せてくださった。

 帰り道、涙を流したMさんが思い浮かび、ふと気付いた。「私の思いを心の目で感じ取ってくださったのかもしれない」同時に、支援できなかったという思いに少し光が差した。「相手に思いを寄せることもひとつの支援かもしれない」私はうれしい気持ちになった。介護の奥深さを知り、ますます介護が好きになった。

 私は、介護を受ける人に、安心できる温かい環境づくりができるよう、見えないことにも目を向けることができる介護福祉士を目指したい。

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