図書館の存在と機能をアピール 札幌市立手稲中学校/稲積中学校

小さな工夫を積み重ね 司書教諭を核とした協働で

はじめに

 学校図書館には、生徒に手に取ってほしい本、先生方の授業準備に役立てていただけそうな本、新聞や雑誌といった図書館資料を各種そろえている。しかし、現状として、授業での利用以外で図書館に日常的に来館する生徒は一部に限られ、教職員の図書館資料利用もまだまだ多くない。多くの生徒や教職員が抱く学校図書館への認識は「読書好きな生徒のための福利厚生施設的な存在」から更新されていないのではないだろうか…。そんな思いを抱くこともある。

 コロナ禍の中、多くの生徒を集めるイベントは開催しにくいが、生徒と教職員の意識の中に「今日、図書館に行ってみよう」「図書館に良い資料があるかもしれない」という気持ちを呼び起こしたいと願い、実践していることから一部を紹介したい。

2校共通の取り組み

▽新着図書の職員室展示

 新着リストを配布し、真っ先に職員室に1週間ほど展示する。特に教科に関連する図書は、ぜひ手に取ってもらえる機会を作りたい。「この本、入ったのですね!」「これ、読みやすいね」「ぜひ、生徒にもお薦めしてくださいね!」と、先生方との会話が生まれる。

▽廊下の新聞コーナーの「お試し」設置

 新聞を図書館内で配架しているだけでは、生徒は短い昼休みの開館時間しか閲覧できない。そこで、NIE全国大会(21年8月札幌大会)に向けての取り組みとして、各校の3年生の生活フロアに「新聞コーナー」をお試しで設置した。稲積中学校で行った生徒アンケート(後述)では、「良いと思う」生徒が43%で、先生方からも好評である。

 新聞が学校図書館の資料の一つであること、過日の新聞が図書館に保存されていることも伝えることができる。

札幌市立手稲中学校の取り組み

▽教職員への図書館情報の回覧~特にGIGAスクールに関連して~

 紙媒体の資料に加え、ウェブ上の資料も図書館資料の一つであるが、そのことに関する校内の認識はまだあまり高くないのではないだろうか。例えば、ウェブ上の資料の活用事例やウィキペディアについての対談など、図書館担当以外の教職員にも役立つ情報がコンパクトに掲載されている少年写真新聞社の「図書館教育ニュース」(月3回発行)。「GIGA関連情報です!」と書き添え、必要な部分を教職員間で回覧してもらい、「ウェブ情報も学校図書館の守備範囲です!」とアピールする。その土台もあって、1・2学年の総合的な学習の時間「職業調べ」で、図書の場合、ウェブの場合それぞれの情報の信頼性、参考資料の書き方、著作権についてなど、学校司書による生徒へのレクチャーが実現した。1人1台端末の活用が進む中、学校図書館の「学習センター」「情報センター」としての機能を教職員に向けて広報していくことは、大変重要なことである。

札幌市立稲積中学校の取り組み

▽階段掲示板の活用

 生活の中で生徒が必ず通る階段の掲示板に、一時的にスペースを借りている。生徒が作成した図書紹介ポスター、図書館内のコーナー展示の情報、新着図書のお知らせ、特別貸出やイベントのお知らせなど、随時新しい情報に貼り替え、新鮮さを保つように心掛けている。

▽生徒への「図書館と読書に関するアンケート」の実施

 21年11月、全校生徒を対象とした「図書館と読書に関するアンケート」を実施した。内容は、読書、図書館の利用、図書館の広報、図書館の印象、廊下の新聞コーナーについてなど、計21項目である。アンケートに回答することで「そんな資料もあるんだ」「図書館をあまり使っていないな。行ってみようかな」といった、生徒が自ら図書館および図書館資料の利用について気付き、意欲を向上させる効果も期待している。ちなみに、生徒に1人1台端末を利用しGoogleフォームで回答してもらったことで、紙回答に比べて集計が格段に省力できた。

今後に向けて

 「稲積中学校図書館のイメージを教えてください」。月数回以上図書館を利用していると回答した生徒は全校で約20%と少ないが、前述のアンケートで図書館のイメージとして挙がってくる言葉の印象は悪くない。やはり図書館利用のきっかけが大切なのだと思う。

 22年度現在、札幌市の学校司書の勤務時間は、1校当たり週15時間。司書教諭も多くの授業・校務を担当し、また図書館係とは限らないのが現状である。限られた勤務時間ではあるが、司書教諭を核とした協働を大切に本来的な図書館機能を提供しつつ、それを十分に生徒や教職員が活用するきっかけとなる小さな「仕掛け」を継続したい。

(札幌市立手稲中学校/稲積中学校・学校司書 浅村麻姫子)

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