全ての学校で基準達成を 第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」が始動

図書の整備、新聞の複数紙配備、学校司書の配置を推進

 文科省は1月24日、第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」(2022~26年度)を公表した。全ての公立小中学校などで学校図書館図書標準の達成を目指すとともに、計画的な図書の更新、新聞の複数紙配備、学校司書の配置拡充を図る計画だ。また、今年度は第4次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」(2018~22年度)の最終年度でもあり、子供の読書習慣形成の取り組みも仕上げの段階に入っている。GIGAスクール構想による1人1台端末活用の2年目、高校の新学習指導要領実施を迎える中、学校図書館の充実のポイントを文科省総合教育政策局地域学習推進課の朝倉博美図書館・学校図書館振興室長に聞いた。

図書標準達成校は増加

――2021年度で終了した第5次「学校図書館図書整備等5か年計画」の成果と課題を教えてください。

 学校図書館図書整備等5か年計画は、学校図書館図書の整備、新聞複数配備、学校司書の配置により、学校図書館をより良くし、子供たちの学習環境を整えていく目標があります。17年度から21年度までの第5次計画では、5年間で総額2350億円の地方財政措置が講じられました。

 その進捗(しんちょく)状況について全国調査を行い、まとめたところ、公立小中学校で着実な成果が出ています。まず、学校図書館に整備すべき蔵書数の標準を定めた「学校図書館図書標準」を達成した学校の割合は、19年度は小学校で71.2%(15年度66.4%)、中学校で61.1%(同55.3%)となりました。

 課題は今後、この実績を着実に伸ばしていくことにあります。特に古い図書の更新が課題です。最新の情報が記載されていない図書や資料をそのままにして、図書標準を達成した、というのでは困ります。子供たちや教職員が最新の知識を得ることができないからです。各学校において図書の選定基準や廃棄基準を策定し、最新情報を記載した図書を計画的に整備することが求められます。

 新聞配備校も増加しました。小学校で56.9%(同41.1%)、中学校で56.8%(同37.7%)、高校で95.1%(同91.0%)となっています。配備されている新聞数は、小学校で平均1.6紙、中学校で平均2・7紙、高校で平均3.5紙です。小中学校では目標を達成したものの、新聞を活用した学習を充実させるために、改善の余地はあると考えます。

 学校司書配置校の割合は、20年度、小学校で69.1%(16年度58.8%)、中学校で65.9%(同57.1%)でした。約10ポイント増と、各教育委員会などのご努力により学校司書の必要性が認識されつつあると見ています。

成年年齢引き下げで新聞配備を拡充

――今年度からの第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」のポイントを教えてください。

 22年度から26年度までの第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」では、先ほどの第5次の成果と課題を踏まえ、引き続き3つの柱で整備を推進します。単年度480億円、5カ年総額で2400億円の地方財政措置を講ずることとしています。

 まず、学校図書館図書標準の達成に向けた整備で単年度199億円、総額995億円を計上しました。うち、不足冊数分は単年度39億円、総額195億円、更新冊数分は単年度160億円、総額800億円としました。図書の更新を促進し、学校図書館図書標準100%達成を目指します。

 新聞配備については、小学校で2紙、中学校で3紙、高校で5紙を目標に、複数紙配備を図ります。前回計画より増額し、単年度38億円、総額190億円を計上しました。

 選挙権年齢の18歳以上への引き下げや成年年齢の18歳への引き下げに伴い、特に高校生には幅広い情報に触れ、自分に必要な情報を選び取る主体的な情報活用能力が求められています。図書館に足を運べば、成年を迎えるに当たり必要な情報を収集、選択し、活用できる。そんな図書館体制を整えたいと考えています。

 そのためにも、司書教諭のマネジメントの下、日常の学校図書館の運営・管理、教育活動を担う学校司書が専門性を発揮できるよう、適切に配置されることが重要です。今計画では単年度243億円、総額1215億円、を計上しました。現状は小中学校など1.5校に1人の割合ですが、それをおおむね1.3校に1人配置を目標とします。しかし、それで十分とはせず、将来的には1校1人を実現させたいと考えています。

問われる校長の姿勢と教育委員会の役割

 デジタル化が加速する社会の変化への対応、そして新学習指導要領に基づく「主体的・対話的で深い学び」の授業改善に向け、情報収集や資料活用を支援する学校図書館の役割は一層重要となってきます。

 学校図書館の運営は、館長としての役割を担う校長のリーダーシップに掛かっており、計画的な整備の推進には、学校と各教育委員会、自治体が一体となり進めることが重要です。というのも、地方財政措置は、使途を特定しない一般財源として措置されていますので、各自治体において予算化が図られてはじめて図書や新聞の購入費、学校司書の配置のための費用が確保できるからです。

 最新の「学校図書館の現状に関する調査」の分析結果によると、図書購入冊数が多い都道府県は図書の選定基準・廃棄基準の策定率が高い傾向にあります。学校司書の配置率が高い都道府県は新聞配備率が高く、図書購入冊数も多い傾向にあるという結果も出ています。「当然」と思われるかもしれませんが、学校図書館を計画的に整備している自治体では、図書や新聞の整備、学校司書の配置を一体的に底上げできていることの証だと考えられるでしょう。

 適切な予算措置の実現に向けて、児童生徒が読書に親しみ、学習に生かすことの価値を地域全体で共有し、学校図書館の充実を自治体の財政部局に発信していただきたいと思います。

デジタル化社会における学校図書館の役割

――第4次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」は今年度が最終年度となります。小中学校では1人1台端末の本格活用が2年目に入り、高校では各教科で探究型の学習が重視されます。教育の転換期を迎える中、次の計画はどのような方向性を目指しますか。

 「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」は、2001年に成立した「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づき、おおむね5年間ごとに具体的方策を示したものです。

 18年度に始まった第4次計画では、発達段階に応じた読書の取り組みや、友人同士で書評合戦をする「ビブリオバトル」など、中高校生の読書への関心度合いが低下するのを防ぐ取り組みなどを盛り込みました。成果は間もなく発足する有識者会議で議論し、第5次計画に反映させていく予定です。

 この5年間、GIGAスクール構想による1人1台端末環境の実現や高校新学習指導要領の本格実施など、学校図書館を巡る状況は大きく変化しました。デジタルコンテンツや電子書籍への期待も高まっているところだと思います。有識者会議では、こうした背景を踏まえて次の施策に反映すべき読書活動を検討します。デジタルか紙の図書かといった二項対立に陥らず、両者の良いところを生かし、主体的・対話的で深い学びの実現に資する方向性を打ち出せればと考えています。

 児童生徒が探究学習をするにあたり、学校図書館は最も身近な「現場」です。読書センター、学習センター、情報発信センターという学校図書館の3つの役割を全て活用しながら、異年齢が交流し、探究的な学びの題材や素材を探し出し、学びを深めることができます。学校図書館の役割はますます重要になります。

 館長である校長のリーダーシップの下、司書教諭や学校司書をはじめとする教職員の皆様のご努力には敬意と感謝を申し上げます。引き続き、学校図書館の充実を通して、子供たちの成長の一助となっていただければと願っています。

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