学校図書館を支える研修 東京都杉並区立済美教育センター

読書指導の手法、授業支援の事例報告など 学校司書と司書教諭ら対象に

1.はじめに

 東京都杉並区は、東京23区の西端に位置し、人口は22年1月1日現在で56万人を超える住宅都市である。区立の小学校は40校、中学校は23校、特別支援学校が1校ある。

 学校司書配置から10年が経過し、本区の学校図書館は、基本的な蔵書は一通りそろい、館内は日本十進分類法により配架され、学校図書館専用システムで学校間・済美教育センター教育図書館の蔵書を一体化して管理するなど、環境整備は完了している。また、全校で学校図書館全体計画・学校図書館運営計画に基づいて図書館の運営が行われている。

 学校司書は長期休業期間も含め年間を通じ、1日6時間・週5日間勤務の会計年度任用職員として全校に配置されている。教育センター内にある学校図書館支援担当は、学校司書採用前の養成期に設置され、学校図書館に関わる教員や学校司書を支援する役割を担い、学校図書館の充実に向けてその職に当たってきた。

2.教育計画などへの位置付け

 今年度スタートする「杉並区教育ビジョン2022推進計画」では「学校図書館を活用した探究学習の充実」などを計画に位置付け、「杉並区子ども読書活動推進計画」においても、学校図書館活用を重点的取り組みとしている。

 両計画ともに、学校図書館を学校全体で活用し、探究学習や情報活用能力の育成の場として推進していくことに重きを置く内容となっている。

 推進のための具体的な取り組みの一つは、学校図書館の活用に中心的に携わる学校司書と司書教諭らの研修の充実である。

3.学校図書館研修の実施

 研修の年間計画は、学校図書館支援担当が学校司書や教員からの声を参考に、学校司書に知ってほしい学校教育の動きや学校図書館関連図書・雑誌からの情報などを勘案し組み立てている。

(1)学校司書研修

 月1回必修の学校司書研修は、研修時間が保障されており、学校司書の専門性を高めることに加え、普段1人職場である学校司書間の情報共有の場をつくることで、横のつながりを持たせるよう企画している。内容は、読書指導の手法、図書資料の評価、授業支援の事例報告、新聞活用、ICTの活用など多岐にわたる()。

 学校図書館におけるICT活用をテーマとした月は、ICT支援員を講師に招き、学校司書とどう協働できるかを学んだ。定例研修の他に、希望者には分類法、本の修理実務、小学校向け英語図書の選書や杉並区の地域資料の活用を学ぶ研修も行った。新刊児童書を実際に手に取り、自校の学校図書館への選書を検討する研修は区立中央図書館の協力を得て定例化している。現在はコロナ禍を受け、両研修ともオンラインやオンデマンドで実施したり、ごく少人数に分けて行ったり工夫して継続している。

(2)司書教諭研修

 司書教諭研修は、年間2回実施し、1回目は学校司書と司書教諭の連携・協力が意識的に行えるような内容としている。同校の司書教諭と学校司書が一緒に研修を受け、研修内容について意見交換し、今後1年間どう取り組んでいくかを話し合う時間も設けている。

 例年、司書教諭の役割をテーマとすることが多いが、授業目的公衆送信補償金制度がスタートしたため、21年度は学校教育における著作権を取り上げ、教員自身の著作権順守や児童生徒への情報モラル・人権指導への意識が高めることができた。第2回目は、その年の学校図書館活用実践校(※)の取り組みを司書教諭がオンデマンド動画で発表している。

 ※学校図書館活用実践校:管理職が司書教諭・情報担当教諭・各学年教諭・学校司書などによる校内の学校図書館の体制・組織作りを行い、司書教諭が推進する立場となって、計画的に学校図書館活用に取り組む事業。

4.変化に対応する学校図書館

 本区では、児童生徒1人1台専用タブレット端末に、自校の学校図書館蔵書検索ができる仕組みを取り入れ、テーマに基づいて図書を調べることができるようにしている。さらに、学習に有効なウェブサイトやデータベースも学校図書館の資料として取り扱い、タブレット端末を生かして児童生徒に活用させていく方針である。そのために、紙資料とデジタル資料のそれぞれの特徴を生かして活用していくための教員・学校司書研修を実施したり、パスファインダーの学校間の共有活用を進めたりしていく予定である。こうした研修や取組を通じて、小中学校全校、特別支援学校に学校図書館の活用を促していきたい。

(杉並区立済美教育センター学校図書館支援担当係長・奈良史香)

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