ふるさと教育支える学校図書館に 福島県富岡町立富岡小学校

地域を題材に総合的な学習 役立つデータや教材をまとめる

 富岡町は福島県の沿岸部にあり、東日本大震災では原発事故の影響を受け、全町民が避難した町です。2017年に町の大部分で避難指示区域が解除され、19年に小中学校が再開しました。小学生と中学生が同じ校舎で学んでおり、学校図書館はその中央に位置しています。

 震災後、富岡町を含む双葉郡8町村では、双葉郡教育復興ビジョンの下、「ふるさと創造学」に取り組んでいます。これは、「震災を通じ子供たちが得た経験を、生きる力に」との思いから始まった、地域のひと・もの・ことを題材にした総合的な学習の総称です。毎年12月には8町村の小中学校と高校がそれぞれの取り組みや学んだことを発表する会を開き、交流を重ねてきました。

 しかし、富岡小中学校の児童生徒の多くは他地域で生まれ育ち、教職員も町外出身者が多いため、地域のことをあまり知りません。そこで、学校図書館に地域資料や教材を蓄積し、ふるさとを知る教育を支える拠点にしたいと考えました。

 1年目は、学校図書館内に地域資料コーナーを設け、教材を作成しました。

 図書支援員が、町の教育委員会が作成した文化財の冊子や観光課によるマップなどを1カ所に集め、地域学習に利用できそうな資料リストを作成しました。また、教員がほしい資料について相談すると町立図書館に行って探すなど、きめ細かいサポートを行いました。

 4年生の社会科には、郷土の先人について学ぶ単元があります。富岡町には、かつて「日本一小さな漁港」として知られた小良ヶ浜漁港を1人で切り開いた三瓶一見という人物がおり、その功績を学ぶ授業を行うためのテキスト教材やパワーポイント資料を作成しました。児童が授業の中で作成した紙芝居も、地域学習の教材に加えました。

 福島県内全ての市町村パンフレットを収集し、ファイルに整理したものは、社会科や国語科などでも活用されました。

 2年目は、地域資料や教材を紙媒体とデータの両方でアーカイブ化する取り組みを始めました。

 富岡小学校はICT環境が整っており、児童生徒はオンラインで他校と交流したり、タブレットやノートパソコンを日常的に用いたりして学んでいます。高学年の総合的な学習では、校歌に出てくる町の地名について調べ、写真や映像にテロップやナレーションを付けた動画を編集してウェブ上にアップし、そのQRコードを貼った町の地図をプリントして配付しました。

 このようにICT機器を活用した教育活動に寄与するためには、地域資料も紙媒体だけではなく、データでも提供する必要があると考えたのです。

 地域資料データは、教職員も児童生徒も開くことができる共有フォルダ内に収める場所を作りました。このフォルダへのショートカットは、教室専用のパソコンにも個人の端末にも作られており、容易にアクセスすることができます。授業中にプロジェクターで大きく映して教えることも、個人の端末で見ることも可能です。

 フォルダに収めたのは、①3・4年社会科の地域学習単元ごとの資料・教材データ②町の写真・地図・映像データ③小中学校の総合的な学習の発表データ④教材パスファインダー――です。

 ①には、3・4年社会科の単元ごとに役立ちそうなデータや教材をまとめました。例えば、3年の「学校のまわり」では、学校の周りの航空写真や町の地図データ、担任が作成した学校周辺地図やワークシートなどです。

 ②の町の写真や地図は、町の教育委員会から提供してもらいました。

 ④の教材パスファインダーには、学校図書館・資料室・データフォルダ・インターネット・町立図書館・アーカイブ施設のどこにどんな地域資料があるのかを単元ごとにまとめました。

 そして、データフォルダの内容がひと目で分かるような目次と教材パスファインダーをプリントし、学校図書館の地域資料コーナーに置きました。

 ③の総合的な学習の発表資料もプリントし、成果物とともに「先輩たちの総合的な学習の記録」として収めました。学校図書館に来れば、紙媒体でもデータでも地域資料を探すことができるようにしたのです。

 地域資料アーカイブ化の道筋はできましたが、利活用や収集については今後の課題です。教職員や公共図書館などとも連携しながら、ふるさと教育を支えられる学校図書館にしていきたいと思います。

(福島県富岡町立富岡小学校司書教諭・小熊真奈美)

【学校図書館特集トップページに戻る】

あなたへのお薦め

 
特集