校長と学校図書館の関わり方 東京都杉並区立松溪中学校

全体計画や年間計画のビジョンを提示 活動の進捗状況の確認も

 入学式後、ホッとした新入生が教室へ戻ると、本を積んだワゴンを引いた数人の先輩が現れる。2、3年の図書委員の生徒たちである。

 彼らは、教室に入ると、朝読書の本を配布する旨と、交換や返却の手順などを説明して、ワゴンの本を配り始める。作業を終えると、使命を終えて楽しげに図書館へ帰っていく。

 本校では、朝読書は、課題図書から始まる。学校司書と担当教員を中心に学校として選んだ、各学年それぞれの課題図書の棚があり、どの学年でも選べる課題図書の棚も作られている。図書委員たちは、そこからワゴンに乗せて本を運んでいる。

 その他、さまざまな形で学校図書館を活用した取り組みを行っている。昨年春に、全国図書館協議会の「情報活用授業コンクール」における実践発表で、優秀賞を受賞したのも、今まで取り組んできた活動のご褒美のように感じている。

 ここでは、本校の学校図書館を活用した活動の骨子と管理職の関わりについて、述べていく。

 まず、学校図書館に関する全体計画は、年度当初に校長の学校経営方針に沿った微調整が加えられ、学校図書館運営委員会の検討を経て、校内で周知が図られている。

 年間指導計画に位置付けられている活動内容は、大別して3つになる。

 一つ目は、学校図書館そのものを活用した活動である。校長の方針を受けて、総合的な学習の時間では、図書館ガイダンスから始まり、学校図書館で宿泊行事や校外学習に絡めた、資料を活用して行う「メルクマール」と呼ばれる探究学習を、各学年で年間1回実施している。各教科では年間最低1回を実施目標としている。学校司書が用意した資料や情報サイトマップ、資料整理カードの他、各自のタブレットで、「カーリル」や「ようこそ図書館」のアイコンから資料検索できる体制も整えている。

 次に、資料を活用した活動がある。先に触れた朝読書以外に、図書館の資料を教室に運んで活用する授業も行われている。

 朝読書は、配られた本を2冊読み終えたら、自分の好きな本を読んで良いこととしている。課題図書は交換可能で、何回も交換し、気に入ったジャンルに出会う生徒もいる。効能とお薦めの宣伝文句が書かれている特製の薬袋を模した紙袋に、先生方のお薦めの本を入れて貸し出す「よみぐすり」も、この活動に入るだろう。

 最後は、場として活用する活動である。国語の授業では、図書館の机と椅子を四角く並べて句会を行っている。昼休みの「真夏のお昼のお話会」(ビブリオバトル)や「クリスマスおはなし会」(読み聞かせ)は、図書館に人を呼び、本に親しむ気持ちを呼び起こそうという図書委員会の活動として行われている。また、自分で選んだ相手にお薦めの本を紹介する、夏休みの課題「読書新聞」作成や読書感想文コンクールの本選びなどのために、夏休み前には学校図書館に来室者が増え、間接的に学校図書館の利用につながっている。

 これらの活動では、管理職は、全体計画や年間計画のビジョンを提示し、でき上がった計画を決済し、活動の様子を楽しんで見学しつつ、進捗(しんちょく)状況の確認を行っている。

 そして、これらは学年・学級で発表が行われ、優秀作品は、年度末の文化発表会や学習発表会において、全校生徒の前で披露される。これらはさまざまな力を育てることに寄与し、翌年の取り組みのモチベーションを上げるのにも役立っている。また、個人の読書は、読書記録の形で日々まとめられ、年度末の「学年のまとめ新聞」にその振り返りを記入する。

 最後に、これからの学校図書館の活用のための課題を述べる。

 まずは、設置パソコンのDVD再生機能の追加や資料検索機能の強化が挙げられる。英語などのDVD付き図書はどんどん増加しているし、新聞の縮刷版などの活用や校外の各図書館の資料検索や予約ができることは、よりレベルの高い学習に向けて必要であろう。

 また、1人1台タブレットの配布で、パソコンが撤去されたコンピューター室の活用も課題である。本校では、図書室の隣にあり、自習室に改装し、多用途での活用を考えている。

 これからの学校図書館のあるべき姿を創造し、そのビジョンを示し、予算措置や人材の確保を行い、環境の整備を図り、活用を促進していくことは、校長にとっては、必須の課題になるであろう。我が校なりの特色ある学校図書館機能の整備を進め、バラエティーに富んだ活用法を確立し、生徒たちの生きる力の育成に寄与できるようにこれからも努めていきたい。

(東京都杉並区立松溪中学校校長・辻成一郎)

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