学校図書館から「つながる」「つなげる」 広島国際学院中学校・高等学校

学校生徒-社会」を 学びの日常をつくる 

はじめに

 コロナ禍による制約された生活は今年で2年目となった。学校における制約といえば、生徒と学校を「つなげる」機会が滞っていること。そして学校を介して、生徒が社会との「つながり」を築けていないことが挙げられる。

 周囲との交流を通して私たちは多くの学びと成長を遂げていく。それが達成できない今、学びの在り方を見直す必要があると感じている。よって実践者は、この2年間、図書館の特性と新たな情報ツールを活用しながら、学校―生徒―社会を「つながる」「つなげる」学習モデルを模索し続けている。

学校-生徒が「つながる」学びの日常をつくる

(1)授業支援ツールを活用した学び

 実践者が最初に取り組んだ「つながる」活動は、授業支援ツールを用いた学びの確保である。学校と生徒のつながりや学校図書館の活用を進めるためにも、ユビキタスにやりとりできる環境が必要となる。本校では、中学生が「ロイロノート」、高校生が「Classi」ならびに「Google Classroom」を活用している。一連の授業支援ツールを活用し、休校中は資料や課題の提示、提出物などの管理、またオンライン配信を行いながら、従来通りの学びの日常を構築する取り組みを行った。

 また、本校には、学校図書館に中国新聞社提供の「教育データベース」を活用したさまざまな社会情勢を入手できる体制、また学外からも図書館の蔵書検索ができる「ネオシリウス」を導入し、学びの機会を絶やさない環境も整備している。

(2)新聞から学校、社会との「つながり」を見出す

 学校教育は、主として教科書、問題集を活用しながら教師からの指導を受け、社会の有為な形成者としての資質を磨いていく。従来の学びが困難となったコロナ禍においては、新聞の特性を生かしながら、学校―生徒―社会をつなげる学びが中心となるよう試みた。

 本校は2010年度よりNIE(Newspaper In Education=教育に新聞を)の実践指定校として、広く新聞を活用した教育活動に取り組んでいる。学校図書館には、日本新聞協会や広島県NIE推進協議会からの支援を受けた数紙の新聞を設置している。

 新聞は、学校に集わなくても、記事の提供や指示をすることで、いつでもどこでも情報を共有することができる。また、前述した授業支援ツールを活用しながら、遠隔に指示を出すことにより、従来と異なり円滑に学びの提供を行うことも可能となった。今回の出来事を踏まえ、学校から生徒、また生徒から生徒とそれぞれ気になる記事や学びのきっかけとなる新聞記事を共有し、意見文や要約文、そして新聞記事を用いた作問を手掛けることにより、学校とのつながりはおろか、社会との「つながり」を感じることができたと思われる。

(3)生徒と社会と「つなげる」、生徒が社会と「つながる」機会を増やす

 コロナ禍によって、実践者は、外部評価を用いた学習機会を積極的に増やす取り組みを新たに行った。生徒にとって、学校在籍中の最大の評価者は教員である。だが卒業後は、不特定多数の外部評価が生徒に関わることとなる。差し当たって、入学試験や就職試験が生徒にとって直近の外部評価となる。人生の分岐点となる試験を前にして、外部からの評価を受ける環境は多ければ多いほど、生徒の自信につながる。

 よって、今回の実践では、生徒たちに学校図書館にある新聞を利用し、各種コンクールへの投稿、またさらに、その内容を深めるため、図書館内にある本を活用しながら、自らの知識を高め、その評価をもらう取り組みを行った。制約ばかりの近年の学校教育であるが、制約から教師も生徒も試行錯誤し、新たな知見を発見できる大きな日々になっている。

最後に

 今年度から実施された『学習指導要領』の教育目標に「何を学ぶか」「何のために学ぶか」という学びの意義を見いだす文言がみられる。生徒にとり、学ぶ意義は「成績を上げるため」「良い学校に入るため」であり、学ぶ内容が社会とどのように関係していくかは意識できていない。思うように学ぶことができない現代社会だからこそ、社会とのつながりや学ぶ意義を理解し、将来の青写真をデザインできる思考力が求められると思われる。そのような中、学校図書館が学校―生徒―社会をつなげるセンターとなるよう、今後も学習実践を創意工夫していきたい。

(広島国際学院中学校・高等学校教諭・為重慎一)

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