「つながる学校図書館」目指して 香川県立高松商業高等学校

教科・部活動・公共図書館と 自由な読書と学びを保障

はじめに

 本校は商業科、情報数理科、英語実務科の3学科を有し、2020年に創立120周年を迎えた伝統校である。約9割の生徒が進学し、国公立大、難関私大への入学者も数多い。それぞれの生徒が高い成果を目指して努力する中から、「進学も就職もできる高商」「部活動の高商」としての伝統が形づくられてきた。

本校図書館について

 本校図書館は玄関近くの1階に位置し、生徒や教職員が利用しやすい立地環境にある。そのため、毎日多くの来館者があり、人の集う活気ある図書館といえる。しかし、この2年間は新型コロナウイルス感染拡大のため活動が制限され、来館者が減少し、企画の中止や縮小が余儀なくされる中、「今できることを着実にやる」を目標に取り組んできた。

 今回は本校図書館での実践について、「つながる」をテーマに、次の3点に絞って紹介したい。

1.教科とつながる

 教科とつながりを持つことは、どの学校図書館においても実践されていることだろう。本校では図書館学習の提案、必要な図書の確保、成果物の紹介までを一貫して行うことで、他教科の図書館利用促進、他学年や他学科生徒への授業紹介につなげ、学びを共有し深めていくことを目標としている。

 例えば、3年生の商業科「ビジネス情報」とのコラボ企画で「財務分析してみました!」というタイトルの展示を行った。企業の財務分析を1枚の特大ポスターに仕上げたものだ。企業にとってこの分析がどのような役目を果たすのか、財務分析をするために、どのような資料を活用すれば便利であるか、知識のない生徒にも分かるように、図書館側が易しい説明を付けて展示している。他学科の生徒で、経済学部への進学を考えている者からは大変参考になったとの感想が寄せられた。

 展示は、主にコモンスペースやシアタールームという共有スペースで行っている。他にもダンス(体育)の発表動画を公開したり、美術で制作したワイヤーアートを展示したりした。これらは授業の成果を発表すると同時に、授業選択の参考にもなっている。今後も教科との連携を図りながら、学びのつながりを産む場所としての役割を果たしていきたい。

2.部活動とつながる

 本校は部活動が盛んで、県下でも有数の強豪校である。そのため、図書館から各部活動を応援する取り組みを常に考え、全校生徒が一丸となって応援できる企画展示を行っている。2021年度は全国大会出場を果たした野球部、サッカー部の特集を組んだ。新聞記事や写真の展示だけではなく、部員に自筆のコメントも書き込んでもらった。部員参加型のこの展示は大変好評を博し、自分たちの部活動も取り上げてほしいとの要望も数多く寄せられた。選手を応援し生徒同士がつながるこの企画は、今後も続けていきたい。

3.公共図書館とつながる

 本校図書館ではこれまで公共図書館とともにさまざまな取り組みを行ってきた。特に本校に隣接している「夢みらい図書館」との連携は、本校生にとって、読書活動の深化や進路の実現に向けたさまざまな可能性を大きく開いてくれた。以下簡単に列挙する。

▽本校の生徒による、YA世代や一般の利用者に向けた本を紹介

 YAコーナーの新設(19年)を機にスタートした。「私の出会った一冊」と題して、生徒が紹介する本を「夢みらい図書館」でも購入、紹介するというものである。現在YAコーナーには、常に本校の生徒が薦める本が並んでいる。また、本校図書館でも同様に生徒の推薦図書を展示しており、YAコーナーのPRにもなっている。

▽商業科の課題研究「保育士研究」で絵本の読み聞かせの講話や実習(20、21年)、職場体験(20年)

 具体的な実践ができ、生徒の職業理解を促し、意識を高めスキルの向上につながる企画であった。コロナ禍の中、本校生を受け入れていただき、本当に感謝している。

おわりに

 学校図書館は、本と人が出会う心の居場所。自由な読書と学びを保障する空間である。

 今や分からないことがあればインターネットを使ってすぐに答えが探せる時代である。しかし1冊の本を読んで思索を重ね、吟味し、深く理解できた時の喜びは格別である。知識が生きた知恵となる。本校図書館は、本を通して生徒の学校生活を支援する場として、人が集い、つながる空間として、これからも生徒とともにありたいと考えている。

(前香川県立高松商業高等学校司書教諭・山本真由美/前香川県立高松商業高等学校実習教諭・熊野明美)

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