スポーツドリンクを手作り 高1の発症率高く声かけ意識的に

栃木県立那須拓陽高等学校 安藤季美養護教諭に聞く

 

場所は栃木県北部、那須連山からの風が心地よい那須塩原市にあります。夏は避暑地として過ごしやすい高原が近くにありますが、やはり猛暑では教室内が30度を超す過酷な環境になります。農業科の農業実習では、ビニールハウスの中で手袋、長靴で作業することもあります。普通教室にエアコンの設置はなく、扇風機で風を循環させるだけです。夏の午後は、気分が悪い、頭痛、汗が止まらないなどの症状を訴えて保健室を来室する生徒があふれていたことがありました。

生徒の多くは水分補給の大切さや体調管理の大切さを知っています。でも、水分補給といっても、多量の汗をかいているにもかかわらず、塩分を補給していない、のどが渇いてから飲むなどの実態が分かってきました。そこで、生徒保健委員会や運動部マネジャーを中心に生徒目線の熱中症予防について取り組みましたのでご紹介します。

1.生徒保健委員会活動
 (1)ほけんだより・掲示用リーフレットの作成と活用

▽熱中症の発生機序について「熱中症を引きおこす条件とは何か」を発信することで予防の意識を高める。▽環境要因=気温が高い。湿度が高い。風が弱い。急に暑くなった。▽個人のからだに関する要因=暑熱順化のために、継続した運動と強度を徐々に上げることが大切。睡眠不足にならない。下痢や発熱時は無理に運動をしない。朝食、特に牛乳の積極的な摂取を促す。▽行動に関する要因=激しい運動。長時間の屋外作業。水分補給がしにくい環境。

スポーツドリンクレシピ
スポーツドリンクレシピ

(2)手作りスポーツドリンクレシピ作成と公開。(図)
(3)スポーツ大会での手作りスポーツドリンク提供。
(4)効果的な水分補給の提案=摂取のタイミングを具体的に示す。

競技前に250ミリリットル~500ミリリットル/競技中に500ミリリットル~1000ミリリットルを1時間ごとに/環境条件によっても変化するが、発汗による体重減少の70~80%の補給を目標とする。気温の高いときには、15~20分ごとに200ミリリットル~250ミリリットルを飲み、休憩を入れる。

2.運動部マネジャー対象に熱中症予防教室を開催

(1)運動をする前の健康チェック=自己管理の徹底で大きな事故を予防できることを意識させる。

(2)運動中の健康チェック=運動中に「足がつった」「頭が痛い」は「熱中症?かも」という視点を持つ。統計上、1年生の発症率が高いので、特に意識して水分補給や休憩の声かけを行う。

(3)スポーツドリンクの試作と提供=手作りのスポーツドリンクを試作し、安価で好みのドリンクができるのを実際に体験し、部活動での提供につなげる。

(4)環境省熱中症予防サイトを活用=注意報発令を確認し、休憩、水分補給のタイミングの参考にする。

(5)応急手当=熱中症を疑ったら、すぐに運動を中止して、スポーツドリンクを摂取し、水やアイスボトル(ペットボトルに水を入れて凍らせたもの)で脇の下や首の両側、足の付け根を冷やす。意識がない、真っすぐ歩けない、けいれんしているなどの症状があれば、すぐに救急車を要請する。

これらの活動を通して熱中症は予防でき、早期に対応すれば重症化を防げるのが周知されました。今年度も、7月に予定されているスポーツ大会でのスポーツドリンクづくりの依頼が、生徒会からありました。高校生として、一人ひとりが熱中症にならないための行動を意識し実行できるよう、これからも一緒に活動を推進していこうと思います。

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