第8回ESD大賞の実践紹介 小大連携を軸にESD推進 体力向上、食への関心高まる

ネスレ日本ヘルシーキッズ賞・大阪府泉南郡岬町立深日小学校

1. 体力向上にむけた実践

大阪府泉南郡岬町立深日小学校は、児童数96人の小規模校である。

大阪府の「子ども体力づくりサポート事業」に参加し、和歌山大学教育学部の協力を得て、子供の体力向上と食育を中心とした生活習慣の改善に向けた取り組みとプログラムを学校全体で進めている。

これまでの新体力測定の該当学年である5年生だけが測定してきたが、全校児童が参加するようにしてから、体育の授業時間を合わせて高学年と低学年で教え合いが行われるようになった。

和歌山大の学生ボランティアが毎週1回定期的にサポートに来てくれることで、シャトルランなど児童が苦手とする種目にも積極的に参加するようになっていった。

バランスボールに取り組む体力向上にむけた実践

2. 小規模校ならではの運動会づくり

秋開催の運動会では、和歌山大学教育学部保健・体育学教室の学生が多数参加。学生を単なるボランティアや運動会の手伝いとして位置付けるのではなく、保健・体育学専攻の学生として体育の素晴らしさを児童や地域の住民に伝えること、また、過疎化による児童数の減少が競技数や時間にも影響し、年々寂しくなっていく運動会をどのように盛り上げていくのかをテーマとした取り組みを行った。

大学からは運動会運営の担当者を2人派遣、学校側の体育主任と連携して協議し、新種目や大学のデモンストレーションを企画した。新種目となった「借り人競争」では学生が児童や地域の人と共に参加し、世代間を超えた交流の種目を目指した。また、学生は2チームに分かれ、それぞれのチームの応援合戦や綱引きには率先して加わった。

続いて、体づくりに関する授業づくりを保健・体育学教室が中心となって実施された。「マット運動」を単元に、バランス感覚、体幹、筋力を鍛えるメニューを取り入れたサーキットトレーニングを担任、体育主任、町教委、大学とで協議して作り上げた。さらに、大学からバランスボールを貸与され、児童はこれを用いて楽しみながら体幹トレーニングを行い、ペア活動を通して相手の体の動きを知るということを体験した。体育を専門としてこなかった教員にとって、知見を広げるだけでなく、児童が主体的に協働しながら活動する体育を実現する場となった。

学生の滞在時間が増えるに伴い、児童と連携した活動が増加。20分休憩の時間に、児童会企画で全校児童で「バナナおに」を学生と一緒に実施したり、それに呼応する形で学生側の企画で「手つなぎおに」を実施したりした。こうした相互交流の機会は徐々に広がっていった。

3. 小大連携を生かした取り組み

キャリア教育の一環として、教委と和歌山大の協力を得て、5年生(20人)が大学見学を実施。当日は、教育学部の数学や国語、美術の講義やゼミを見学したり、保健・体育学教室や学部長室や体育館、図書館を見学したり、学食で昼食を食べたりという経験をした。児童にとって非常に貴重な経験となり、学習意欲の向上にもつながった。

「和歌山大学に進学してアナウンサーになる夢をかなえたい」などの夢を持つようになり、自分の夢をかなえるために明確に進学や進路を考えて、自ら率先して生活習慣を正し、学習に取り組む姿勢や意欲を見せるようになった。

4. 全学年で進める食育

健康教育の一つとして発達段階に応じて全学年で次のように食育を実施している。

(1)栄養教諭が実施する食育

給食はセンター方式であるが、町内には栄養教諭が1人配置されており、毎年1年生の給食が開始する前に給食指導を実施、給食時のマナーなどを学ぶ。給食センターの調理員が給食を作っている様子を映像で見ることで、給食調理の大変さをイメージさせている。感謝の気持ちを持って残さず給食を食べることの大切さを学ばせている。

2年生では自分でできる簡単な朝食としてピザトースト作りを行い、赤・黄・緑の3色の栄養素について学習している。

(2)養護教諭が実施する食育

給食時のマナーの一つとして、正しい箸の使い方がある。低学年で正しい箸の持ち方について学習している。「おはし名人になろう!」をテーマに、給食センターから箸を借りて、正しい持ち方を学んだり、豆つかみ競争を行ったりした。豆腐やしょうゆ、きな粉など、さまざまな食材が大豆でできていることを学び、すりこぎ、すり鉢を使ってのきな粉づくりも体験した。3年生では、毎年歯の染め出し検査を実施。4年生では「すききらいをなくそう!」と題して野菜の役割を学んだ。

このほか、5年生の社会科の授業の一環として地域の協力の下、田植え・稲刈り体験を実施。6年生の家庭科では栄養のバランスを考慮したメニューを自分たちで考えた弁当作りを行った。

(3)保健給食委員会

この委員会では、日々の継続活動として給食栄養黒板に三色の栄養素を示している。年に1~2回給食の残量チェックや身だしなみチェックを行い、その結果を児童集会で報告している。今後食育担当である養護教諭を中心に、学校、地域、家庭が連携し、児童の健康課題に応じた学びを発展していく必要がある。

5. 成果と課題

体力向上の根幹に食育を位置付け、栄養教諭や養護教諭と連携しながら、食育と健康教育の充実を目指してきた。小大連携によって、児童の体力向上や食、保健衛生への関心も高まった。得られた成果を本校の教員が大学や他の自治体へ赴き、講演するようになった。「小さな町だから、小さな学校だからできない」と下を向くのではなく、「小規模校だからこそできること」を探し、大人も子供も夢や希望を持って学校や地域を形作っていくことができつつある。

今後は異学年交流を軸にさまざまな行事や取り組みを進め、地域や大学と連携しながら健康を見つめ、つくり、生かし、広げることを楽しみながら学校づくりをより発展させていきたい。

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