(鉄筆)『教えて!校長先生…

『教えて!校長先生 渋谷教育学園はなぜ共学トップになれたのか』(中公新書ラクレ)が注目を集めている。著者は、(学)渋谷教育学園の田村哲夫理事長。新設校から全国屈指の進学校へと急成長した幕張中学校・高等学校と、女子校を共学化して成功した渋谷中学校・高等学校の校長を務め、本で独自の教育メソッドを明かす。

進学面では、その急成長ぶりが数字に表れている。平成26年度の実績で、両校合わせて東大合格者89人を出した。他の一流大学への合格率も高く、「奇跡」との報道もあった。

この実績は、受験勉強に特化したエリート教育を目指した結果ではない。グローバル社会を生き抜くため、自由な校風の下に、「自調自考」「高い倫理観」「国際人としての資質」の3つの教育理念が実ったものだ。特にユニークなのは、校是にもある「自調自考」。「自ら調べ自ら考える」を重視し、生徒全員に、各自のテーマに基づいて論文を書かせる。なかには、生徒の一生を左右するほどの論文もあるというから、驚く。今、中教審で話題になっているアクティブ・ラーニングを先取りした教育である。

リベラルアーツ(教養教育)を重視しているのも大きな特色だ。「国際社会を生き抜くには欠かせない」との考えから、校長自らが「講話」を行い、全力で取り組んでいる。

中教審の副会長を経験している同理事長・校長は本の中で「個性を求めるとともに、多様性に対する寛容が必要」と述べる。公私立を問わず、これからの教育を考える上で重要な示唆を与えてくれた。